「トレンドと暮らし、テキスタイル」という名の勉強会を平成28年4月26日(火)に開催しました。
○日程 4月26日(火) 13:30~15:30
○テーマ 「トレンドと暮らし、テキスタイル」
「私たちの暮らしやものづくりがどんな風に世界とつながり、変化していこうとしているのか?
表面的な色やカタチではなく、ものづくりを取り巻く広い世界の流れを把握する手段としてトレンドを学ぶことが、これからの産地には求められています。そして、世界の一流ブランドがどんな風にトレンド情報を活用しているかを知ることも、テキスタイル産地にとっては重要です。世界的なトレンド情報会社のひとつトレンドユニオン社では、トレンド情報がどのように作られ、そしてどのような企業・ブランドに伝わり、どのように使われているのか?そんな具体的な事例をとおして、テキスタイル産地に向けたトレンドを考えるための勉強会を開催します。」
○講師 家安 香 客員研究員
○テーマ 「トレンドと暮らし、テキスタイル」
「私たちの暮らしやものづくりがどんな風に世界とつながり、変化していこうとしているのか?
表面的な色やカタチではなく、ものづくりを取り巻く広い世界の流れを把握する手段としてトレンドを学ぶことが、これからの産地には求められています。そして、世界の一流ブランドがどんな風にトレンド情報を活用しているかを知ることも、テキスタイル産地にとっては重要です。世界的なトレンド情報会社のひとつトレンドユニオン社では、トレンド情報がどのように作られ、そしてどのような企業・ブランドに伝わり、どのように使われているのか?そんな具体的な事例をとおして、テキスタイル産地に向けたトレンドを考えるための勉強会を開催します。」
○講師 家安 香 客員研究員
充実した内容の勉強会となりました。
今回のシケンジョテキでは、そのエッセンスを少しだけご紹介します。
このセミナーでまず示されたのは、デザインの定義でした。
design = meaning, new experience, exploring possibilities
ものや行動に意味を与え、
新しい経験を生み出し、
これからの可能性を作るもの
会場に集まったのは、テキスタイルデザイナーだけでなく、
営業、生産管理、職人、経営者など、さまざまな立場の方々。
まさに、今回の参加者の方々は、
このデザインの定義からすると、「デザイナー」です。
では、デザイナーに求められる資質とは、なんでしょうか?
そこで登場したのが、次の3つでした。
1; personal & original perspective
私は誰なのか?
どういう生き方をしてきて、何を美しいと感じ、何を大切だと感じ、
何をよくないものだと嫌い、何を叶えたいと願い、
何を伝えたいと思い、
どんな未来にどのように関わりたいか?
まず一つ目。「個人的」、「自分のオリジン」、という言葉は、
意外に思えてしまうものかもしれません。
というのも、一般的な「トレンド」をテーマにした勉強会の中で耳にする
「世界のトレンド」 、「マーケットのニーズ」というのは
自分の外にあるもの、というイメージが一般的であるように思えるからです。
そうではなく、
「自分」、あるいは「わが社」が、いったい何者で、何を目指す存在なのか
ということが、トレンド情報や、ものづくり以前に
まず考えなければならない、ということでした。
2; hunting skill of new movement and tendency
世界は刻々と変化しています。
自分の視点で何を、どんな変化をキャッチしていますか?
二つ目。
「トレンド情報」は、世界のどこかから届くものではなく、
まず自分自身で、自分の視点で見つけ、考えようとすることが
大切だということでした。
しかもそれは狭義の「デザイナー」にとってだけでなく、
ものづくりに関わる誰にとってもですね。
3; love toward better tomorrow
より良い明日への惜しみない愛
そしてデザイナーには自分が作り出すものがより良い未来のかけらとなり、
人と人がよりよくつながり、ものと人の幸せなストーリーが生まれ、
自然と人間が発展的につながるという美しい明日を作るのだという思いと
それに愛を持って従事する心が必要です。
いちばん意外で、新鮮なのがこの三つ目だったかも知れません。
でも、考えてみるとデザイナーや、ものづくりに関わる人には
最も大事なことかもしれないと、しみじみと感じられました。
喜んでくれる人の顔を思い浮かべてものづくりをすることは、
言い換えれば、明日への愛なのかもしれません。
上に挙げた3つは、どれもが自分のことを知り、自分を掘り下げなければ
得られないことだと思います。
このあとで家安客員研究員が語ってくれたのは、
オランダ留学時代、アイントホーフェンというデザイン学校の授業での経験談でした。
「水」をテーマにしてデザインする、
という課題を行う中で、教官が何度も生徒に問いかけ続けたのは、
「お前にとって水とは何だ?」
ということだったそうです。
自分の経験や、自分にとっての意味を考えずに
「水」という客観的なイメージをキーワードにしても、教官は認めてくれません。
そこで家安客員研究員は、教官に問われるままに自らの記憶をひもといていって、
幼少時の水遊びの楽しさや、阪神淡路大震災で体験した水が得られないことへの恐怖など、
自分と水との関わりを掘り下げていき、最終的に
水というのは「心から好きで、でも同時に怖いもの」だった、
という自分の奥深くにあった相反する水へのイメージを見つけることができたそうです。
それを教官に告げると、「それが、お前がデザインすべき水なんだ」、
と言われ、それに形を与えるよう指導されたということでした。
会場の参加者の方々も、「自分」の視点を持つことの大切さを
理解できたのではないでしょうか。
得られないことだと思います。
このあとで家安客員研究員が語ってくれたのは、
オランダ留学時代、アイントホーフェンというデザイン学校の授業での経験談でした。
「水」をテーマにしてデザインする、
という課題を行う中で、教官が何度も生徒に問いかけ続けたのは、
「お前にとって水とは何だ?」
ということだったそうです。
自分の経験や、自分にとっての意味を考えずに
「水」という客観的なイメージをキーワードにしても、教官は認めてくれません。
そこで家安客員研究員は、教官に問われるままに自らの記憶をひもといていって、
幼少時の水遊びの楽しさや、阪神淡路大震災で体験した水が得られないことへの恐怖など、
自分と水との関わりを掘り下げていき、最終的に
水というのは「心から好きで、でも同時に怖いもの」だった、
という自分の奥深くにあった相反する水へのイメージを見つけることができたそうです。
それを教官に告げると、「それが、お前がデザインすべき水なんだ」、
と言われ、それに形を与えるよう指導されたということでした。
会場の参加者の方々も、「自分」の視点を持つことの大切さを
理解できたのではないでしょうか。
参加者の方々は、その他さまざまな観点からデザインすること、
トレンドの意味やその活用方法を学んだあとで、
トレンドユニオン社が発行するトレンドブックを手に取りながら、
それぞれが手掛けるデザインやものづくりに思いを馳せていました。
第2回目は夏に開催予定で、「企画する」をテーマにした実習も計画しています。
ぜひお越しください!
(五十嵐)