希望者を募って研修事業「技術者研修」を行っています。
ただいま実施しているのは、ジャカード織の設計技術を学ぶ研修。
6日目の今日は、今年最後の研修でした。
今日は、ジャカード織では織物組織はどのように選ばれているかについて
いろいろな角度から考えてみる勉強です。
この写真は、組織の固さ=サイズと、緯糸の打ち込みの関係を
シケンジョの織機で実演したところです。
写真の下半分は、平織と繻子織を一緒に織っています。
最も緊密に糸が織り込まれる平織の丸い部分は、
緯糸を織り込むときの密度が高すぎて、織るときに織機が「あおって」しまいます。
筬が緯糸を打込んでも、組織が堅すぎるので織り込みきれず、
盛り上がっているのが見えます。密度は70本/インチです。
これ以上、密度を高めると経糸の張力に問題が出てくるでしょう。
まだまだ密度に余裕があります。
生地の上半分は、8枚繻子だけで織っています。
緯糸密度を2倍の140本/インチにしても問題なく、緯糸の黄色が繻子織らしく、しっかり濃く見えています。
緯糸の打ち込みと見え方の変化。70本/インチ(↖)と、(↗)140本/インチ |
このように、どの組織を使うかは、緯糸密度や緯糸の太さとの
関係を考慮し、適切な「固さ=サイズ」であることも重要となります。
このようなことを踏まえつつ、ジャカード柄をどんな風に織りあげるか、
設計の基礎を勉強しました。
大活躍のデジタルホワイトボード。 |
プロジェクターとホワイトボードの珍しい競演。 組織のサイズと[固←→柔]の図と、緯糸密度の関係を説明。 |
組織図の事典をみながら、課題に取り組む研修生。カンニング中ではありません。 |
ここから下は、今日の研修で使用したデジタルホワイトボードのデータの一部です。
経糸密度と口数から、柄の最大リピート幅を計算。ほぼ算数の授業。 |
デザイン画のタテ・ヨコサイズをどう糸本数に合わせるか? |
色まとめとメートル表。メートル=Maître 説 |
デザイン画の織り上がりサイズを基にピクセル数を計算。ほぼ算数の授業。 |
今年のシケンジョテキはこれでおしまいです。
皆さま、良いお年を!
皆さま、良いお年を!
(五十嵐)