昨年12月の『水曜会』に引き続き、『女性会』にて甲斐絹とヤマナシ産地のお話しを
させていただきました。
ビジネスにたずさわる女性のみなさんだけあって、
織物のこと、そして織物産地で頑張っている若手の活動に対して、
とても熱心に話を聞いてくださいました。
なかには、「槙田商店さんのあの傘、高かったけど買っちゃったわ!」という方も。
「あの傘」とはこの「1866(イチハチロクロク)」。 (映像はイメージです) |
応援ムードがたっぷりで、とても「ホーム」感のある女性会でした。
郡内エリアから車で1時間ちょっとの甲府は、
富士吉田エリアから見ると方言もちがったりして遠いイメージもありますが、
離れていてもやはり地元なんだなあと感じました。
甲府の女性と言えば、いまNHKの連続テレビ小説「花子とアン」 が放映されています。
モデルの村岡花子は、明治26年(1893)生まれの甲府出身。
生きた時代は、講演のテーマでもあった「甲斐絹」がさかんに使われていた時代です。
村岡花子が書いた文章の中に甲斐絹が出てきたかどうかは定かではありませんが、
日頃目にする機会はあったと思われます。
ドラマに登場しているような当時の紳士たちの羽織の裏地には、
さまざまな甲斐絹が隠されていたことでしょう!
詩人の金子みすゞは村岡花子より10歳遅く生まれた山梨から遠く離れた山口県の人ですが、
それでも甲斐絹を知っていたことが、「二つの小箱」という作品からも分かります。
この作品は、以前も紹介しましたが、
小さな女の子が「宝箱のなかに甲斐絹が入っていたらいいなあ」、
と空想するようすを描いています。
時代の前後関係を年表にしてみました。
村岡花子が14歳、東洋英和女学校に給費生として通っているころ、
夏目漱石は、職業作家としての処女作、『虞美人草』の中で甲斐絹を取り上げています。
それを知るには、下の動画をご覧ください。
甲斐絹が、撚りのほとんどない無撚糸を使って
たて糸、よこ糸をそれぞれ違う色に染めてから、緻密に織っているので
これほどの光沢感をうみだすことができたのです。
下の写真は、この動画の生地を顕微鏡で拡大したところです。
糸に撚りがかかっていないこと、ぎっしりと緻密に織り込まれていることがわかります。
この画像で、幅2ミリ×高さ1.5ミリくらいの範囲です。
顕微鏡で拡大してみた甲斐絹
この先染め織物ならではの美しさは、平成26年5月6日にテレビ放映された
NHKイッピン「変幻自在!カラフルに輝く布~山梨 甲州織物~」 の中でも
取り上げられ、たいへん詳細かつ明快な説明がされていました。
ご覧になっていない方は、ぜひ再放送をご覧ください!
(再放送予定は直前にならないと分からないため、現時点では何日かは不明です)
甲斐絹の時代に村岡花子が生まれた甲府の街で、
100年後の甲府の女性たちに甲斐絹とヤマナシ産地のお話を
させていただいたレポートでした。
(五十嵐)