勉強会が開催されました。
全国の工業技術センターでも、もしかしたら初めてかも?
という売り場での接客を学ぶ異色の勉強会です。
シケンジョは、いちおう正式名称で「工業技術」のセンターなので、モノ作りを支援するのが任務。
それがなぜ、販売・接客といった「商業技術」的な勉強会をするのか?
それは、私たちがシケンジョだからだと考えています。
地域の地場産業が変化に直面したいま、
誰もが既存の壁を超えることで活路を見出そうとしています。
そんなときには、枠から飛び出た新しいことを
手伝ってくれるパートナーもなかなか見つかりません。
将来には、もしかするとだれか別の人の仕事や役割になっているかもしれないけれど、
いまは担い手のいない大事なことを、「シケン」的に引き受けていく。
それもシケンジョの任務なのではないか。
それがモノづくりの助けになるのであれば、大いにやっていこう。
タテ割りのカテゴライズは、成長期の効率化を求める時代に生まれる見方です。
実際に、モノづくりの担い手たちは、
自分の作り出した価値が最終目標である消費者にどうやったら最も効率よく伝わるのか?
(=モノづくり対価としての最終的に利益率をどう上げるのか)
という大きなテーマを抱え、自社ブランドづくりや直販にチャレンジしています。
売り場で消費者を買う気持ちにさせる瞬間の精度を高めることは、
モノづくりの最終ゴールを明確化することにつながります。
これはもう立派な「工業技術」の一部と言ってOK!
そんな考え方があることを、サラッと簡潔に冒頭でご紹介しつつ、勉強会レポート、はじまります!
講師は、上の写真の眞砂絵里子さん。
自ら作るアクセサリーを販売するショップ「eclectic(エクレクティク)」のオーナーをされていますが、その前は、日本を代表する某ファッションブランドの直営店で、販売員の仕事を7年間されていたという眞砂さん。当時はいかにもマヌカンという、身長やスタイルで勝る(ご本人談)ライバル達を抑え、売り上げトップを長年キープしてきたという販売のノウハウを、たっぷりと教えていただきました。
下の写真は、眞砂さんが作り、販売するアクセサリー。
定期的に数十万円分を買っていくという熱烈なファンもいるそうです。
手描きのパッケージがカワイイです。
眞砂さんのショップには、お客様をその気にさせるための
無数の甘いワナが仕掛けられているとか。
この手描きのパッケージもきっとそんな甘いワナのひとつですね。
紙袋の取っ手は、もともと付いていたものを外し、生地を裂いて作った手作り品だそう。
これもちょっとした工夫とひと手間で仕掛けられる甘いワナ。
眞砂さんの教えを受けるのは、主にヤマナシハタオリトラベルに参加する作り手たち。
今年の夏には銀座三越8F(7/31~8/6)、渋谷ヒカリエ5F(8/29~9/11)、
都留市でのYAMANASHI FRINGE MARKET(8/4)と、
予定が目白押しなので、すぐに勉強会の成果を活かせそうです。
下の写真は、眞砂さんのリング用展示台。
リングはこの台を使ったときが一番売れ行きが良く、
またリングは丸く輪になるように並べたときに一番売れるそうです。
なぜ?と問われても答えはありません。
理屈では導き出せない、現場の知恵ですね。
そうした現場の知恵を得るためには、
時々刻々、ディスプレイ変え続け、お客様の反応を見ることだそうです。
ディスプレイについては、眞砂さんが「西宮事件」と呼ぶ、
ディスプレイの魔法としか思えない出来事のお話が印象的でした。
曰く、
西宮での販売イベントに参加したとき、
初日、イヤリングだけが8個売れ、
二日目、ディスプレイを変えたら、ネックレスが7点売れ、
三日目、またディスプレイを変えたら、指輪だけが10点売れ、
四日目からは、ようやく満遍なく売れ始めた。
そこまであからさまに結果が違うものなのか?
と驚き、ディスプレイの力を強く感じたとか。
上のものを下にしただけで、魔法がかかったように売れるモノが変わる、
ということがあるのだそうです。
そして、売り場に立った経験のある人なら誰でも気になるのが、
買う気のある客か、買う気のない客か?その見分け方は?
というポイント。眞砂先生、どうすればわかるんでしょうか??
しかし眞砂さんからの答えは、こういうものでした。
お客様のほとんどは、「買う気になる可能性のあるお客様」。
売り場では、買う気があるないを見分けるのではなく、
買ってくれるお客様になってもらうことが販売員の仕事。
そして、買う気がなかったお客様が、買いたい気持ちを膨らませて買っていただいたとき、
そのときがお客様にとっても一番うれしく、販売員にとっても一番うれしい瞬間なんです。
眞砂さんのお話を聞いていると、
気に入ったモノに出会って、買いたい気持ちをぐーんと膨らませ、
そして買う、という結果に至るまでが、
いかにロマンチックで幸せなプロセスであるか、が分かってきました。
買う人、販売する人、それぞれがワクワクする気持ちを高めることが
「購入」という結果を実らせるためにはとても重要なんですね。
眞砂さんのレクチャーは、眞砂さんが長年培ってきたノウハウそのもの。
こんなに教えてもらっていいの?というノウハウをしっかりと受け止めつつ、
実技に入ります。
いわゆるロープレ、ロールプレイングです。
お客さん役の人に向かって話しかけます。
作り手だからこその、ワクワクの生み出し方はたくさんあるはず。
それを磨いていくことは、自社の魅力をより明確にするプロセスにもつながります。
売り場での経験を重ねて、商品の魅力を説明するノウハウを高めることは、
直販だけでなく、最終的に「第三者に売ってもらう」という、
普段の仕事の大部分を占めるケースでも
より良く売ってもらうための情報提供に役立つ、ということを
ブランドの育成・成長の視点から教えていただきました。
渋谷ヒカリエ5F(8/29~9/11)の販売イベント『ヤマナシ ハタオリ トラベル』では、
眞砂さんが店頭に立って実地演習も予定されています。
お近くにお寄りの方、ハタヤさんたちの勉強の成果をぜひ見にきてみてください!
まずは銀座から。明日の夜、搬入であさってからスタート!6日間!
お待ちしていますー。
・銀座三越8F(7/31~8/6)
・渋谷ヒカリエ5F(8/29~9/11)
・YAMANASHI FRINGE MARKET(8/4)
(追伸)
今回の勉強会は、ヤマナシハタオリトラベル出展メンバーの勉強会ということで
クローズド気味に開催しましたが、ヤマナシ産地企業の方で私も受講したい、
というご希望がありましたら、ぜひリクエストよろしくお願いいたします。
(五十嵐)