2019年夏にシケンジョで誕生した新しい手織り技法、
「定規織り」で、ペンダント型のペンケースを作成しました!
ご覧のように、ペンがすっぽりと入る筒形になっています。
このペンケース、定規織りで織ったあと、裁断・縫製はいっさいしていません。
織ることだけで、この「封筒型」の構造が作られています。
一体どんな風に織られているのか、図解と一緒にご紹介しましょう!
織った部分は、その構造から大きく3パートに分かれます。
一番下から見ていきましょう。
一番下は、ふつうの平織で、一枚の帯状になっています。
封筒状のペンケースの、「底」にあたります。
真ん中は、筒状になった二重織、またの名を「風通(ふうつう)」です。
風通組織で織ると、一度に二枚の布が生まれる、不思議な結果が生まれます。
上の図では、青系と赤系の2枚の平織が、風通組織で織ることで
一度に生まれる状態を表しています。
このペンケースの真ん中部分は、風通組織で織られた表と裏、
二枚の布が両端でくっついているので、筒状になっています。
緯糸1本だけを使って織ると、緯糸は表、裏、表、裏、と交互に、
らせん状に織られていくことになります。
ぜんぶ風通組織だけで織っても、緯糸1本だけなら筒状になりますが、
両端の折り返しを綺麗に揃えるために、両端だけ平織になるよう織っています。
(といいつつ、あまり綺麗に織れていませんが…)
一番上は、ペンが入りやすいよう、ワニの口のように二つに分かれています。
このように完全に分かれるために、表用と裏用、2本の緯糸を使って、
経糸を表用と裏用に半分ずつに分け、それぞれを平織りで織っています。
これは、緯糸2本を交互に使って、
ぜんぶ風通組織で織ったときと、同じ結果になります。
そして、ワニ口の先は、まだ織られていない部分の経糸を、糸の束にしています。
糸がばらけないように、別の糸でぐるぐる巻きにしました。
糸づくりの世界では、これは「カバーリング加工」と呼ばれるものに近いものです。
この図では、Z撚りのあと、S撚りをかけて、2段階のカバーリングをしています。
専門的には「ダブルカバーリング加工」というものに近いです。
(実際には、芯の糸がもっと隠れているのがふつう)
この「経糸」は、じつはもともとシャトル織機で織った元の生地では、
「緯糸」だったものを、90度回転し、経糸として使っています。
シャトルで織った緯糸なので、経糸は耳のところで折り返しています。
(写真の生地では、上の端の紺色の部分が耳)
これを利用して、首にかけるループ状の紐の部分ができあがりました。
以上が、このペンケースの織り方です。
難しいのは、「風通組織の部分の組織を決して間違えてはいけない!」
ということです。
もし間違えていたら、そこだけ表と裏の布がくっついてしまい、
ペンがそこで止まってしまう、という悲劇が訪れます。
この恐怖にたえながら、間違えないよう織り続ける強い気持ちと、
また、途中で間違えていてもよくわからないので、
「間違えていないはずだ!」と自分を信じる心が必要となります。
下の写真は、このペンケースを織っているところです。
「緯糸」だったものを、90度回転し、経糸として使っています。
シャトルで織った緯糸なので、経糸は耳のところで折り返しています。
(写真の生地では、上の端の紺色の部分が耳)
これを利用して、首にかけるループ状の紐の部分ができあがりました。
以上が、このペンケースの織り方です。
難しいのは、「風通組織の部分の組織を決して間違えてはいけない!」
ということです。
もし間違えていたら、そこだけ表と裏の布がくっついてしまい、
ペンがそこで止まってしまう、という悲劇が訪れます。
この恐怖にたえながら、間違えないよう織り続ける強い気持ちと、
また、途中で間違えていてもよくわからないので、
「間違えていないはずだ!」と自分を信じる心が必要となります。
下の写真は、このペンケースを織っているところです。
ご覧のように、電車での移動中に織りました。
外の風景は、京都市内から京丹後市へ移動するときの風景です。
シケンジョテキFacebookでもお伝えした、
プレ・テキスタイル産地ネットワーク in 丹後へ向かう車中で織っていたところです。
定規織りは簡単な仕組みですが、すべて手作業なので、
織っていくのは、とても時間が掛かります。
それでも、「あそこでこのへんを織ったなあ」という
旅の思い出が生まれるのは、定規織りならではの風情です。
旅の思い出が生まれるのは、定規織りならではの風情です。
縞模様のうち、真ん中の明るい白の部分の緯糸は、
京都府宮津市上世屋地区にある「いとをかし工房」で作られた
手撚り和紙糸を使っています。
京都府与謝野町のデザインスタジオ「PARANOMAD」の
原田美帆さんに上世屋地区に案内いただいたとき、工房でお土産に買った糸です。
買った糸を、旅の帰り道にさっそく織ってみる、という
定規織りならではの旅の思い出にもなりました。
(五十嵐)