ストライプや経糸プリントによる絵柄のない、一見地味な甲斐絹ですが、
実はものすごいシャンブレーの光沢を放つ、究極の絹織物です。
平らにして見ると普通の生地にしか見えませんが、
百聞は一見に如かず、この動画をご覧ください。
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「ヤバイ!」 という現代言葉が思わず口をついてしまいます。
このシャンブレーはヤバイです。
この光沢は、無撚の細番手・高密度の絹糸ならでは。
98年前(1915年)の熟練職人がなしとげた、シャンブレーの極致ではないでしょうか。
生地を拡大すると、このようになっています。
経糸と緯糸が、ほぼ正反対の補色になっているので
見る向きによってどちらかの色に激しく偏って見える「シャンブレー」効果が
最大限に発揮されるわけです。
ちなみに、冒頭の動画では、部屋を暗くして横からの自然光だけで撮っています。
この光の当たり方は、きっと明治時代の日本家屋の中に近いのではないかと思われます。
蛍光灯やLEDの強い光の中ではなく、昔の暮らしを照らしていた淡い光の中でこそ、
シルクの輝きはきっと何倍もの美しさになるのかもしれませんね。
(五十嵐)