2013年8月6日火曜日

富士山テキスタイルプロジェクト2013発会式!

2009年から続く、東京造形大テキスタイルデザイン専攻学生とヤマナシ産地のハタヤさんによるコラボ事業、
『富士山テキスタイルプロジェクト』の発会式が平成25年8月3日(土)に開催されました!



まず会場に並ぶのはコラボプロジェクトから生まれた雑貨ブランド「kichijitsu」など、
先輩たちの作品。



いよいよ、5年目となる今年のコラボ事業がスタートする、節目の発会式。 
先輩たちを超える作品が生まれるのか?期待が高まります。




前日の8月2日(金)に産地入りして工場見学、懇親会を済ませた学生たち。
今回は参加する8人のうち1人が海外研修中とのことで、7人が出席です。
このあとのプレゼンを控え、緊張気味の様子。



地元織物業界の代表として、山梨県絹人繊織物工業組合の勝俣明美理事長からあいさつがあり、そのあと豪華来賓による祝辞を頂戴しました。

上左から、富士吉田市の堀内市長、西桂町の小林町長。


      

富士吉田商工会議所の堀内会頭。

このほか県庁産業支援課から刑部総括課長補佐、シケンジョからは荒井次長が参列です。


地域のビッグネームに参列していただいたことで、きわめてオフィシャルな空間になりました。
このプロジェクトが地域行政、経済界から熱い視線を受けていることを、

学生たちも肌で感じたことではないでしょうか。

そして堀内会頭の右の方は、長年このプロジェクトを支えてきた、

いまや日本を代表するテキスタイルデザイナーの一人、鈴木マサルさん。

東京造形大学の准教授という立場をはるかに超えた献身的なリードで
このプロジェクトを育ててきてくれました。

「自分がやらせてもらいたいような楽しそうな仕事を学生たちに分け与える辛さ!」

を笑顔で冗談交じりに吐露されていましたが、これは99%本心でしょう!



このプロジェクトの真骨頂は、ハタヤさんたちの本気度と、学生たちの情熱が
ぴったり釣り合っていること。
両者の関係は、仕事の取引相手との関係としてみても清々しく混じりけのないもので、

この状況を正しく導いてくれたのは、鈴木マサルさんのモノづくりを愛する真摯な姿勢あってこそ。
きっと、うらやましいと思えるくらいのコラボでなくてはやる意味がない
というのが残り1%の気持ちにあるのではないでしょうか?



そして渡小織物のネクタイソルジャー、渡辺太郎さんのDJ、もとい司会進行で、
ハタヤさん代表・学生の代表からのあいさつと続きます。



ハタヤ代表の舟久保団長からは、初年度から続く、『何を言われても「できない」と言わない』という鉄の掟が改めて申し渡されました。
学生代表の高橋佑佳さん(写真上)からは、
学生の言うことを企業が聞いてくれるということのありがたみを感じつつ、富士山が世界遺産となったヤマナシの追い風となるようなプロジェクトにしていきたい、という言葉がありました。

西桂織物工業協同組合の槙田則夫理事長より締めのあいさつをいただき、発会式が終了。



続いて第二部、学生からのプレゼンを前に、報道陣からの取材ラッシュ!

なお最後尾のカメラマンは3月までシケンジョにいた高須賀君。今日は東京造形大の臨時職員としてひさびさにシケンジョへ。鈴木マサルさんのサポート係としてプロジェクトを見守る予定です。



カメラの集中砲火を浴びる高橋さん。


そして、学生にとっては緊張のプレゼンタイムがスタート!


[(株)槙田商店  ×  井上美里 (院2年:3回目)]
コラボ3年目の井上さんは、花が咲くときの動きを傘で表現したデザインを提案。





[(有)渡小織物 × 高橋佑佳さん (院1年:1回目)]

高橋さんはすでに試織まで進んだネクタイのアイデアを紹介。
織りと染めの両方からのアプローチで取り組みます。




[武藤(株)    ×  吉本悠美さん (院1年:1回目)]

吉本さんは紙芝居でヒラメキの瞬間をアピール。早くも仕上がっていた試作品が会場を魅了!



[宮下織物(株) × 藤原かえでさん (院2年:2回目)]

藤原さんはカットジャカードで羽毛を表現する提案です。




[(有)光織物  × 高川香菜絵さん (学部3年:1回目)]


高川さんは富士山型の小物入れの提案。





[(株)オヤマダ  × 谷山友惟さん (院1年:1回目)]

谷山さんはナイロン素材のストライプという産業寄りのゾーンにチャレンジ。







[(有)田辺織物 × 山本 遥さん (学部3年:1回目)]

山本さんは宮澤賢治の「やまなし」をモチーフにした座布団の連作を提案。





残るひと組は学生さん不在で発表はなく、これからのお楽しみです。

[舟久保織物   × 貝塚惇観さん (院2年:2回目)]




学生のプレゼンを真剣に見つめるハタヤさんたち。



今年は、ハタヤさん側は、新しく西桂町の(株)槙田商店武藤(株)の2社が初参加で、
学生側は初めて3年生の2人が参加することになりました。


そして、今年から新しく、Facebookページができました。
https://www.facebook.com/FujiyamaTextileProject

コラボ事業の進行状況が、学生たちから逐次アップされることになっています。
ぜひチェックしてみてください!


(五十嵐)

2013年8月5日月曜日

銀座三越&ヤマナシフリンジマーケット

山梨産地のハタヤさんが自社ブランドを直接お客さんに販売するイベント、
『ヤマナシ ハタオリ トラベル』が、ついに銀座三越に上陸!

銀座三越は7月31日(水)~8月6日(火)に絶賛開催中!
(明日でもう終わりですが…)

そして8月4日(日)には、

地元の山梨県都留市で開催された『ヤマナシフリンジマーケット』に出店、
なんと東京と地元の両面作戦を展開しています。





かたや百貨店の中でもかなりアッパーな銀座三越。
そしてもう一方は、地元の神社の境内のマーケット。

全然ちがった空間での試み。
違いが面白かったので、いっぺんに写真でご紹介します!

まずは銀座三越8Fのジャパンエディションでのイベント。

東京キッチュさんから声をかけていただいた縁でのコラボ出店で、

「東京キッチュ×ハタオリトラベル」としての参加です。












つづいて、ヤマナシフリンジマーケット。山梨じゅうの面白いモノづくり作家、アーティスト、フード生産者が集まったイベントです。
都留市内の高尾神社という小さな神社の境内で開催されました。
カフェ・ナチュラルリズムのオーナー若林英行さんら、地元を愛するメンバーが発案し、
今回が記念すべき第1回の開催になります。




 
ちなみに「フリンジ」とは、織物のミミという意味もあり、中心からはずれた端っこ、
というニュアンスの言葉です。
東京から見たら端っこの山梨の、さらに端っこにある都留市で、

ここだからこそできることを探していこう。
ここでしか作れない未来があるんじゃないか、というのがフリンジマーケットの心意気です。




 

開催時間は、午後3時から8時までの夕方だけ。

夏の夕方を、古くからの街並みと自然に囲まれた神社の境内で過ごすというのは
とっても気持ちの良い体験でした。



マーケットの会場は境内だけでなく、近所の空き家を大掃除して、ギャラリーショップに。





↑ハタヤさんで写真家の、渡辺竜康さんの写真展も開催していました。







会場を彩る反物や、ヤマナシ産地のハタヤさんの好意で寄付されたものです。上のオブジェは、反物の一緒に提供された織物のミミをつかったもの。


















出店しているまわりの方々も、商売というより、一緒に楽しむために出店している雰囲気でした。
音楽を聞いたり、ビールを飲んだり、腕相撲大会を眺めたりしながら
気にいった商品をさがしてぶらぶらと歩く。

日本でなかなか見られない「マーケット」の楽しさにあふれていたんじゃないでしょうか。

今年行けなかった方、来年はぜひ!

ヤマナシフリンジマーケット Facebookページはこちら↓
https://www.facebook.com/YamanashiFringeMarket?fref=ts

(五十嵐)


2013年7月29日月曜日

作り手のための販売・接客入門!

平成25年7月22日(月)、シケンジョで「作り手のための販売・接客入門」と題し、
勉強会が開催されました。


全国の工業技術センターでももしかしたら初めてかも?
という
売り場での接客を学ぶ異色の勉強会です。

シケンジョは、いちおう正式名称で「工業技術」のセンターなので、モノ作りを支援するのが任務。
それがなぜ、販売・接客といった「商業技術」的な勉強会をするのか?

それは、私たちがシケンジョだからだと考えています。


地域の地場産業が変化に直面したいま、
誰もが既存の壁を超えることで活路を見出そうとしています。


そんなときには、枠から飛び出た新しいことを

手伝ってくれるパートナーもなかなか見つかりません。
将来には、もしかするとだれか別の人の仕事や役割になっているかもしれないけれど、
いまは担い手のいない大事なことを、「シケン」的に引き受けていく。

それもシケンジョの任務なのではないか。
それがモノづくりの助けになるのであれば、大いにやっていこう。

タテ割りのカテゴライズは、成長期の効率化を求める時代に生まれる見方です。

実際に、モノづくりの担い手たちは、
自分の作り出した価値が最終目標である消費者にどうやったら最も効率よく伝わるのか?
(=モノづくり対価としての最終的に利益率をどう上げるのか)
という大きなテーマを抱え、自社ブランドづくりや直販にチャレンジしています。

売り場で消費者を買う気持ちにさせる瞬間の精度を高めることは、

モノづくりの最終ゴールを明確化することにつながります。
これはもう立派な「工業技術」の一部と言ってOK!


そんな考え方があることを、サラッと簡潔に冒頭でご紹介しつつ、勉強会レポート、はじまります!




講師は、上の写真の眞砂絵里子さん。

自ら作るアクセサリーを販売するショップ「eclectic(エクレクティク)」のオーナーをされていますが、その前は、日本を代表する某ファッションブランドの直営店で、販売員の仕事を7年間されていたという眞砂さん。当時は
いかにもマヌカンという、身長やスタイルで勝る(ご本人談)ライバル達を抑え、売り上げトップを長年キープしてきたという販売のノウハウを、たっぷりと教えていただきました。

下の写真は、眞砂さんが作り、販売するアクセサリー。
定期的に数十万円分を買っていくという熱烈なファンもいるそうです。



手描きのパッケージがカワイイです。
眞砂さんのショップには、お客様をその気にさせるための
無数の甘いワナが仕掛けられているとか。

この手描きのパッケージもきっとそんな甘いワナのひとつですね。



紙袋の取っ手は、もともと付いていたものを外し、生地を裂いて作った手作り品だそう。
これもちょっとした工夫とひと手間で仕掛けられる甘いワナ



眞砂さんの教えを受けるのは、主にヤマナシハタオリトラベルに参加する作り手たち。

今年の夏には銀座三越8F(7/31~8/6)、渋谷ヒカリエ5F(8/29~9/11)、

都留市でのYAMANASHI FRINGE MARKET(8/4)と、
予定が目白押しなので、すぐに勉強会の成果を活かせそうです。








下の写真は、眞砂さんのリング用展示台。
リングはこの台を使ったときが一番売れ行きが良く、

またリングは丸く輪になるように並べたときに一番売れるそうです。

なぜ?と問われても答えはありません。

理屈では導き出せない、現場の知恵ですね。


そうした現場の知恵を得るためには、
時々刻々、ディスプレイ変え続け、お客様の反応を見ることだそうです。

ディスプレイについては、眞砂さんが「西宮事件」と呼ぶ、

ディスプレイの魔法としか思えない出来事のお話が印象的でした。

曰く、

西宮での販売イベントに参加したとき、
初日、イヤリングだけが8個売れ、
二日目、ディスプレイを変えたら、ネックレスが7点売れ、
三日目、またディスプレイを変えたら、指輪だけが10点売れ、
四日目からは、ようやく満遍なく売れ始めた。


そこまであからさまに結果が違うものなのか?

と驚き、ディスプレイの力を強く感じたとか。

上のものを下にしただけで、魔法がかかったように売れるモノが変わる、

ということがあるのだそうです。



そして、売り場に立った経験のある人なら誰でも気になるのが、

買う気のある客か、買う気のない客か?その見分け方は?


というポイント。眞砂先生、どうすればわかるんでしょうか??

しかし眞砂さんからの答えは、こういうものでした。

お客様のほとんどは、「買う気になる可能性のあるお客様」。
売り場では、買う気があるないを見分けるのではなく、

買ってくれるお客様になってもらうことが販売員の仕事。

そして、買う気がなかったお客様が、買いたい気持ちを膨らませて買っていただいたとき、
そのときがお客様にとっても一番うれしく、販売員にとっても一番うれしい瞬間なんです。



なるほど!

眞砂さんのお話を聞いていると、
気に入ったモノに出会って、買いたい気持ちをぐーんと膨らませ、

そして買う、という結果に至るまでが、
いかにロマンチックで幸せなプロセスであるか、が分かってきました。

買う人、販売する人、それぞれがワクワクする気持ちを高めることが

「購入」という結果を実らせるためにはとても重要なんですね。

 

眞砂さんのレクチャーは、眞砂さんが長年培ってきたノウハウそのもの。

こんなに教えてもらっていいの?というノウハウをしっかりと受け止めつつ、

実技に入ります。
いわゆるロープレ、ロールプレイングです。



ハタヤさんたちが、自社ブランド商品を手に、
お客さん役の人に向かって話しかけます。

作り手だからこその、ワクワクの生み出し方はたくさんあるはず。

それを磨いていくことは、自社の魅力をより明確にするプロセスにもつながります。





最後に、デザビレでクリエイターの方々を長年支援している鈴木淳さんより。

売り場での経験を重ねて、商品の魅力を説明するノウハウを高めることは、

直販だけでなく、最終的に「第三者に売ってもらう」という、
普段の仕事の大部分を占めるケースでも
より良く売ってもらうための情報提供に役立つ、ということを
ブランドの育成・成長の視点から教えていただきました。


渋谷ヒカリエ5F(8/29~9/11)の販売イベント『ヤマナシ ハタオリ トラベル』では、
眞砂さんが店頭に立って実地演習も予定されています。

お近くにお寄りの方、ハタヤさんたちの勉強の成果をぜひ見にきてみてください!
まずは銀座から。明日の夜、搬入であさってからスタート!6日間!
お待ちしていますー。
銀座三越8F(7/31~8/6)

渋谷ヒカリエ
5F(8/29~9/11)

YAMANASHI FRINGE MARKET(8/4)



(追伸)
今回の勉強会は、ヤマナシハタオリトラベル出展メンバーの勉強会ということで

クローズド気味に開催しましたが、ヤマナシ産地企業の方で私も受講したい、
というご希望がありましたら、ぜひリクエストよろしくお願いいたします。


(五十嵐)