今日は郡内織物産地でうまれたブランド「男のための織物、阿吽蜻蛉」のご紹介をしようと思います。阿吽蜻蛉は 財団法人 山梨県郡内地域地場産業振興センターが声かけをし、郡内織物産地の機屋さん数社とデザイナーの米山喜美人さんによって作られた、新しい男の身だしなみを提案するブランドです。
ブランドコンセプト(阿吽蜻蛉HPより)
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蜻蛉(とんぼ)は勝ち虫と呼ばれ、前にしか進まず決して退かない事から、日本では古来より「不退転」のシンボルとして、特に武士が好んで使用した紋様であるとされています。時代は現代に移り、男の「戦場」は「仕事場」へと変化しました。この「男のための織物・阿吽蜻蛉」は、二匹の蜻蛉に阿吽の思想を込め、そんな「戦場」へ向かう男のためのアイテムとして、そして「守護神」として現代社会に生きる男の"粋"を、富士北麓をはじめとする山梨県郡内地域の地場産業である郡内織物に表現しました。
ブランドコンセプトの中にも書いてあるように蜻蛉は前にしか進まないことから、古来戦国時代の「不退転」のシンボルとして、特に武士が好んで使用した紋様でした。特に山梨県ではおなじみ、甲斐の虎 武田信玄の家臣の一人、板垣信方(武田二十四将)の兜には蜻蛉が付いていることでも有名です。戦国時代、兜に堂々とつけられた金属の蜻蛉のモチーフは敵を威圧したことでしょう。
阿吽蜻蛉の一つ一つの商品にも蜻蛉のモチーフがあしらわれており、現代社会で働く(戦う)男を強くバックアップしてくれます。また全体は洗練されたブラックでまとめられており、いかななるビジネスシーンでも使えるようなデザインとなっています。
デザインもさることながら阿吽蜻蛉のブランドを支えているのが、メンバーである郡内織物会社の4社(舟久保織物、有限会社前田源商店、有限会社田辺織物、株式会社山崎織物)!
郡内の繊維産業の歴史は古く、1000年前の平安時代の文献にも出てくるほどです。江戸時代には南蛮貿易の発達と共に郡内の絹織物は多く生産され、高度な技術力を持つ絹織物は「甲斐絹」と呼ばれ全国で名をはせました。また、高度経済成長期にさらなる発展を遂げ、今では高い技術を持つ織物産地として世界のブランドを支えています。また、この産地の特徴として、一つ一つの機屋さんが専門分野(ネクタイ、ストール、裏地、傘地などなど)に特化した生産をしているため、産地の中で多くのアイテムが作れることもこの産地の強みとなっています。
この阿吽蜻蛉というブランドもアイテム別の生地づくりに特化した機屋さんが集まり作られたブランドです。それぞれ個性的な機屋さんが集まり出来たのが阿吽蜻蛉というブランドなのです。
それでは、個性豊かな阿吽蜻蛉の機屋さんメンバーを一社一社紹介していこうと思います。
阿吽蜻蛉の代表を務める舟久保織物の舟久保勝さん。舟久保社長はFUJIYAMA TEXTILE PROJECTや上海の遠征展示会グループなどのプロジェクトでも代表を務めており、機屋さんの中でもキーマンとして動いている方です。舟久保織物の一番の特徴はなんといってもほぐし織りの傘!ほぐし織りとは、同じタテ糸を織機で2回織らなければいけないという、大変手間のかかる織物です。この技法で織られた生地は、柄の周りが独特のかすれ方になり、柄に奥行き感が生まれることで魅力的な生地に仕上がります。もちろん阿吽蜻蛉の商品に入っている傘はここ舟久保織物で織られたほぐし織りの傘です。熟練職人ならではのレアなほぐし織りの傘は、スペシャルな男のためのビジネスアイテムとして強い存在感を放っています。
また、舟久保社長は阿吽蜻蛉は産地にとっても良い流れだと語ってくれました。今までの生産システム(OEM生産)だけだと、発注元からの仕事が無くなってしまえば産地がダメになってしまうという危機感が背景にあるなかで、阿吽蜻蛉の様なブランドをつくり、産地側から発信することによって、今までとは違う新しい流れを作ることができる。そしてその流れが産地全体を後世に残す動きになっていくだろうと話してくれました。
前田源商店は知る人ぞ知るオーガニックコットン織物を得意とする機屋さんです。
創業は大正10年に初代の前田源太郎さんにより、傘生地の買いつぎ業(問屋業)としてスタートしました。会社のロゴマークが傘の形をしているのはそのような経緯を経てるからです。
そののち前田市郎さん(現社長)が後を継ぐと婦人服地をはじめ、その中で、よりよいものを作りたいという思いから、当時日本では糸すら出回っていなかったオーガニックコットンに目を向け、独自のルートでオーガニックコットン糸の開発に取りかかりました。まさに日本におけるオーガニックコットンのパイオニア的存在なのが、前田源商店です。
今でこそ当たり前に売られているオーガニックコットン製品ですが、この当時オーガニックの考え方すら浸透していなかったので、どうしても値段が高くなってしまうオーガニックコットンの価値観を説明するのはとても大変だったそうです。
しかし、今ではオーガニックコットンに対する妥協のない前田源商店のモノづくりの姿勢に、多くのファンが付いています。
有限会社田辺織物は座布団地を作り続けて40年、座布団地づくりのプロフェッショナルの機屋さんです。
創業は昭和21年。先代社長が買い入れた木製の力織機二台で田辺織物はスタートしました。最初は裏地を織っていたのですが、だんだんと夜具地や座布団地の生産もするようになり、その中でゴブラン織り風の座布団がヒットしたことから、座布団の生産に特化した機屋さんになりました。田辺織物は郡内織物産で座布団地づくりを専門でやり始めた機屋さんのパイオニアといっていい存在なのです。
現在は、高い技術力を必要とする金襴緞子を使った、仏間用座布団(通称:テラザブ)などを生産しています。阿吽蜻蛉ではふくさの生産を担当しており、阿吽蜻蛉のブランディングを通して機屋だからこそできるサービスと品質の向上を目指していきたいと、気合十分の田辺社長でした。
創業は古く、大正5年に山崎絹店として絹織物(服裏地、傘地)の仲買業ととしてスタートしました。昭和41年に手がけたフォーマル用の白いネクタイの大ヒットをきっかけに、ネクタイ生地生産に特化。郡内織物産地ではネクタイ生地の生産のパイオニアです。
今では、膨大な織り組織を駆使して作るネクタイ生地のノウハウを使い、服地や変わった組織織りを使ったストールなども作っています。近年では展示会に積極的に参加することで、自社製品のアピールし、その中で多くのテキスタイルコンテストでの賞を受賞している凄腕の機屋さんなのです。
阿吽蜻蛉ではネクタイと扇子の生産を手掛けています。
2000ジャパンテキスタイルコンテスト準グランプリ
2003ジャパンテキスタイルコンテスト入賞
2004 J.C.テキスタイルコンテストメンズアパレル賞
2006 J.C.テキスタイルコンテストレディスアパレル賞
2007 J.C.テキスタイルコンテストニュートラディション賞
ジャパンテキスタイルコンテスト入賞多数
このように、様々な強みを持った機屋さんが「男のための織物、阿吽蜻蛉」の名のもとに集まり、メイドインジャパンのクオリティーを消費者に届けるために、日々丹精込めて織物を織っています。是非、阿吽蜻蛉の商品を生活の中に入れてみてはどうでしょうか?
<販売>
財団法人 山梨県郡内地域地場産業振興センター
〒403-0005
山梨県富士吉田市上吉田2277-3TEL 0555-24-4406
FAX 0555-24-5319
(高須賀)