先日、名古屋の伝統工芸「有松鳴海絞(ありまつなるみしぼり)」の産地の方より、バナジウム媒染のブログ記事を注目しており、産地への訪問及び情報交換をされたいというメール(ブログ宛ての)をいただきました。現在、日程を調整中で近日交流予定です。
かねてより有松鳴海絞は国際的な活動をされています。
「Slow Fiber」:環境負荷の低いものづくりを掲げる
「Natural Dye Workshop」:伝統的染色方法、天然染料を科学的に探究する
「こうした活動の中でも黒染めは大変難儀なものとされ、藍染とコチニールを重ねる方法及びタンニンと鉄媒染の方法、いづれも満足な結果が得られないケースもある中で、堅ろう度の高く濃色なバナジウム媒染はとても魅力的である」とのこと。
シケンジョではバナジウムを新しい発色補助剤等として
H23-H24に濃黒色(HP参照)について
H25-H26は濃緑色をターゲットに研究していきます。
ヤマナシ産地では既にこれらの技術について研究発表会等を経て周知した結果、現在、世界遺産登録となった富士山のイメージを重ねた草木染め商品として、先行投資で産地の企業が実用化(糸段階で染色する先染め商品:ネクタイ、マフラー・ストール等)しています。
絞りの産地との交流から、新たな展開も期待されます。
さて、今回はすべて携帯カメラによるものでいつもより写真が綺麗ではありませんが、
最近のテストの様子をお伝えいたします。
最適染色条件を見つけたことにより、ほんのわずかな量で、従来得られなかった濃黒色に発色できます。
黄土色の粉末は天然染料のゴバイシ。
実際の染色で用いる量の比率でスケールダウンしてあります。
水を加えて、80~100℃で約1時間加熱しました。
バナジウムの効果(左の黒)!
この黒い液体はなんぞや? ということで・・・・。
分析装置にかけるために、ろ過&希釈して。
液体クロマトグラフ質量分析計(通称:液クロ)、という装置で成分を探ります。
どんな成分が検出されるか。
結果をまとめたらご報告いたします。
液クロ以外にも、さまざまな分析方法も試みているところです。
(上垣)