「特別な道具を使わず、もっと簡単に、織物を楽しく作って学ぶには、
どんな方法があるだろう?」
織物を体験し、理解してもらう方法に、手織りワークショップがあります。
織物初心者の方々に織物を体験してもらうには、ふつうは手織り機を使います。
しかし、手織り機は道具代にふつう数千円はかかります。
十数人もいると全員分の用意はできないし、
交代で体験すると空き時間が多くて待っている間はそれほど面白くないでしょう。
脳裏にニューロンの稲妻が走り、『定規織り』が誕生しました。
今日は、身の回りの物を使った低コストな新しい織物体験手法、
『定規織り』をご紹介します!
まず「織機」というものは、せんじ詰めれば、
次の①~③のように要約することができます。
①経糸が並列し固定されている。
定規織り→ すでに織られた生地の糸を使う。
②経糸に均一なテンションがかかっている。
定規織り→ 定規の弾力を使う。(「弓」状の道具を使った似たような織り方が実在します)
③経糸の間に、緯糸を通す仕組みがある。
定規織り→ クリップを曲げた道具を使う。
この考え方で生まれた、新しい織機による織り方が『定規織り』です。
必要なものは、オフィスや家庭にあるこんな事務用品。
これなら、一人あたり100円程度で織物が体験が可能です!
素材となる目の粗いしっかりした織物生地と、織りたい緯糸が見つかったら、
さあ、織り始めましょう!
準備や手順は、下の図解を参考にしてください。
上の写真は、実際に定規織で緯糸を織り込んでいるところです。
下の写真は、爪楊枝で緯糸をトントン(織物用語で「筬打ち」)しているところ。
下の写真は、緯糸の最後の端を内側に織り込んでいるところです。
織り方(組織)については、いろいろなサイトで紹介されていますが、
シケンジョテキでは「サテンのひみつ」の回が参考になると思います。
ピンと張った部分が織り終わったら、経糸をぐるりと回し、
そうして織り続ければ三日月形一周分の
リボン状の織物を創りみ出すことができるはずです。
下の写真は、2019年8月24日(土)に都内で実施したワークショップの模様です。
「マテリアル&マターコース」の教室。
ゲスト講師としてお招きいただき、織物とはなにか?
山梨織物産地とはどんなところか?というレクチャーに併せて、
ワークショップとして『定規織り』を体験していただきました。
さすが最先端の学校でファッションを学ぶ生徒さんたち。
全員が織物初心者で、わずか1時間ちょっとしかない体験でしたが、
こんなにいろいろな作品が生まれました。
ここで紹介した『定規織り』以外にも、「ゆび織り」など
簡単な織物体験ができる方法はいろいろあります。
興味のある方、ぜひ試してみてください。
※後日、試して出来上がった織物がこちらです!今まで以上にその魅力が鮮明になり、
職人さんたちの創意工夫や苦労が
よりはっきりと実感できるかもしれません。
(五十嵐)