2012年12月6日木曜日

TATAMIテキスタイルのつくりかたーTATAMI織人(畳しょくにん)ー





以前、畳をモチーフにデザインしたテキスタイルによる試作品をご紹介しました。

今回、この生地のつくりかたを記載します。



まず、畳の写真撮影↓
実際の生地は黒色や緑色の糸で織るので
畳は古くても?!大丈夫。


画像処理(Adobe Photoshop使用)をします。
さまざまなやり方がありますが、今回はあえてポスタリゼーションで4階調にしました。
ここで重要なのは畳の輪郭に相当する色の部分です。
生地になるとき、この部分が黒色のタテ糸が表に出るように意識しました。


緑色等のヨコ糸が表に出るエリアは色域を指定した後、あらかじめ作製した組織パターンで埋め尽くします。

黒っぽいところは黒のタテ糸がたくさん表にでて、グレーっぽいところは緑色等のヨコ糸が表にでるようになっています。黒エリアの中の白点やグレーの中の黒点は織物のタテ糸・ヨコ糸の交差点になります。

この他にも、現在特許出願中のシケンジョ技術(ジャカード織物の製造方法)を使って・・・


一瞬で、織物のパターン(拡大部は綾織の一種)かつモノクロ2階調で高精細な画像処理をするアプローチもあります。このパターンは任意に自分で登録しておくことができます。詳細はまた後日ご紹介させていただきます。

TATAMIテキスタイルでは【ヘリ】の柄で遊ぶのも面白いですね。
こちらは傘を作ったときの畳のヘリ部分のデータです。



こうして、糸のアガリとサガリを指定して作ったTATAMIテキスタイル。
分解してみるとヨコ糸が
①緑色糸(綿)
②黄色糸(ポリエステル)
③緑色糸(綿)
④ムラ染め糸(絹:銀染ginzome)



以下繰り返し。
がタテ糸の黒糸と絡んでいます。

画像処理のところで、黒エリアを強くしすぎると左の生地のように暗い感じになってしまいますので
このレベル調整もキモでした。


そして何より染色。
先ほどの
②黄色の糸
④ムラ染め糸(銀染ginzome)
は畳のナチュラル感をだすために使います。

メインの①③緑色糸は
黄色味が増した糸を使うと古い畳の感じ!
青味が増した糸を使うと新品の若々しい畳の感じ!になるため
「緑色」の染色具合が重要になってくることがわかりました。
近い将来、「緑色の染色研究」を企んでいるところです。


こうして、TATAMIテキスタイルが完成。
麻糸を用いてよりリアルに畳に近づけることは避けて、織物でなんとなく遠目には「畳に見えなくもない」というレベルを目指しました。 あくまでテキスタイル。タタミ風味。
現在、ネクタイ織機のように幅が小さく高密度のタテ糸を使える産地の織機で作製できないかと考え、リピート幅を小さく(1/6サイズ)して畳に見えるような画像処理の方法を検討しています。

先日のヤマナシハタオリトラベルー産地見学バスツアー
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/11/2012.htmlにいらした方々のご意見の中で今、欧州を中心に「タタミ柄」がウケそうだ、という話もありました。
それらは、主に陣目模様で紫色に黄色であったり、いわゆる畳の目をベースにアレンジしたパターンで、TATAMIテキスタイルのようなそのまんまの柄は見受けられませんでした。競合商品としては、そのまま畳を帽子等にされているものもあるように、本物のイ草を(畳)素材として扱っているアイテムが考えられます。
生地のメリットは・・TATAめたり、「え?布?」といった違和感からくる面白さといったところかなと考えています。興味のある産地の企業さん等を募集中ですので、ぜひお問い合わせ下さい。


この他、【TATAMI6畳:30cm四方】、【原寸大TATAMI1畳】等も検討しデータ作製もしました。
ずっとこればかりつくっていたときはTATAMI織人(畳職人)の気分でした。

現物も展示していますので
産地企業さん以外でも、ご興味のある方は気軽にシケンジョにお立ちより下さい。

(上垣)