2012年6月29日金曜日

Fujiyama Textile Project 2012 スタート!!

富士吉田織物企業と東京造形大学テキスタイル学科の学生とのコラボレーション企画、「Fujiyama Textile Project」も今年で4年目を迎えます。

そして毎年この時期になると行われるのが、学生と企業のマッチングを兼ねた初顔合わせ!
期待を胸に富士吉田織物企業チームが東京造形大学にやってきました。


毎年大変お世話になっているテキスタイルデザイナーの鈴木マサル先生。 鈴木先生は以前から郡内織物産地のコーディネートやデザインの指導をしてくださっていて、そのご縁から鈴木先生が准教授として教鞭をふるう東京造形大学とのコラボレーション企画にもずっと関わっていただいています。
なお、背景にあるムーミンのイラストは鈴木先生とは全く関係ありません
鈴木先生はムーミンの公式な商品デザインで最高賞を受賞されていることをご存じの方も多いことと思いますが、このホワイトボードの絵は「断じて違う!」とのことです。くれぐれもご注意ください。


さてこちらは、織物企業のプレゼンテーションの様子。各社の業務内容や、今までのプロジェクトでどのような織物を織っているかなどを話していきます。

続いて学生から織物企業に向けてのプレゼンテーション。さまざまなアイデアが飛び交います。

投げかけられたアイデアをさっそく、織りで表現するにはどうするかと悩む、宮下織物の宮下珠樹さん。コラボレーションはさっそく始まっているようです。

こちらはプロジェクトメンバーの団長、舟久保織物と今年唯一の男性学生、岩室君とのペアー。

ヤマナシ産地ならではの洋傘での「ほぐし織」技法を使って、
男が持つ、おしゃれな傘をテーマにデザインしています。
男性用と言うことで、全てオスの生物がモチーフになっています。
どんな仕上がりになるか楽しみです。

こちらは4年目にして初の3人トリオ。
両手に花の渡小織物の渡辺太郎さん。真野さん、山根さんとネクタイを製作していきます。

ぜんぶのペアはご紹介できませんでしたが、学生と織物企業の6組のペアが誕生しました。
今年も若さあふれる東京造形大学のパワーが郡内織物産地を動かしそうな予感のする、初顔合わせでした。
8月初旬には学生たちが山梨産地を訪問し見学会も予定されています。
また動きがあり次第報告します。お楽しみに!
(高須賀)


2012年6月18日月曜日

ファイルNo.15 「明治43年 織物標本帖 No.7」

シケンジョに眠るビンテージテキスタイルの紹介コーナー「シケンジョ書庫より」です。

明治43年に集められた着尺地(着物の生地)の織物見本帳です。
日本全国の着尺地が集められているので、バリエーションに富んでおり見ごたえがあります。
強撚糸(撚りの強くかかった糸)や組織
織りを使った立体的な織物が多く集められています。

とにかく、この時代の織物は手の込んだものが多く、このような織物が生活の中にあふれていたと思うと、なんだかうらやましく思いました。








(高須賀)

2012年6月14日木曜日

染色加工会社がなぜ、どのように自社ブランドを育ててきたか

シケンジョからセミナーのお知らせです!


自社ブランドmonomatopée 」等が好評な、葛飾区の染色加工会社「丸枡染色㈱」の四代目にして自社ブランド開発の中心人物、松川和広さんを招いてのセミナーを開催します。
生産工場のブランド化、情報発信の強化の必要性といった観点から丸ごとお話を伺ってしまおうという内容のセミナーですので、これから生産工場のブランド化を考えている企業さんには大注目のセミナーとなっています。

ただいま絶賛申し込み受付中なので、下記のURLからドシドシご応募の上、ご参加ください!

http://www.pref.yamanashi.jp/shinchaku/kougyo-fj/2406/entry_2.html


*日時 平成24年6月21日(木) 19:00~20:45
*場所 富士吉田商工会議所 2階大会議室
*テーマ
 『染色加工会社がなぜ、どのように自社ブランドを育ててきたか
  ~monomatopée & marumasuのブランド戦略~ 』

*講師 松川和広 氏(丸枡染色株式会社 企画開発・営業/部長)
*コーディネータ 鈴木 淳氏
 客員研究員/台東デザイナーズビレッジ村長
*共催 山梨県富士工業技術センター/富士吉田商工会議所繊維部会

*ただいま参加者募集中!お申込みはこちら↓のフォームからどうぞ。

http://www.pref.yamanashi.jp/shinchaku/kougyo-fj/2406/entry_2.html
※富士吉田商工会議所繊維部会の方は会議所までお申し込み下さい。

*参考リンク
『monomatopée(モノマトペ)』 

http://tokyo-marumasu.com/monomatopee/

『marumasu』
http://tokyo-marumasu.com/marumasu_stole.html




2012年6月12日火曜日

高級インテリア生地の株式会社アルル

高級インテリア生地を織っている「株式会社アルル」の提携工場にお邪魔してきました!!


まず工場に入って、びっくりしたのが、この経糸(タテイト)!!
なんと経糸に10色も使っている、驚きの経糸です!!


経糸が10色もあるといっても、どこがすごいのかわからない方もいると思いますので、今日は少し、経糸の作り方のお話をしようと思います。




まず、布を織るときの方法として、大きく分けて「後染め」と「先染め」の二種類があります。この二種類の方法は簡単にいうと糸の準備工程の違いで説明することができます。

一つ目の「後染め」という方法は、布を織った後に染料で色をつける方法です。この方法では通常、白い生地を大量に織ってから染色をするため、一種類の生地から沢山の生地を染め分けることができます。後染めの地となる生地を織る工程は、白い生地を効率よく生産することができるので、安価であり、なおかつ大量の生地を生産することができます。
生産性の高さから、私たちの生活の中にある布はほとんど「後染め」でできているものが多いです。


もうひとつは「先染め」という方法です。この方法では生地を織る前段階の糸に染色を施し、その糸を織機にたてます。経糸に色が付いているため、経糸を張ってしまったあとは経糸の色の生地しか織ることができないため、小ロットでの対応が難しく、自ずと生産性も悪くなってしまいます。しかし、経糸と緯糸の色を変えて織ることができたり、立体感のある柄を織り出すことができるので、高級感のある生地を作ることができます。シャンブレー生地やゴブラン織りなどはこの方法で織られたものです。



上の写真は株式会社アルルの工場の織機の経糸です。見ての通り、経糸に色がついいているので「先染め」ということになります。


このようなカラフルな経糸を巧みに操り、柄を織り出していくことで、プリント生地に負けないような色鮮やかな柄の生地を織っていきます。
織られた生地をこのブログでお見せすることはできないのですが、織りあがった生地は美しい柄と重厚感があり、宝石のような生地になっていました。

上の生地の画像は株式会社アルルで織られたものではないのですが、緻密な経糸や緯糸使いの計算をすることで、このようなカラフルかつ織物特有の立体感を持った生地を織ることができるのです。(写真:シケンジョ書庫より)



~~~~~おまけ~~~~~
こちらは経糸が切れてしまったとき感知してくれる、ピンドロッパー。
経糸が10000本あれば10000個のピンドロッパーが付いてます。


毎度おなじみ、織物の要である綾。
いつ見ても美しいです。
経糸がいつでもメチャクチャにならないのはこの綾があるおかげです。




(高須賀)

2012年6月11日月曜日

ファイルNo.14 「昭和51年度収集 甲州織収集見本 インテリア、ブロケード No.12」

シケンジョに眠るビンテージテキスタイルの紹介コーナー「シケンジョ書庫より」です。

今回ご紹介するのは昭和51年に山梨県で織られたインテリア生地やブロケード生地を集めた織物見本帳。

郡内織物産地は様々な種類の生地を生産できることで有名です。マフラーやストールなどのようなものから、ネクタイ、裏地まであるのですが、ひとつこの産地の特徴をあげるとすれば、細い糸を扱うことがとてもうまい産地なのではないかと思います。ここでご紹介する見本帳でも、この産地の強みである、先染めで細い糸使いのインテリア生地やブロケード生地がたくさん集められています。







(高須賀)