バナジウムを染色技術に応用した2012-2013年の研究試作品第1弾が完成しました。
これはタンニン(ポリフェノール)を多く含む植物染料(五倍子:ゴバイシ-写真上-)を用いた染色で、従来は微量の鉄を発色補助剤としていたところを、新しくバナジウムを補助剤として発色させる技術で、従来にはない耐光性の高さと濃い黒色を可能にするものです。今回、研究により従来コスト以下で加工できる最適条件が確立しました(あれこれ試して長い時間がかかりましたが)。この技術を用いてシケンジョでシルクを黒染めし、富士北麓の羽田忠織物さんhttp://hadachu.jimdo.com/にてネクタイや紗織りストールに仕上げていただきました。
商品として入手できる段階にきていますので、ご興味のある方は気軽に「好きをかたちに HADACHU ORIMONO」さんHP及びシケンジョにお問い合わせください。
ちなみに羽田忠織物さんによると、フォーマルにおいてグレー及び白×黒系が色として人気が高いそうです。
なぜバナジウムを使うと耐光性が高く濃黒色になるのか?非常に興味深い謎です(現在も、山梨大学及び山梨県環境科学研究所とともに研究中です)。そして、例えば濃い赤等は人によって濃さのとらえ方は異なりますが、黒だけは「光を反射しないで吸収する」「無彩色で明るさが低い」と定義ができ、追求することが許されたカラーであると言えます。
昨年、ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査が実施され、富士山の世界遺産登録へ向けた取り組みは正念場を迎え、ますます注目されるこの地域。Fujiyama made(富士北麓で作っている)かつバナジウムテクノロジーという物語を商品に付与して提供していきたいと考えています(ギフトショーにおいてフジチギラ㈱より様々な植物×バナジウムによるカラフルシルクも展開されています)。
今回の写真、実は初めて自分独りで撮影しました。
構図、ライティング、カメラのF値とシャッタースピード、ピント、ホワイトバランスだけに注意して、マクロレンズも交換して使ってみました。
まだまだですが、開発した技術を魅せる(デメリットもメリットも両方)ためにも必要ですし、なにより文章よりも、まずはうまく撮った写真を見てもらった方が、スピーディに伝わるところがお気に入りです。
実は、数カ月前だと、カメラのピントとズームを間違えて回していたほどの素人で、実験写真等もなんとなく写っていればよいというスタンスだったのですが、
先に実施されたカメラ講座(山上洋平先生)を目の当たりにして、最近は写真撮影技術を高めると非常に使える(商品の魅力を伝える写真講座Ⅱのシャンブレー写真は驚きです)ことがわかり、ちょっとずつ自分の狙いを意識しながらカメラを設定することにトライしています。商品の魅力を伝える補助として、技術や研究成果の魅力をわかりやすく伝えることに役立つからです。
産地企業さんも自社商品の紹介用等にシケンジョの写真スタジオをご利用される機会が増えてきているように感じる今日この頃です。
第2弾は、リネン(麻)×バナジウムテクノロジー使用ウールの、(有)テンジンさんによるランチョンマット、コースター、ネクタイ、ストール等を予定しています。
(上垣)