今年10周年を迎える「フジヤマテキスタイルプロジェクト」の
発会式が開催されました。
※このプロジェクトについては、こちらの記事をご覧ください。
第一部のセレモニーでは、富士吉田市、西桂町、富士吉田商工会議所及び富士吉田織物協同組合を代表する来賓から祝辞をいただき、
「思えば10年ちょっと前、この産地に来たときは、みんな暗かったねー!(笑)」
笑いを交えながら、産地の雰囲気が10年間で大きく変わり、
生き生きとしたにぎやかな様子に変貌してきたこと、
その原動力として続けられてきたこのプロジェクトのあゆみが、
しみじみと思い返されるようなスピーチでした。
そして、プロジェクトが始まったころ、産地を盛り上げようと大活躍していた
富士吉田織物協同組合の天野開発部長、人呼んで織協の「天野っち」の話題が出ました。
当時の天野さんが、今の状況を見たらどんなに喜んだろうか、と。
10周年を見ることなく、すでに他界されている天野さん。
天野さんは10数年前、鈴木マサルさんとハタヤの若手後継者たちを結びつけ、
「暗かった」産地を変えようと、ハッパをかける存在でした。
天野さんがいなかったら、もしかしたらこのプロジェクトも生まれず、
産地の姿はまったく違ったものになっていたかもしれません。
そして誕生したこのプロジェクトは、鈴木マサルさん監修のもと、
若手デザイナーが産地へ移住したり、新しい商品ブランドが生まれたりと、
さまざまな形で産地に影響を与えて行くこととなりました。
その影響力については、下の記事に詳しくまとまっているので、ぜひご覧ください。
・ハタオリマチのハタ印 「山梨ハタオリ産地の関係性を一挙大公開!」
第2部は、学生のアイデアや進捗についてのプレゼンテーション。
9社対9人の組み合わせからどんな作品が生み出されようとしているのでしょうか?
メンバー同士は5月17日の顔合わせから約2か月半を過ごしているので、
中間発表的な側面も含めて、プレゼンテーションが行われました。
[ 鈴木龍之介さん × (有)田辺織物さん ]
すし職人のいでたちでトップバッターに立った鈴木さんは、コラボ2年目。
1年目に提案した、お寿司をイメージした名刺入れを発展させるプレゼンでした。
鈴木マサルさんと、コラボ一期生の高須賀活良君(元シケンジョ臨時職員 上の写真右)が
愛のこもった鋭いコメントで発表者のプレゼン内容にアドバイスを加えてゆきます。
学生たちは、講評を受ける鈴木龍之介さんの姿をみて、ますます緊張を高めている様子です。
[ 片岡美央さん × 光織物(有)さん ]
コラボ2年目の片岡さんは、タイルをイメージした色、質感、デザインの生地を提案。「タイル」と「テキスタイル」の相性はなかなかよさそうです。
[ 工藤麻衣さん × WATANABE TEXTILEさん ]
[ 一松 岳さん × (株)オヤマダさん ]
一松さんは、海のイメージから生まれたボーダー柄のオーガンジーで、縞柄が透けて見えるバッグを作る提案。
[ 八代真帆さん × 武藤(株)さん ]
八代さんは武藤(株)さんとの2年目。細番手のモノトーンだった一年目から、太番手のカラーへの発展を提案。
[ 平沢健太さん × 舟久保織物さん ]
今回最も会場を沸かせたのが、平沢さん。伝統的なほぐし織の絵柄をグラフィティで塗りつぶすデザインを提案しました。しかし会場を盛り上げたのはデザインそのものよりも…
平沢さんは「こんなに明るいところで…」と恥ずかしそうに困惑しながらも、会場をしっかり温めてくれました。
[ 藤川稔也さん × (株)槙田商店さん ]
藤川さんが提案するのは、生地の取り方でデザインが様々に変化する傘生地のデザイン。
藤川さんと槙田商店さんの打ち合わせには同席させてもらいました。
ここに来るまでどんな試行錯誤があったかを見ているので、応援したくなります。
[ 松本夏海さん × 渡辺明彦織物さん ]
トリを務める松本さんは、「ひっぱり」と呼ばれる残糸を使った即興性のある縞柄。
富士吉田商工会議所の堀内光一郎会頭(上の写真)は、発会式のセレモニーは所用のため欠席されていたのですが、学生によるプレゼンのためにわざわざ後から駆けつけてくれました。
堀内会頭をはじめ、たくさんの地域の人達がこのプロジェクトに期待し、応援していることが実感できました。
10月6、7日に開催されるハタオリマチフェスティバルでは、
この発会式でプレゼンされたデザインが完成し、展示会の開催が予定されています。
また、このプロジェクトの10周年を記念する特別展やイベントも計画中とか。
これから生み出される作品も楽しみですが、ハタフェスでのイベントも大いに期待できそうです。
(五十嵐)