2014年11月7日(金)、ことし第2回目のヤマナシハタオリ産地バスツアーを開催しました。
遠くは大阪から、ヤマナシ産地へ向けて駆けつけてくれた参加者の皆さんと、
ゲストキュレーターとしてお招きした辰野しずかさん、シケンジョ客員研究員の家安香さん、
そしてスタッフ五十嵐、を乗せたバスは9時に新宿を出発。
秋空の下を、一路ヤマナシへ向けて走り出しました。
最初の訪問先である、富士新幸(株)(都留市)の
羽毛ふとん工場への到着までの所要時間は、1時間35分。
バス内での産地レクチャーや自己紹介などをしていると、あっという間に着いたような気がします。
初めて来られた方は、意外に近いことに驚かれたのではないでしょうか。
遠くは大阪から、ヤマナシ産地へ向けて駆けつけてくれた参加者の皆さんと、
ゲストキュレーターとしてお招きした辰野しずかさん、シケンジョ客員研究員の家安香さん、
そしてスタッフ五十嵐、を乗せたバスは9時に新宿を出発。
秋空の下を、一路ヤマナシへ向けて走り出しました。
最初の訪問先である、富士新幸(株)(都留市)の
羽毛ふとん工場への到着までの所要時間は、1時間35分。
バス内での産地レクチャーや自己紹介などをしていると、あっという間に着いたような気がします。
初めて来られた方は、意外に近いことに驚かれたのではないでしょうか。
富士新幸は羽毛ふとんメーカー。
ふとんに用いられる織物も作っていますが、
その中身として、『羽毛(ダウン)』 を扱っています。
うしろに並んでいるのが、羽毛(ダウン)のサンプル。
輸入したロット毎に保管してあるそうです。
富士新幸では、羽毛ふとんの命である羽毛(ダウン)の品質にこだわるため、
原料羽毛の輸入から洗浄、出荷までを自社一貫体制を行っています。
羽毛ふとんの世界でそれができる工場は、国内でも珍しいとのこと。
今回のバスツアーのテーマは『天然素材』。
富士新幸は、コットン、リネン、ウール、シルク、という四大素材に次ぐ
『羽毛』という五番目の素材を極めるハタヤさんとしてのご案内です。
工場の数ある設備のなかでも圧巻なのは、高さ10メートルを超える木製の『羽毛選別機』!
風を送って羽毛を巻き上げ、最も遠くまで届くものが、最も良質な軽い羽毛。
この原理をつかって、羽毛をランク分けするための装置です。
雪のように羽毛が舞うその姿は、まるで巨大なスノードーム!
軽さのわりに嵩(かさ)があるものが良いダウンで、
体積を重量で割ったものが「ダウンパワー」 という単位で指標化されています。
この工場では、ダウンパワーを「パワーアップ」して、上質なダウンにするため、
富士山の湧水をつかった長時間の洗浄など、数々の工程に注意を払っているそうです。
下の写真がダウンです。
水鳥の胸にしか生えておらず、「羽毛ふとん」ではこの部分しか使われません。
こうして見ると、まるで小人になって食器棚か何かを見上げているかのようです。
富士新幸では、羽毛ふとんの生地づくりで高めた技術を使ったジャカード技術を生かして
オリジナルブランド「kokiku(こきく)」を展開しています。
オリジナルブランド「kokiku(こきく)」を展開しています。
そして都留市から富士吉田へ移動し、昼食前の散策へ。
冨士山下宮 小室浅間神社(通称、下浅間[しもせんげん])から、昭和初~中期、最盛期の織物取引が行われた古い町並みが残る「絹屋町」へ向かいました。
冨士山下宮 小室浅間神社(通称、下浅間[しもせんげん])から、昭和初~中期、最盛期の織物取引が行われた古い町並みが残る「絹屋町」へ向かいました。
このころ、市内はちょうど紅葉の盛りを迎えていました。
絹屋町の街並みを散策したあとは、うどんの「源氏」へ。
吉田のうどん初体験の方が多く、麺のコシの強さに感嘆の声が上がっていました。
昼食後は、シルクネクタイを織る㈲羽田忠織物へ。
出迎えてくれた天野さん(写真下)のいる室内は、
織物工場のオフィスとは思えないオシャレな光景が広がっています。
よくみるとブリキの飛行機にも「HADACHU」のロゴが!
織機の説明をする羽田忠織物の羽田正二さん。
そして羽田忠織物の真向かいにある(株)アルルさんへ。
高級カーテン地、インテリア地のさまざまな生地を見ながら、
ジャカード織の技術について学びました。
見学を終えて、工場のまわりに広がる秋の風景を見ながら、次の目的地へ。
テンジンの小林社長の奥様、貴子さん。
テンジンの主力素材であるリネン(亜麻)への想い、
オリジナルブランドALDINの世界観について分かりやすく伝えてくれます。
下の写真で、貴子さんの後ろにある植物が、リネン。
この茎を原料にしてリネンの糸が作られています。
この茎を原料にしてリネンの糸が作られています。
そしてテンジンさんの工場へ。
テンジンさんの工場には、かつてはネクタイ用のジャカード織機が6台並んでいました。
しかし10年ほど前に、リネンのためのドビー織機に入れ替え、
いまはジャカード織機は1台を残すのみです。
天井に見る機械は、ジャカード織機時代の名残りです。
経糸を上に引っ張り上げるジャカード機構の装置が残って見えています。
下の写真は、ドビー織機の織り組織が記されたパンチカードを読み取る装置です。
工場の外へ出ると、織物工程を紹介するミニ展示が用意されていました。
下のブラシと金具は、経糸を交換するときに使うもの。
金具は「ワープクリップ」といいます。
下の写真は、織機のうえで経糸を交換するために新旧の糸をつないだようす。
数百~数千本の糸が一本一本結ばれてつながっています。
数百~数千本の糸が一本一本結ばれてつながっています。
経糸を結ぶ機械が、下の写真。
ハンドルを回すと、一本一本糸をつないでくれる優れものです。
下の金具は、ドロッパー。
経糸1本ずつに掛けてあり、糸が切れると通電して知らせてくれるようになっています。
経糸1本ずつに掛けてあり、糸が切れると通電して知らせてくれるようになっています。
下の金具は、綜絖(そうこう)。緯糸を織り込むために経糸を上下に動かして緯糸の通る空間(糸道)を作る部品です。
パンチングマシン。
織り組織を記すためのパンチカードに穴をあける、タイプライターのような装置です。
そしてテンジンのあとは、シケンジョにて産地ミュージアムトーク。
昨年8月のバスツアーに参加したのち、テンジンさんのデザインワークを手掛ける御縁ができたプロダクトデザイナーの辰野しずかさんをゲストキュレーターとして招き、
産地とのさまざまな仕事のこと、テンジンさんとの取組み、産地とのつきあい方などについて、
産地とバスツアー参加者をつなぐお話しをしていただきました。
ここで披露されたのが、上の写真にある
「リネンについてのものがたり」と題された絵本。
絵本のかたちをした、テンジンさんが伝えたいリネンの価値を消費者に伝えるための
コミュニケーションツールとして、新しく制作されました。
いままでテンジンの小林さんが言葉を尽くして説明してきたことが、
シンプルなことばとノスタルジックなイラストで見事にまとまっています!
この絵本、公式には前回のシケンジョテキでお伝えした、IFFTインテリアライフスタイルでの
テンジンのブースでデビューしました。
そしてトークショーのあとは、天然素材を扱うハタヤさん達によるミニ展示会。
生地を見ながら、熱心なトークが繰り広げられました。
このミニ展示会には、ツアーのテーマである【コットン、リネン、ウール、シルク】という、
四つの代表的な天然素材にダウンを加え、
それぞれ得意とするハタヤさんにご協力いただきました。
コットン、シルク=(株)前田源商店
リネン=(有)テンジン
ウール=武藤(株)
シルク=(有)羽田忠織物
ダウン=富士新幸(株)
そして交流会を経て、最後は恒例の記念写真。
盛りだくさんのスケジュール、お疲れ様でした!
そして次回のツアーは今週12月5日。
みやしんの宮本英治さんをゲストに招き、ジャカードVSドビーをテーマに開催します!
みやしんの宮本英治さんをゲストに招き、ジャカードVSドビーをテーマに開催します!
レポートをお楽しみに!
(五十嵐)