その名も「LOOMを持って旅に出よう」を開催しました。
シケンジョが2月に発行した冊子LOOMに掲載されているハタオリ職人、工場、街並みに実際に出会う旅、というテーマで企画したバスツアーです。
LOOMをお持ちの方は、できれば"LOOMを持って" このレポートをご覧ください!
LOOMをお持ちの方は、できれば"LOOMを持って" このレポートをご覧ください!
新宿西口を出発して95分、河口湖インターで中央道を降り、富士吉田市の小室浅間神社へ向かいました。
富士山の近くにあって規模の大きな「北冨士本宮浅間神社」に対して、
富士山麓をさらに下ったこちらは、「下浅間(しもせんげん)」と呼ばれています。
LOOMでは、kichijitsu を紹介したこのページ(p.18)でロケに使われました。
下浅間では、9月に行われるお祭りで、流鏑馬に使われる神馬が飼われています。
下浅間から徒歩で、下吉田駅へ。
下吉田駅は開業1929年(昭和4年)、かつて織物生地の出荷基地でもあった駅です。
2009年に工業デザイナーの水戸岡鋭治氏のデザインによりリニューアルしました。
2009年に工業デザイナーの水戸岡鋭治氏のデザインによりリニューアルしました。
水戸岡鋭治氏の描いた鳳凰が駅の待合室の天井から乗降客を見守っています。
参加者の皆さんに、LOOMで紹介した織物産地企業を取り囲む街並みと、
産地の歴史を知ってもらうところからバスツアーがスタート。
次はいよいよ、LOOMに載っている織物工場へ向かいます。
最初の訪問先は、(有)羽田忠織物さん。
今回は羽田さんの工場まで、(有)テンジンの小林さんに商品持参で来てもらいました。
さてここで、LOOMをお持ちの方は、p.10をご覧ください。
そう、(有)羽田忠織物さんと(有)テンジンさんが対談しているページです。
今回のバスツアーでは、LOOM誌上で対談している写真と同じ場所に並んでいる風景を再現しようというわけです!
産地の歴史を知ってもらうところからバスツアーがスタート。
次はいよいよ、LOOMに載っている織物工場へ向かいます。
最初の訪問先は、(有)羽田忠織物さん。
今回は羽田さんの工場まで、(有)テンジンの小林さんに商品持参で来てもらいました。
さてここで、LOOMをお持ちの方は、p.10をご覧ください。
LOOM p.10-11 |
今回のバスツアーでは、LOOM誌上で対談している写真と同じ場所に並んでいる風景を再現しようというわけです!
LOOMの対談を見ていただくとわかるように、
ハタヤさん同士の信頼関係や仲の良さが、ヤマナシ産地の魅力のひとつであると思います。
バスツアーの参加者を迎えてくれた羽田さん、小林さんの和気あいあいな様子から、
その魅力が伝わって来たのではないかと思います。
ハタヤさん同士の信頼関係や仲の良さが、ヤマナシ産地の魅力のひとつであると思います。
バスツアーの参加者を迎えてくれた羽田さん、小林さんの和気あいあいな様子から、
その魅力が伝わって来たのではないかと思います。
OEM事業から自社ブランド事業へと軸足を移している(有)羽田忠織物さんは、
ブランドイメージを伝えるアトリエ兼ショールームを作りました。
自社ブランドで生きていくという、ご自身曰く「覚悟を決めた」ことが一目で伝わる、
気合の入った素敵な空間です。
つぎは二班に分かれて、隣接する工場を見学。
工場に積まれているのは、昔から使われている紋紙。
ジャカード織機を動かすプログラムが紙というアナログ媒体に記録された刻まれたものです。
工場に積まれているのは、昔から使われている紋紙。
ジャカード織機を動かすプログラムが紙というアナログ媒体に記録された刻まれたものです。
羽田忠織物さんのオシャレなネクタイは、
こうした伝統的な技術に支えられ、職人技を駆使して丁寧に作られています。
そんなことを参加者にお話しする羽田さん。
羽田忠織物さんのあとは、ランチです。
メニューはもちろん、LOOMにも掲載された「吉田のうどん」。
ハタオリ工場のまかない食として定着し、いまは富士吉田の名物となっています。
訪問したのは、LOOMのp.08に掲載されている「みうらうどん」。
テーブルクロスの水色のギンガムチェック模様、LOOMの写真を見比べてみてください。
メニューはもちろん、LOOMにも掲載された「吉田のうどん」。
ハタオリ工場のまかない食として定着し、いまは富士吉田の名物となっています。
訪問したのは、LOOMのp.08に掲載されている「みうらうどん」。
テーブルクロスの水色のギンガムチェック模様、LOOMの写真を見比べてみてください。
LOOM p.08 |
次は(有)テンジンさんへ。
LOOMをお持ちの方は、p.12-13 をどうぞ。テンジンの写真が載っています。
小林さんの奥様、貴子さんがリネンの織物の魅力について教えてくれました。
LOOMをお持ちの方は、p.12-13 をどうぞ。テンジンの写真が載っています。
LOOM p.12-13 |
小林さんの奥様、貴子さんがリネンの織物の魅力について教えてくれました。
この草が、原料のリネン(亜麻)。
茎の繊維を取り出して、紡いだものが糸になります。
上品な光沢のあるリネンは、水にも強い丈夫な繊維で、年を経るごとに風合いをかえていきます。
長いあいだ使いながら、育てていけるテキスタイル素材なのです。
茎の繊維を取り出して、紡いだものが糸になります。
上品な光沢のあるリネンは、水にも強い丈夫な繊維で、年を経るごとに風合いをかえていきます。
長いあいだ使いながら、育てていけるテキスタイル素材なのです。
(有)テンジンさんの織機は、シャットル・ドビー織機。
ゆっくりとしたリズムで、やさしい風合いのリネンを織りあげます。
ゆっくりとしたリズムで、やさしい風合いのリネンを織りあげます。
(有)テンジンさんでは、すぐ近所にある山梨県織物整理(株)さんに来てもらい、
工場の一角で、ニードルパンチ加工の生地サンプルを紹介してもらいました(写真上)。
工場の一角で、ニードルパンチ加工の生地サンプルを紹介してもらいました(写真上)。
次は(有)渡小織物へ。
LOOMは p.14-15、並びにp.29 をご覧ください。
LOOM p.14-15 |
LOOM p.29 |
(有)渡小織物の渡辺太郎さんと、
(株)槙田商店の槇田洋一さん、渡邊織物の渡辺竜康さんに集まっていただきました。
槇田さんは渡辺太郎さんと高校時代の同級生、
渡辺竜康さんは渡小織物さんと道路を挟んで向かい側のご近所というご縁が。
(株)槙田商店の槇田洋一さん、渡邊織物の渡辺竜康さんに集まっていただきました。
槇田さんは渡辺太郎さんと高校時代の同級生、
渡辺竜康さんは渡小織物さんと道路を挟んで向かい側のご近所というご縁が。
ネクタイ生地を専門に作る(有)渡小織物の工場。
上質な生地が生まれる場所ならではの緊張感が漂っています。
上質な生地が生まれる場所ならではの緊張感が漂っています。
上は、黒いシルクの経糸が織機にかかっているところです。
経糸については、LOOMのp.06-07をご覧ください。
「糸が布になるまで」 というコーナーに、「整経」(せいけい)という工程があります。
LOOM p.06-07 |
整経工場で職人さんが何千本もの糸の張力をひとしく揃えながら
何百メートルも巻き取る作業を問題なく仕上げてくれているおかげで、
織機は生地を織ることができるのです。
バスは、一路、整経工程を見学するため、
LOOMにも写っている「マルヒデ整経」さんへ向かいます。
整経工場では、何百本ものボビンに経糸を巻きとり、
それを成型機のフレームにセットすることから工程が始まります
下の写真は、前に使った糸と、新しく巻き取る糸をつなぐ、目にもとまらぬ早業を見せてもらっているところ。
糸が見えますか?
髪の毛よりも細い約500本の糸が揃って引き出され、整経機のドラムへ巻き取られます。
一度に巻けるのは約500本ですが、全部で必要な糸は1万本以上。
必要な長さ(たとえば300mとか)になるまで巻き取る工程を20回以上も繰り返し、
生地幅ぶんに必要な本数を揃えて巻き取られた状態にします。
この間、すべての糸の張力が同じになるよう、万全の注意が払われます。
ここでタルミやツレ(張力が強すぎるところ)があると、あとの織る工程で問題が起きてしまうからです。
これが部分整経機(↓↑)。
「部分」というのは、一度に巻けるのが全体の一部分(約500本分)だからです。
「部分」というのは、一度に巻けるのが全体の一部分(約500本分)だからです。
そしてこれが見本整経機(↓)。
巻くスピードは遅いですが、ボビンを並べる手間がいらないので、
見本織など、少ないメーター数の整経をするのに向いています。
巻くスピードは遅いですが、ボビンを並べる手間がいらないので、
見本織など、少ないメーター数の整経をするのに向いています。
一本の糸を順々に巻いていくので、実はむしろ部分整経機よりも
ずっと少ない「部分」単位でしか巻くことができません。
しかし、部分整経機とはちがって、好きな場所で糸の色や種類を変えることができるので、
繰り返しがないような、自由で大きな縞柄の経糸を整経することができます。
整経工場をはじめ、撚糸、染色など準備工程を担う職人さんたちの仕事は、
織物工場よりもはるかに表に出る機会がありません。
人知れず大変な工程を担い、美しい織物を生み出すのに貢献している姿に、
参加者の皆さんも感銘を受けていました。
LOOMは p.18-19 をご覧ください。
LOOM p.18-19 |
光織物(有)では、掛け軸や雛生地など和の伝統生地を作りつつ、
東京造形大学とのコラボ事業、Fujiyama Textile Projectで
デザイナー井上 綾さんとともに作ったブランド、「kichijitsu」(きちじつ)を展開しています。
東京造形大学とのコラボ事業、Fujiyama Textile Projectで
デザイナー井上 綾さんとともに作ったブランド、「kichijitsu」(きちじつ)を展開しています。
新しくできた光織物のパンフレットと、パンフレットの写真に使われた生地。
「捨て耳」に興味津々の参加者のみなさん。 |
光織物(有)さんでは、
舟久保織物さんが商品の「ほぐし織り」の傘を持ってきて紹介してくれました。
笑顔の方が舟久保さんです。
工場訪問がすべて終わり、富士吉田の旧繁華街の一角にある
情報交換会会場「リトルロボット」へ。
このエリアは、LOOMの終りの方(p.44-45)の「街を歩けば」のコーナーで紹介されています。
リトルロボットは、商店が3軒並んだ写真の一番左に写っています。
リトルロボットでの情報交換会は17時半から19時。
スケジュールの都合で、ゆっくり話をするにはちょっと短いのが残念でした。
また、ツアーでは訪問できなかったハタヤさん「富士新幸(株)」さんが、
生地と商品を持って駆けつけてくれましたので、ミニプレゼンタイムも設けました。
(写真がなくて申し訳ありません…)
そして、最後はみんなで記念撮影。
今回参加してくれたブランド・企業は次のとおりです。
(株)石見銀山生活文化研究所
(株)コンフォ
(有)澤井織物
(株)サンズサンズキングダム
JUN MAEYAMA
D&DEPARTMENT
西桂町地域おこし協力隊
(株)ヒロココシノ
mikids design studio
La yosora
REGALERIA
ほか(ブランド名公表NGの参加者が数名)
LOOMを持って旅をするヤマナシハタオリ産地、いかがだったでしょうか?
全体のスケジュールはこんな感じでした。
ヤマナシハタオリ産地バスツアー、次回は11月に開催予定です。
詳細が決まりましたらお知らせいたします。
お楽しみに!!
(五十嵐)