従来の鉄や銅の替わりにバナジウムで媒染し、
富士山の麓でも採取できる天然染料「ゴバイシ」で染色したウール糸。
これらは、草木染めで珍しい高耐光性濃黒色となります。
今日は媒染処理温度を変化させた時の強度をチェックしました。
持ち込みの依頼試験ですと「強伸度試験:¥790/1サンプル」になります。
媒染処理なし+ゴバイシ染色⇒強度400~500gf
バナジウム媒染(40℃~100℃)+ゴバイシ染色⇒300~400gf
バナジウム媒染(130℃、高圧)+ゴバイシ染色⇒50gf
シケンジョの経験では、フィラメント系の糸でたて糸として用いるには、150gf以上の強度が必要だと言われています。
今回の強度は(フィラメント系ではなくスパン糸ではありますが)、130℃で染色するポリエステル等との同時染色をしなければ強度的に充分であることがわかりました。
伸び率についても、ゴバイシ(ポリフェノールの1種)による染色で若干固くなる興味深い数値が得られました。
次回は、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計(Py-GCMS)や高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)を使った分析についてご紹介予定です。
天然染料「ゴバイシ」抽出液⇒黄土色
天然染料「ゴバイシ」抽出液+微量バナジウム⇒濃黒色
の違いについて探ります。
(上垣)