先週末から山梨県全域はこれまでに経験したことのない大雪に見舞われ、
富士河口湖町で143cmという、観測史上最大の降雪量を記録しました。
現在も県内各地で孤立した状態の集落があり、足止めによる帰宅困難の方もいまだ多く、被害が続いています。
※県全体の大雪被害状況については以下のサイトをご覧ください。
https://www.pref.yamanashi.jp/kinkyu/h26setsugai.html
※山梨日日新聞のサイトでも最新の交通情報や生活情報が提供されています。
http://www.sannichi.co.jp/
シケンジョのある富士吉田市でも、国、自衛隊、県、市、
そして地元住民のみなさんが全力で除雪作業にあたっている状況です。
富士吉田は寒冷地ではありますが、ここまでの大雪は異例のことで、
また山梨県全域に及び短時間に記録的な積雪量となったため
交通機能が麻痺状態に陥り被害の全体は把握できない状況にあります。
17日月曜日、シケンジョでは、産地の被害状況を把握するため、
歩いて確認できる範囲のハタヤさんだけでも、と訪問してきました。
これまでバスツアー等で産地を訪問してくださった方々から、
シケンジョ職員へご心配やお見舞いのメールをいただいていることもあり、
まずは現在のハタヤさんと町の様子を速報的にでもお伝えできればと思います。
このような状況下ですので、取り急ぎ断片的な内容でのアップとなりますが、
ご容赦ください。
リネンのブランドALDINを手がける(有)テンジンさん。
いつもシケンジョテキに登場している専務の小林さんは日本橋三越に出展のため出張中。
奥さんはじめ、ご家族と近所のみなさんが協力して雪かき真最中でした。
だいぶ進んでいます。
工場からハタ音が聞こえていたので「織ってるんですか?!」と聞いたところ、
「織ってますよ〜」と笑顔。
まだ通常操業できる会社は少ない状況の中、
小林さんの留守もしっかり守られている様子に安心しました。
(小林さんも18日が撤収日、今朝8時間以上のドライブで帰宅されたそうです!)テンジンさんへ入る道の入り口にある、商工会議所も、職員総出で除雪の真最中。
「何しろ記録的な雪だから撮っておいて!」と。
午前中はとにかく吉田じゅうスコップを持って外にいる感じ。
土日からずっとひたすら総出で雪かき、という日々が続いています。
つづいて道を下り、前田源商店さん。
会社前から大通りに出る道がまだ車が通れる状態ではないので、ご兄弟で除雪作業中。
着いた瞬間、「被害は…」「あれを見て!」とお隣のフジチギラさんへ誘導されて
見ると、玄関の軒が雪で落下していました…。
下に人や車がなかったことは幸いですが、屋根雪の重さは想像以上のものです。
この地域は豪雪地帯ではないので、建物や屋根の形状も、重い積雪に備えた建築にはなっていません。
甲府方面でもカーポート等が崩れた家が多くあるようで、
富士吉田市内でも看板やアーケードが傾いている様子はあちこちで見かけました。
社員総出でフルスピードで雪かき中の加藤社長に、
「社長大丈夫ですか?撮っていいですか?」と聞くと、
ばっちり、ポーズを決めてくださいました…
フジチギラさんは、つい先日まで、ギフトショー出展等で大忙しの最中の大雪、
困難なときこそ、笑顔で乗り切るしかないのです!
そして、前田さんに戻ると、
「ちょうどハタヤさんが紋紙しょって帰るところだから、撮ったら?」と
…紋紙しょって帰るって…?と驚きながら、撮影させていただきました。
前田さんのオーガニックコットンを織っている、明見にある工場の舟久保さん。
車が走れないので、徒歩で紋紙を迎えにきたとのこと。
ハタヤ魂、すごいです…。
登山用のリュックを探し出して、紋紙を入れて、、、
「大丈夫ですか?」と聞くと
「まだ食料も入れてくれてもいいよ(笑)写真撮るんじゃ、
おまき(男巻)しょった方が格好良かったか…」
と…頭が下がります。
ハタヤさんの力強さに元気をもらいます。
とにかくお気をつけて…!
と見送りながら、車のない時代の織物産地は、
こんな風だったのかな、と想像していました。
雪かきをしながらも、ハタヤさんたちは物流が復旧次第、
出来るだけ早く商品を届けられるよう、みな今出来る段取りは、懸命に進めています。
さらに道を下って、高山織物整理さんへ。除雪作業中。
工場の横に積もった雪。
熱と水を多く必要とする整理加工業、ボイラーは大丈夫ですが、
排水が出来ない状況のため営業できない、とのこと。
地域の中に雪の捨て場がなく、道の脇に重機で除雪した雪がまだ人の身長ほどあります。
日が出ても気温が低いので溶けずにそのままです。
「雪をかいても捨て場がなくて…」という言葉もあちこちで聞きました。続いて妙高富士染工場さん。やはり雪と排水の問題があり、本日は操業できず。
屋根の積雪で、工場の一角に水が染みてきていて、状況も見せていただきました。
他の所でも、工場の屋根が心配、という話を聞きました。
まずは道の除雪をしている状況ですが、初めて体験する雪の量、
屋根雪の対策も不安があります。
さらに下って、渡小織物さんへ。
太郎さんも、お父さん、弟さんと3人がかりの雪かきで
ようやくここまでの状態に、とのこと。
工場の裏、自宅に続く長い雪かき道、長く深いです。
金曜夕方からの一晩に、短時間で急に積雪量が増したので、
どの家でもまずドアから道路までの出口を作るのに数時間を要しました。
今現在も、山間部やお年寄り世帯では、
まだ雪で塞がって出られない家があることが心配されます。
市の中心部でも、土日はみなそれぞれ自分の家と半径数十メートルの地域の雪をかき、
道をつくることで必死でした。
途中、重機とすれ違って、太郎さんが挨拶していました。
「寝ずにかいてくれてるよ。」とのこと。
除雪作業にあたっている方も、多くは地元の業者の方で地域の仲間でもあり、
重機も人手も足りない中、不眠不休です。
渡小さん近くのコンビニ。
雪で動けなくなり放置されたトラックや車がまだそのままです。
また昨日は、地区の上の方で、側溝に捨てられた雪がつまり、
渡小さんの前の道路で氾濫したため、
地区の消防団で雪で堰を作る対応に追われたそうです。
防災無線でも呼びかけていますが、除雪した雪を側溝に捨てると、
下流の地区で被害が出ますので、くれぐれも捨てないでください!
歩きやすい除雪状況の裏道を教えてもらい、田辺織物さんへ。
ちょうど車が出せる程度の幅分、かき終えたところでした。
週末からずっとかいてようやくここまで、という状況だそうです。
「お米はあるからなんとかなる!」と頼もしい田辺さんの笑顔。
こちらからまだ行くことができない、西桂町の状況については、
槙田商店さんが、ブログで状況報告をしてくださっています!
http://makita-sb1.jugem.jp/
ブログにある玄関を開けた時の驚愕を、産地の皆が、土曜の朝体験しました…。
ハタヤさんたちは、笑顔でとにかく一歩一歩、
いつもどおり営業できるよう進んでいます。
富士吉田のように高齢化が進む地方では、
働き盛りの、特にハタヤさんのような自営業の方は仕事だけでなく、
多くが地域の消防団や自治会でも重要な役割を担い、
もちろん家族を守るお父さんでもあります。
このような大雪のときには、すべての役割が同時に求められる状況で、
とにかくみなさん頑張っています。
状況を聞いて歩いている最中も、サイレンやヘリコプターの音が聞こえ、
近所のスーパーやガソリンスタンドの状況を心配し合う声が飛び交い、
危険とストレスに囲まれた災害状況は続いています。
今日歩けた市内中心部は相互に助け合って少しずつ前に進んでいます。
郡内地域は先週末にもかなりの積雪があり、
雪かきにおわれたばかりで、今回の大雪だったため
笑顔をみせてくれた皆さんも休みなしの状況で、体の疲れもたまっている様子。
とにかく無理せず、怪我や事故のないようにと、強く思いました。
高速道路から復旧しつつありますが、
県内では人命救助とライフラインの確保が最優先の状況です。
今週、さらに雪の予報もあり、予断をゆるさない状況が続きます。
商品の物流が回復し、この地域の産地が通常どおりに動くには、
まだ時間を要すると思われます。
ヤマナシ産地からの生地や商品を待っている皆さんにはご迷惑をおかけしますが、
このような雪害の状況を、少しでもご理解いただければ幸いです。
郡内地域の繊維関連企業の皆さま、
操業上の雪害の状況について、シケンジョまで情報をお寄せください。
この雪解け水が織物産地を支えていることを思うと、
自然を憎むわけにはいきません。
富士山に美しい春が早くきますように!
(秋本)