2011年9月2日金曜日

デザビレ織物産地工場見学ツアーin山梨

台東デザイナーズビレッジの入居者の方々が郡内織物産地に工場見学に来てくれました!

今年からシケンジョでは台東デザイナーズビレッジの村長、鈴木淳さんを客員研究員としてお迎えしています。
今回の工場見学ツアーは、そのご縁もあり、鈴木淳さんの教え子である台東デザイナーズビレッジに入居している若手デザイナーをはじめ周辺のデザイナー等の方々に郡内産地の魅力を知ってもらうこと、またビジネスマッチングの機会として企画されました。

まずはスーパーパワースポットとして知られる北口本宮富士浅間神社。コノハナサクヤビメが祀られる浅間神社で参拝し、神聖な空気を体中に取り込んで、工場見学がスタートです!

上の赤い富士山の写真は毎年8月26日、27日に開催される火祭りとススキ祭りに使われる御神輿で、重さが1トンとも2トンとも言われています。富士神輿はお祭りのときに魂を迎え入れることで重たくなるといわれており、その重さは担ぎ手しか分からないそうです。
この重い御神輿を街の各場所で落すことにより、地面を揺らし、富士山が噴火しないよう祈りを富士に届けます。



工場を見る前にシケンジョで郡内織物産業のルーツとなる「甲斐絹」の資料を見て頂きました。
甲斐絹は戦前で途絶えてしまった幻の織物です。羽織の裏地として使われた、高密度、先染め、先練りの絹織物で、平織りの薄い生地ながら、先染めならではの深い奥行き感が特徴です。
特に織機の上でタテ糸だけに絵を付けるという独特の技法による「絵甲斐絹」には、皆さん驚いていました。
絵甲斐絹の技術は今は無くなってしまいましたが、郡内織物産地は甲斐絹の流れを受け継いでおり、世界的にみても珍しい、高密度、先染め、フィラメント糸を得意とする織物産地として発展してきました。


工場見学は服地メーカーの(株)オヤマダ、傘生地メーカーの舟久保織物、座布団生地メーカーの(有)田辺織物、ネクタイ生地メーカーの(有)渡小織物の4社に協力いただきました。
この写真は、ほぐし織を説明している舟久保社長の様子。ほぐし織りとは、同じタテ糸を織機で2回織らなければいけないという、大変手間のかかる織物です。
まずはじめに粗く仮り織りします。次に仮り織りしたタテ糸を織機から外し、捺染(プリント)で柄を染めます。そして染め上がったタテ糸をふたたび織機にかけ、仮り織りのヨコ糸を外しながら、また織りなおすという作業工程により作られる高級生地です。
プリントでは出せない柄の奥行きがあり、タテ糸とヨコ糸の作りだす独特の色彩は見ていて惚れ惚れしてしまいます。


       
織物は基本的にタテ糸が上がるか下がるかの二つの情報だけで作られています。上の写真にある木に埋め込まれたビスや紙に開けた穴は、生地を織るための情報が保存されていて、タテ糸が上がるか下がるかの設計情報をもとに織機を動かす機構です。これはコンピュータでいう0か1かの情報単位「ビット」にあたるもので、アナログな方法ながら、れっきとしたデジタル信号になっています。これによって織り組織の情報を織機に読み込ませることにより、多種多様な生地を生産していきます。
下の大きな写真はジャカード織機の「紋紙」とよばれ、約1000本ものタテ糸を一度に制御して精密な織り柄を生み出します。


産地にある織機の種類の違いやその織機で作ることのできる生地の違いなど、ひとつひとつ布の出来る過程を丁寧に見て頂きました。


工場見学の後は、山梨県絹人繊織物工業組合の呼びかけにより産地企業の方々との情報交換会・交流会が開かれました。
産地の現場を見ていただいたこともあり、デザイナーと機屋の距離が近くなった気がします。ここからまた何か始まりそうな空気にあふれた交流会になりました。
若手デザイナーの方々もギラギラと熱い目をしており、これからの郡内織物産地とのコラボレーションも期待できそうです☆
有意義な交流会が出来て、とてもよかったと思います。

ご協力していただいた皆様、本当にありがとうございました。 (五十嵐、高須賀)


参加若手デザイナー

ネバアランド 巨島沙映 江阪朋子
HAVIENA CO.,LTD> 柴尾ようこ
<riyaham> 小松 千佳
小山兼吉商店 小山 京子
Bahar 春日 一枝
sekiyumi> セキユミ
atelier65> ひさむら かよ
(以上、台東デザイナーズビレッジ入居企業)
atelier nae 横畑早苗
Twist 小山都子
株式会社三陽商会 守田千佳
ムイットボン! 上田尚矢
繊研新聞須田渉美