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2013年2月22日金曜日

2012-2013研究試作品紹介-バナジウムテクノロジー第1弾-

微量金属(銀orバナジウム)を使った染色研究を担当しているUです。

バナジウムを染色技術に応用した2012-2013年の研究試作品第1弾が完成しました。

これはタンニン(ポリフェノール)を多く含む植物染料(五倍子:ゴバイシ-写真上-)を用いた染色で、従来は微量のを発色補助剤としていたところを、新しくバナジウムを補助剤として発色させる技術で、従来にはない耐光性の高さと濃い黒色を可能にするものです。今回、研究により従来コスト以下で加工できる最適条件が確立しました(あれこれ試して長い時間がかかりましたが)。この技術を用いてシケンジョでシルクを黒染めし、富士北麓の羽田忠織物さんhttp://hadachu.jimdo.com/にてネクタイや紗織りストールに仕上げていただきました。
商品として入手できる段階にきていますので、ご興味のある方は気軽に「好きをかたちに HADACHU ORIMONO」さんHP及びシケンジョにお問い合わせください。 
  
木箱(着色は自分で実施)をつけていただきました。
ちなみに羽田忠織物さんによると、フォーマルにおいてグレー及び白×黒系が色として人気が高いそうです。

なぜバナジウムを使うと耐光性が高く濃黒色になるのか?非常に興味深い謎です(現在も、山梨大学及び山梨県環境科学研究所とともに研究中です)。そして、例えば濃い赤等は人によって濃さのとらえ方は異なりますが、黒だけは「光を反射しないで吸収する」「無彩色で明るさが低い」と定義ができ、追求することが許されたカラーであると言えます。

昨年、ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査が実施され、富士山の世界遺産登録へ向けた取り組みは正念場を迎え、ますます注目されるこの地域。Fujiyama made(富士北麓で作っている)かつバナジウムテクノロジーという物語を商品に付与して提供していきたいと考えていますギフトショーにおいてフジチギラ㈱より様々な植物×バナジウムによるカラフルシルクも展開されています)。


今回の写真、実は初めて自分独りで撮影しました。
構図、ライティング、カメラのF値とシャッタースピード、ピント、ホワイトバランスだけに注意して、マクロレンズも交換して使ってみました。
まだまだですが、開発した技術を魅せる(デメリットもメリットも両方)ためにも必要ですし、なにより文章よりも、まずはうまく撮った写真を見てもらった方が、スピーディに伝わるところがお気に入りです。

実は、数カ月前だと、カメラのピントとズームを間違えて回していたほどの素人で、実験写真等もなんとなく写っていればよいというスタンスだったのですが、
先に実施されたカメラ講座(山上洋平先生)を目の当たりにして、最近は写真撮影技術を高めると非常に使える(商品の魅力を伝える写真講座Ⅱのシャンブレー写真は驚きです)ことがわかり、ちょっとずつ自分の狙いを意識しながらカメラを設定することにトライしています。商品の魅力を伝える補助として、技術や研究成果の魅力をわかりやすく伝えることに役立つからです。
産地企業さんも自社商品の紹介用等にシケンジョの写真スタジオをご利用される機会が増えてきているように感じる今日この頃です。

第2弾は、リネン(麻)×バナジウムテクノロジー使用ウールの、(有)テンジンさんによるランチョンマット、コースター、ネクタイ、ストール等を予定しています。

(上垣)




2013年2月21日木曜日

商品の魅力を伝える写真撮影講座 2回目

前回にひきつづき山上洋平氏による「商品の魅力を伝える写真撮影講座」2回目のレポートです。今回は応用編としてストロボライトを使用したり、屋外での撮影など、特殊な写真撮影に挑戦です。

撮影のコツは前回と同じ3つのポイントです。

1)ぶれないようにする。=三脚を使ってカメラを固定すること!
2)ピントの合う範囲を操作する。=レンズの絞り(F値)を操作すること!
3)明るい写真にする。=ライティングをして沢山光を当てること!


この3つのポイントを押さえつつ、少し難しい商品の撮影に挑みます。


ここで撮影しているのは光沢のある商品パッケージ。反射するモノは、見た目以上に撮影するのが難しく、特に反射の激しいモノはカメラ自体すらも反射してうつり込んでしまうこともあります。

撮影したもの。
商品の右側に出ている光(反射したライトの光)がきつくなり過ぎていたので、トレーシングペーパー(半透明な薄紙)をライトの前に置くことで、強すぎる光をなめらかにして撮影しています。


キラキラの生地の反物(生地を巻いたもの)をどのように撮ればカッコよく撮れるのかという質問を受け、黒バックのスタジオが急きょ作られました。
写真の中で吸い込まれるような暗い黒バックを作る為に、スタジオの背景には黒いベッチン(特殊な織り方で作られている生地。光を吸収する性質をもつ織物なので、黒バックを作りたい時の写真撮影に使われることが多い素材です。)を使用しています。


光量を出す為にストロボライトも登場です。
撮影されたモノがこちら!
輝きと光沢のある生地感が黒い背景から浮き上がり、高級感のある写真が撮れました!

シャンブレー生地から作られた槙田商店の傘もこの通り!妖艶な輝きです。
ヨコ糸とタテ糸の色が全く違う色で織られているシャンブレー生地は見る角度により全く違う色として見えてくる特徴がよく写真で表現されています。

こちらはストールを扇風機でなびかせ撮影したモノ。
ストロボライトで光量を増やすことで、動いているモノでも、ぶれにくい写真を撮ることが可能です。


この日は青空が美しい快晴!!
ストールを青空の下で撮影してみようということで、一行はシケンジョの屋上に上がってきました。

ストールをなびかせ、シャッター下からシャッターを切ります。

シャッターチャンスをうかがう女子たち。



撮れたものがこちら!!

青空で空気をはらむ、軽快なストールのイメージ写真がとれました。まるで青空にかかる虹の様ですね。

傘も自然光で撮影してみました。

高くかかげてみたり‥


投げてみたり‥‥

自然光で撮ることによって、スタジオでは撮影することのできない写真がとれました。


3時間という短い時間の中でしたが、ざまざまな撮影方法、商品の見せ方を学べた2回目の講座でした。


2回の写真撮影講座ということで山上氏にたくさんのことを教えていただきました。
今回この講座を終えてみると、写真撮影の技術だけではなく、自社商品の魅了がどこにあるのか、そしてその魅力を最大限に表現するにはどのようにみせるべきなのか、そしてそれをどのように写真におさめるのか、
という3時間×2回の授業で終わらせてしまうにはもったいないくらい内容盛りだくさんの講座であったと思います

この講座をきっかけに、産地内企業さん達の自社のオリジナル商品がより良く消費者に伝わっていけるような情報発信ができていければ良いと思います。

商品の魅力を伝える写真撮影講座 1回目


(高須賀)

2013年2月20日水曜日

商品の魅力を伝える写真撮影講座 1回目

今年の1月10日と1月24日にシケンジョでプロカメラマンの山上洋平氏を招き、写真撮影講座を行ったのでその模様をお伝えしようと思います。

この企画は、自社の製品を売っていく為に欠かせない写真撮影技術を産地のハタヤさんにも知ってもらおうということでシケンジョで企画した講座です。
タイトルは「商品の魅力を伝える写真撮影講座」!!読んで字のごとく、良い商品をより良く写真に撮り、お客さんにその価値が伝わる様な写真撮影技術を取得することをめざしていきます。


(告知チラシより)
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「商品の魅力を伝える写真撮影講座」
商品の魅力を最大限に生かした写真を撮ってみませんか?
いままで商品の撮影をしても、なかなかうまく撮れないと困っている方も少なくないはず。
それもそのはず、人に魅力を伝える為の写真撮影をするには少しのコツがいります。自社の商品の魅力はなんなのか?またその魅力を最大限に生かした写真の取り方とは一体何なのか?今まで分からなかった写真撮影技術のあれこれをプロのフォトグラファーに教えてもらい、商品の魅力を伝える写真技術を身につける為の講習会です。

講師は八王子のデザイン会社「flying frogs」を経営している、山上洋平氏。
食品写真から建築写真まで様々な写真のジャンルで活躍しているプロフォトグラファーがおこなう、スペシャルな写真撮影講座のスタートです。

~flying frogs~

この写真撮影講座で使う機材はシケンジョに常設してある機材。産地の人がシケンジョに来れば、いつでも利用することができる機材を使用することで、これからも継続的に写真撮影を続けていくことができます。

注:ご利用したい時は一度シケンジョの方にご一報ください。

まずはじめに、簡単に商品写真の撮り方のいろはを教わります。大事なことは3つ!!
1)ぶれないようにする。=三脚を使ってカメラを固定すること!
2)ピントの合う範囲を操作する。=レンズの絞り(F値)を操作すること!
3)明るい写真する。=ライティングをして沢山光を当てること!


この3つのポイントを押さえておくだけでビックリするほどいい写真が撮れるようになります。
実は、この写真撮影講座が始まる前に、お手本となる様な写真を山上氏に撮影してもらいました。シケンジョ高須賀が何も考えずに撮影した写真と山上氏が撮影した写真があるので、そちらをごらんください。ちなみに、撮影機材(スタジオ、ライト、カメラ)や撮るモノの配置はすべて同じ条件でやっています。



<シケンジョ高須賀撮影>
(ダメなところ)
*白いバックが白く映っていない。
*ピントが後ろの方にきている。
*暗い
*構図が平面的でさみしい。
などなど‥‥


<山上氏撮影>
(改善した点)
*白の背景を白く映るようにカメラのセッティングを変えた。=ホワイトバランスの設定。
*写真の顔となるロゴマークにピントをしっかりと合わせた。
*ライトを背景の白バックに当てることにより、背景の白を際立たせ、商品がきれいに浮き上がってくるようにした。
*カメラの位置を下に下げ、商品を横から撮影することにより、空間的な構図のとり方にした。

どうでしょうか?この違い!!商品の魅力が存分に伝わると思いませんか?
そもそも、前者の写真では商品の魅力を半減させてしまっていますね。
この前者と後者の写真を見ればおわかりの通り、写真とは実物をより引き立たせて人に伝えることもできるし、逆に実際のモノより悪い印象で人に伝わってしまうモノでもあるのです。


このような2つの例をみんなで見ながら写真撮影の実習に移っていきます。




それでは実習で撮影した写真を何枚かご紹介します。
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下の写真は武藤株式会社のつくる極細シルクの糸のストールです。最初に教わった3つのポイントとシケンジョにある機材だけでこんなに素敵な写真が誰でも撮れるようになります。

こちらは有限会社テンジンのつくるリネンのワインボトル入れ。後ろを少しぼかすことでロゴマークが見えてくるような写真になっています。

このとき撮影した写真はまだまだあるのですが、全部紹介するとキリがないのでこのあたりでやめておきます。


以上が一回目の山上洋平氏による写真撮影講座(基礎編)でした。目からうろこの写真撮影技術の数々!!

次回二回目は応用編としてストロボ撮影や自然光を使った撮影技術を教わったので、また後ほどご紹介しようと思います。



(高須賀)

2013年2月19日火曜日

「日本の布」 FoundMUJIで開催中!

Found MUJI(無印良品)で今月(2月)いっぱい開催中の企画、「日本の布」を見に行ってきました。


ものを作るときに、「探す、見つけ出す」という視点をまず大切にしようということで生まれたFound MUJI。
この企画でもFound MUJIが紹介するにふさわしい技術、素材を求めて、
担当者の方は布ハンターとなり、日本各地の織物産地を何十日もかけて走り回ってこられたそうです。
 

そして、ハンターの方々はヤマナシ織物産地にも来訪、(その時シケンジョスタッフがミニ産地ツアーをアレンジしてコンシェルジュさせていただきました)そしてヤマナシでFoundされた布から生まれた商品たちも店内に数点ラインナップされています!




 そのひとつが、シケンジョテキで前回お伝えした「ニードルパンチ加工技術」によるこちらの布。
 ニードルパンチ加工装置を操り、グラデーションのボーダー柄が浮き出たものです。

 ここでは生地の切り売りもしており、なんと10cm単位でも購入可能!


手描きのかわいらしいイラストで技術もしっかり解説。

そしてこちら。絹の強撚糸をつかって生地を収縮させたヤマナシのストール。


ヤマナシだけでなく、日本各地からの布と商品が並んでいます。
どれも魅力的で、質の高いものばかりなのがわかります。


 Found MUJI 「日本の布」では、生地そのものだけでなく、
その生産背景もしっかりと伝えるためのディスプレイがなされています。
さりげなく、ではなくかなりストレートに、かつ魅力的に。








こうした生産現場の魅力を伝えながらの商品の提案を見ていてふと思いました。

これは、まるで「シケンジョテキ」?
しかもそれを青山通りのディスプレイで!


きっと、ふたむかし前の青山だったら、こうした生産の現場の空気を伝えることは
考えられなかったかもしれません。


産地で一生懸命に受け継ぎ磨いてきた技術が、ひとめぐりして時代の最先端にいることを

青山通りで感じた企画でした。

この企画に連動したブログ形式の「日本の布をめぐる旅」も素晴らしいです。ぜひご覧ください!
http://www.muji.net/foundmuji/2013/01/089.html



「日本の布」は、下記店舗で開催中(2013 年2月1日(木)~ 2月28日(木))ですが、
いちばんゆったり見られる青山がベスト!とのことでした。

[有楽町/池袋西武/難波/MUJIキャナルシティ博多/テラスモール湘南/Found MUJI 青山]



(五十嵐)


2013年2月8日金曜日

ニードルパンチ加工


微量金属(銀、バナジウム)による新しい染色研究担当Uです。

シケンジョでは最近の研究において
植物染料で画期的な「耐光性の高い濃黒色」を実現しました。

実験条件をさまざま変えて染色していますが、このうち特別に縮充(糸同士が絡み合ってくっついている)した黒い糸の塊を保管しておきました。

今回はこれを部分的に引き裂いて、白ガーゼに針で叩いて張り合わせるニードルパンチ加工を実施してもらいましたのでご紹介いたします。




ニードルパンチ加工は剣山のような針の集まりで生地の繊維同士をからませて圧着させる加工技術です。
山梨産地では、富士山の麓の工場山梨県織物整理株式会社が有名で、デザイナーコレクション等に採用される付加価値の高いテキスタイルが次々と生み出されています。
この会社には様々な糸やテキスタイル等の素材が集結し、変身して出荷されていきます。

シケンジョの「産地とクリエイターのビジネスマッチングバスツアー」においてニードルパンチ体験をさせていただいたことがキッカケとなり、加工を依頼しました。

今回の加工は、縮充した糸を布に張り合わせる一般的な方法です。
研究成果である染色後の糸の黒さをアピールするために白いガーゼへの加工を実施してもらいました。

こちらは、縮充した糸の塊を菱型フェンス状に手作業でバリバリと引き裂いたものを渡して、ニードルパンチしてもらったものです。



こちらは白いガーゼをあてて、ニードルパンチしてもらったテキスタイル(コサージュ等の小物向けを考えています)です。
強く圧着させるために、職人さんのアドバイスで表裏から加工してもらいました。

素材の種類や組み合わせで非常に面白いオリジナルなものが作れますので
ご興味のある方はぜひ県内外問わず、シケンジョ及びシケンジョ近くの山梨県織物整理株式会社にお問い合わせください。 

(上垣)