2014年2月28日金曜日

公設試の新しいアウトプットのカタチ ブログ「シケンジョテキ」波及効果


微量金属を利用した発色研究をしているUです。

繊維製品消費科学会誌の2014年2月号に
ブログ「シケンジョテキ」から広がるヤマナシハタオリの活動を題材として、地元産地、産地企業及び製品等の魅力をPRさせていただきました。

これは、連載シリーズ「地域繊維産業」解説原稿の依頼を受けさせていただいたもので、
今回のように、ブログを題材とした産地全体の活動に関するものは過去にも例がなく非常に目立ったものになったと思われます。

構成は以下のようになっています。
・緒言
・可能性の根拠
・シケンジョテキ誕生秘話①②
・シケンジョテキ解説の趣旨
・シケンジョテキミニ歴史
・シケンジョテキの手応え
・シケンジョテキの効果
・まとめ

こ難しい研究論文と異なり手軽にスピーディにお伝えできる
公設研究機関の新しいアウトプット手段としての可能性があることを、提案させていただきました。

【今回写真として掲載できた主なもの】
・PAKIPAKI(ぱきぱき)
・TATAMIテキスタイル
・商標
・ヤマナシハタオリトラベル(フェイスブックはコチラ
・産地見学バスツアー(東京⇔山梨)
・ギフトショー(2013、直近の2014はコチラ ←苔シリーズのクッションも載っています!)

産地製品として
GOSHUINノートCOCIOROSO(コシオロッソ)
・みやしんセミナー
等、これまでのブログ「シケンジョテキ」でご紹介させていただいた写真を用いた、なかなか壮大な解説となりました。
学会誌はモノクロ印刷ですので、読者が興味を持っていただいてブログにアクセスしていただき、綺麗なカラー写真をみてもらったり、実際に産地へ足を運んでもらうキッカケになるとよいです。


左ページ:最初の図はポリエステル蛍光染料をカメムシに例えた自作イラストから始まります。

右ページ:2013年11月時点で執筆しました。
このときのアクセス数(8万ビュー)が天井かと思っていましたが
現在10万ビューを越えており、注目度はまだまだ伸びているところです。

PAKIPAKI

TATAMIテキスタイル
商標
COCIOROSO(ギフトショーにヤマナシ企業出展中!より)

ヤマナシハタオリトラベル@渋谷ヒカリエ開催中!より
Rooms27出展!/山梨「地場産エリア」レポート②より
FUJIYAMA TEXTILE PROJECT2009-2013吉田織物マインドを揺さぶるより
ヤマナシ ハタオリ トラベルin岡島百貨店より
 
ブログで過去紹介させていただいたワイン業界に学ぶブランディング術やジュエリー関連も触れさせていただきました。

丸藤葡萄酒セミナーより
山梨宝飾産業見学より
みやしんセミナーより

産地見学バススアーに関してはレポートが沢山あります。
(シケンジョテキ バスツアー)で検索していただきたいと思います。

出典元(繊消誌,Vol.55 No.2 p104-p114(2014))

(上垣)


2014年2月24日月曜日

ヤマナシハタオリトラベル in 布博2014!

布博2014」が2月21日(金)~23日(日)、町田パリオにて開催されました。

「かわいい布博」から「布博」に名称変更し、大好評のなか開催された第3回目の布博。
富士山のふもとからヤマナシハタオリトラベルも初参戦しました!


といっても、展示販売ではなく、トークショー。
 
出演したのは、
エキュート立川を皮切りに、様々なショップで
ヤマナシ産地のハタヤさんによる期間限定ショップとして開催された
ヤマナシハタオリトラベルの発起人、㈲テンジンの小林新司さんと、
シケンジョの私、五十嵐の二人です。 

布博を開催する手紙社 でイベント企画運営をされる藤枝さんからのオファーで生まれた企画です。
 


藤枝さんは、なんと!このブログ「シケンジョテキ」でヤマナシハタオリトラベルの活動を知り、
興味を持ってくださったとのこと。

写真は少ないですが、ちょっとだけでもレポートしないわけにはいきません。

布博エントランス正面にある、布博マップ。
布やバッジなど、現物が張り付けられています。


会場の様子。

そこいらじゅうに可愛らしいテキスタイルや小物などがあふれていて、
大勢の布女子(ふじょし)の皆さんがつめかけています。

奥の方で密集しているエリアは、「ブローチ博」コーナー。人口密度、高いです。


そしてトークショー。

タイトルは、
『織物工場を巡る旅の話』。

さすが手紙社、と思わせるいいタイトルをつけてくれました。藤枝さんのご提案です。

その藤枝さんの司会進行のもと、小林さん(左)と私(右)で、
ヤマナシハタオリトラベル誕生のきっかけや、目的などをご紹介しました。
そして、ヤマナシ産地というのがどんなところなのか。



↓パノラマ撮影した会場。隣は東京造形大学で教えているという、KATA KATAさん。


聴講してくださった方は、おそらく20~30人程度でしょうか。

布博に来られている方々なので、テキスタイルに対する関心は
人一倍高い人たちと拝見しましたが、
それでも産地というもののイメージがわかない方が大半の様子。

得るものがあっただろうか?伝わっただろうか?

と不安を感じながらトークショーが終わるってみると、
熱心な布女子の方々が、終わっても会場を離れずに、
色々な言葉を投げかけてくれました。

「大学生だけれど、卒業したら産地で働きたいんです。
 どうやって求人情報を知ることができますか?」

「アパレル会社で企画をしていましたが、退職して自分でブランドを始めました。
 産地にオリジナル生地をお願いすることができますか?」

「産地訪問バスツアーに参加したいです!」

などなど…。


30分程度のトークで伝えられることはわずかですが、
それよりも、産地に対しての関心度がテキスタイル好きの方々のあいだで高まっていること、
また一方、それにも関わらず、その受け皿となる情報源がない、
ということをあらためて肌で感じることができました。


産地のみなさん、
テキスタイル産地で働きたい、という殊勝な若者たちが、求人情報を求めているようです。


若手を雇いたい、と考えている織物企業の皆さま、ぜひシケンジョまでご一報ください!



(五十嵐)

トークショー写真撮影:Souya





2014年2月18日火曜日

大雪の山梨、富士吉田産地から

先週末から山梨県全域はこれまでに経験したことのない大雪に見舞われ、
富士河口湖町で143cmという、観測史上最大の降雪量を記録しました。

現在も県内各地で孤立した状態の集落があり、足止めによる帰宅困難の方もいまだ多く、被害が続いています。


※県全体の大雪被害状況については以下のサイトをご覧ください。

https://www.pref.yamanashi.jp/kinkyu/h26setsugai.html

※山梨日日新聞のサイトでも最新の交通情報や生活情報が提供されています。
http://www.sannichi.co.jp/

シケンジョのある富士吉田市でも、国、自衛隊、県、市、
そして地元住民のみなさんが全力で除雪作業にあたっている状況です。
富士吉田は寒冷地ではありますが、ここまでの大雪は異例のことで、
また山梨県全域に及び短時間に記録的な積雪量となったため
交通機能が麻痺状態に陥り被害の全体は把握できない状況にあります。

17日月曜日、シケンジョでは、産地の被害状況を把握するため、
歩いて確認できる範囲のハタヤさんだけでも、と訪問してきました。

これまでバスツアー等で産地を訪問してくださった方々から、
シケンジョ職員へご心配やお見舞いのメールをいただいていることもあり、
まずは現在のハタヤさんと町の様子を速報的にでもお伝えできればと思います。

このような状況下ですので、取り急ぎ断片的な内容でのアップとなりますが、
ご容赦ください。

リネンのブランドALDINを手がける(有)テンジンさん。
いつもシケンジョテキに登場している専務の小林さんは日本橋三越
に出展のため出張中。
奥さんはじめ、ご家族と近所のみなさんが協力して雪かき真最中でした。
だいぶ進んでいます。


工場からハタ音が聞こえていたので「織ってるんですか?!」と聞いたところ、
「織ってますよ〜」と笑顔。
まだ通常操業できる会社は少ない状況の中、
小林さんの留守もしっかり守られている様子に安心しました。

小林さんも18日が撤収日、今朝8時間以上のドライブで帰宅されたそうです!)テンジンさんへ入る道の入り口にある、商工会議所も、職員総出で除雪の真最中。
「何しろ記録的な雪だから撮っておいて!」と。

午前中はとにかく吉田じゅうスコップを持って外にいる感じ。
土日からずっとひたすら総出で雪かき、という日々が続いています。

つづいて道を下り、前田源商店さん。

会社前から大通りに出る道がまだ車が通れる状態ではないので、ご兄弟で除雪作業中。

着いた瞬間、「被害は…」「あれを見て!」とお隣のフジチギラさんへ誘導されて
見ると、玄関の軒が雪で落下していました…。
下に人や車がなかったことは幸いですが、屋根雪の重さは想像以上のものです。


この地域は豪雪地帯ではないので、建物や屋根の形状も、重い積雪に備えた建築にはなっていません。
甲府方面でもカーポート等が崩れた家が多くあるようで、
富士吉田市内でも看板やアーケードが傾いている様子はあちこちで見かけました。

社員総出でフルスピードで雪かき中の加藤社長に、
「社長大丈夫ですか?撮っていいですか?」と聞くと、
ばっちり、ポーズを決めてくださいました…
フジチギラさんは、つい先日まで、ギフトショー出展等で大忙しの最中の大雪、
困難なときこそ、笑顔で乗り切るしかないのです!


そして、前田さんに戻ると、
「ちょうどハタヤさんが紋紙しょって帰るところだから、撮ったら?」と
…紋紙しょって帰るって…?と驚きながら、撮影させていただきました。

前田さんのオーガニックコットンを織っている、明見にある工場の舟久保さん。
車が走れないので、徒歩で紋紙を迎えにきたとのこと。
ハタヤ魂、すごいです…。

 
登山用のリュックを探し出して、紋紙を入れて、、、
「大丈夫ですか?」と聞くと
「まだ食料も入れてくれてもいいよ(笑)写真撮るんじゃ、
おまき(
男巻)しょった方が格好良かったか…」
…頭が下がります。
ハタヤさんの力強さに元気をもらいます。

とにかくお気をつけて…!
と見送りながら、車のない時代の織物産地は、
こんな風だったのかな、と想像していました。
雪かきをしながらも、ハタヤさんたちは物流が復旧次第、
出来るだけ早く商品を届けられるよう、みな今出来る段取りは、懸命に進めています。

さらに道を下って、高山織物整理さんへ。除雪作業中。


工場の横に積もった雪。
熱と水を多く必要とする整理加工業、ボイラーは大丈夫ですが、
排水が出来ない
状況のため営業できない、とのこと。

地域の中に雪の捨て場がなく、道の脇に重機で除雪した雪がまだ人の身長ほどあります。
日が出ても気温が低いので溶けずにそのままです。
「雪をかいても捨て場がなくて…」という言葉もあちこちで聞きました。
続いて妙高富士染工場さん。やはり雪と排水の問題があり、本日は操業できず。
屋根の積雪で、工場の一角に水が染みてきていて、状況も見せていただきました。
他の所でも、工場の屋根が心配、という話を聞きました。
まずは道の除雪をしている状況ですが、初めて体験する雪の量、
屋根雪の対策も不安があります。



さらに下って、渡小織物さんへ。
太郎さんも、お父さん、弟さんと3人がかりの雪かきで
ようやくここまでの状態に、とのこと。



工場の裏、自宅に続く長い雪かき道、長く深いです。
金曜夕方からの一晩に、短時間で急に積雪量が増したので、
どの家でもまずドアから道路までの出口を作るのに数時間を要しました。
今現在も、山間部やお年寄り世帯では、
まだ雪で塞がって出られない家があることが心配されます。

市の中心部でも、土日はみなそれぞれ自分の家と半径数十メートルの地域の雪をかき、
道をつくることで必死でした。
途中、重機とすれ違って、太郎さんが挨拶していました。
「寝ずにかいてくれてるよ。」とのこと。
除雪作業にあたっている方も、多くは地元の業者の方で地域の仲間でもあり、
重機も人手も足りない中、不眠不休です。


渡小さん近くのコンビニ。
雪で動けなくなり放置されたトラックや車がまだそのままです。

また昨日は、地区の上の方で、側溝に捨てられた雪がつまり、
渡小さんの前の道路で氾濫したため、
地区の消防団で雪で堰を作る対応に追われたそうです。
防災無線でも呼びかけていますが、除雪した雪を側溝に捨てると、
下流の地区で被害が出ますので、くれぐれも捨てないでください!
歩きやすい除雪状況の裏道を教えてもらい、田辺織物さんへ。


ちょうど車が出せる程度の幅分、かき終えたところでした。
週末からずっとかいてようやくここまで、という状況だそうです。
「お米はあるからなんとかなる!」と頼もしい田辺さんの笑顔。

こちらからまだ行くことができない、西桂町の状況については、
槙田商店さんが、ブログで状況報告をしてくださっています!
http://makita-sb1.jugem.jp/

ブログにある玄関を開けた時の驚愕を、産地の皆が、土曜の朝体験しました…。

ハタヤさんたちは、笑顔でとにかく一歩一歩、
いつもどおり営業できるよう進んでいます。

富士吉田のように高齢化が進む地方では、
働き盛りの、特にハタヤさんのような自営業の方は仕事だけでなく、
多くが地域の消防団や自治会でも重要な役割を担い、
もちろん家族を守るお父さんでもあります。
このような大雪のときには、すべての役割が同時に求められる状況で、
とにかくみなさん頑張っています。

状況を聞いて歩いている最中も、サイレンやヘリコプターの音が聞こえ、
近所のスーパーやガソリンスタンドの状況を心配し合う声が飛び交い、
危険とストレスに囲まれた災害状況は続いています。

今日歩けた市内中心部は相互に助け合って少しずつ前に進んでいます。
郡内地域は先週末にもかなりの積雪があり、
雪かきにおわれたばかりで、今回の大雪だったため
笑顔をみせてくれた皆さんも休みなしの状況で、体の疲れもたまっている様子。

とにかく無理せず、怪我や事故のないようにと、強く思いました。

高速道路から復旧しつつありますが、
県内では人命救助とライフラインの確保が最優先の状況です。
今週、さらに雪の予報もあり、予断をゆるさない状況が続きます。
商品の物流が回復し、この地域の産地が通常どおりに動くには、
まだ時間を要すると思われます。

ヤマナシ産地からの生地や商品を待っている皆さんにはご迷惑をおかけしますが、
このような雪害の状況を、少しでもご理解いただければ幸いです。


郡内地域の繊維関連企業の皆さま、
操業上の雪害の状況について、シケンジョまで情報をお寄せください。


この雪解け水が織物産地を支えていることを思うと、
自然を憎むわけにはいきません。

富士山に美しい春が早くきますように!



(秋本)

2014年2月14日金曜日

有松絞り×バナジウム染色技術2014

微量金属を利用した発色の研究をしているUです。

以前、ブログで高耐光性濃黒色染色に関する研究についてご紹介したことで、現在有松絞り産地と山梨産地とのコラボが産まれています。

現在シケンジョでは、黒色のコア技術となる緑色に関する研究を続けています。

今日はシケンジョが独自に委託していた(有松絞り加工)を施したストール(*)が届きましたのでご紹介いたします。

(*)シケンジョのバナジウム染色技術における研究試作品で、従来技術で困難とされる色彩の発色に関するものです。




 

 
こちらは提示した図案をもとに、各種絞り技術で可能な柄にリデザインしてもらったもの。
実際のストールを見て、納得の仕上がりでした。
 
(上垣)
 

2014年2月7日金曜日

ヤマナシ産地 in ギフトショー春2014

第77回東京インターナショナルギフトショーに、ヤマナシ産地が登場しています。
ギフトショーは今日までです(2月5日(水)~7日(金))。
ビッグサイト周辺の方、ぜひご訪問を!


なお、前回お伝えした、六本木ル・ベインでの「富士山テキスタイルプロジェクト」展示は9日まで。

デフリシュール吉祥寺でもヤマナシハタオリトラベルのスピンオフ企画が進行中(14日まで)なので、
2/7現在、都内3か所でヤマナシ織物産地を見られることになります!

まず西館のACTIVE CREATORSコーナーに隣接したこちらの4社からご紹介。
ブースNo.4029~4032です。




㈲光織物×デザイナー井上 綾さんの『 kichijitsu 』。

ちなみにこのエリアの4社のブースは、テキスタイルデザイナー、鈴木マサルさんがプロデュースしています。

同じく鈴木マサルさんプロデュースの六本木ル・ベインも同時期なので、
2つ同時ではさぞお忙しいことか…!
と思っていたら、「1週間に4本」あるとのこと!
そのうちの1本、TABLOIDでのムーミンファブリックはこちら







kichjitusuの人気商品、GOSHUINノート

新作の
鹿も好評です。



そのとなりは㈲田辺織物×デザイナー高須賀活良君(おなじみ、元シケンジョ臨時職員)のcocioroso(コシオロッソ)
ネーミングも商標登録されての2年目。
前回は折り紙の質感でしたが今回は「苔」をテーマに、思わず座りたくなる製品を提案しています。












1月22日のセミナーに講師として来県してくれた、坂口昌章さんもブースを訪問してくれました!




そのお隣は、(株)前田源商店の新しいブランド、「kai's organic product」。

山梨県在住のファッションデザイナーの小澤優美さん、グラフィックデザイナーの保坂芙美子さんをブレーンに招き、昔からこだわっているオーガニックコットンをフィーチャーしたアパレルブランドをこのギフトショーでデビューしています。
要チェックです!
 











そして4社目は、(株)槙田商店
いなせなブルーストライプが格好いい、晴雨兼用の新商品の提案ブースです。





そして次は東館、「中小企業総合展」にブースを構える、草木染の自社ブランド「千紫万紅(せんしばんこう)」を展開するフジチギラ(株)
富士山のふもとで生産した植物による草木染めを打ち出しています。







そして再び西館。
織物ではありませんが、市川大門の紙製品メーカー、㈱マルアイのブースを訪問しました。

※写真はシケンジョで撮ったものです。

のし紙のような「こころふせん」など、紙をつうじて人と人を結びつける心にくい商品が素敵です。
ちなみに、こころ付箋つきのお菓子をくれた「しみず」さんは、
2年前のミラノ研修でご一緒した同窓生です。





次は番外編、ギフトショーとは別会場、TABLOIDで開催されている「ててて見本市」に立ち寄って

山梨県の和紙ブランド、(株)大直の「SIWA」ブースを訪問しました。




新製品、葉っぱのかたちのしおり。
ステキです…。


寒空の下ではありましたが、あちこちでヤマナシのデザインが花開いている

東京からのレポートでした!


(五十嵐)