2019年7月22日月曜日

フジヤマテキスタイルプロジェクトー11年目の発会式

2019年7月21日(日)、11年目を迎えたフジヤマテキスタイルプロジェクトの発会式と、恒例の学生によるプレゼン大会が富士吉田商工会議所で開催されました。
さっそくその様子をレポートします! (以下、学年順、敬称略)




M2[2回目]一松 岳 × (株)オヤマダ 小山田直司


一松さんの提案は、昨年の「海に持っていきたくなる」オーガンジーのボーダー柄のバッグをバージョンアップし、ストライプ×ボーダーが重なってチェックを作るアイデア。

ちなみに、M2、B4などの記号は学年を示しています。
M=master(修士)…大学院生  B=bachelor(学士)…学部生




M2[3回目]藤川稔也 × 渡明織物 渡辺明彦

藤川さんは、先染めのボーダー柄とモアレを作るストライプのプリントと、収縮糸を使ったアイデアの2つの提案。




M1[初参加]品川悠佳子 × (株)槙田商店 槇田哲也

品川さんは、富士山に住む野鳥の柄を、先染め×カットジャカードで表現する提案。




B4[初参加]川本健太・望月尊世 × WATANABE TEXTILE 渡辺竜康

川本さんと望月さんは、レピア織機から生まれる「捨て耳」をデザインしてニードルパンチする提案。





B4[初参加]野口美晴 × 武藤(株) 武藤亘亮

野口さんは羽根を生やせるストール、身近な生物のモチーフをストールにする提案。
蝶の羽根を生やして舞っているのは、もちろん鈴木マサル先生です。




B3[初参加]貝原海帆 × 光織物(有) 加々美琢也

貝原さんは、ヘナタトゥーという幸運をもたらすタトゥーの模様と和を融合する提案。






B2[初参加]武石佳奈・宮田真稀 × (有)田辺織物 田辺丈人

武石さんは市松模様の板締めをザブトンに再現する提案、宮田さんは家族や親せきが集まるようなお祝いの席を演出するザブトンの提案。


平沢さんは、残念ながら病欠でした。
M2[3回目]平沢健太 × 舟久保織物 舟久保勝




発会式には富士吉田市、西桂町、富士吉田商工会議所や県からの来賓が集まり、熱のこもった祝辞をいただきました。
地域がこのプロジェクトを心から応援していることがうかがえるひと時でした。

コラボ参加企業の代表、舟久保勝さんの挨拶。「自分たちのために結果を残す」という原点を忘れないように頑張ろう、という決意表明がありました。


ノーギャラでプロジェクトを推進し続けてくれる鈴木マサル先生。
「合言葉は熱量!」というマサル先生の熱量がひしひしと伝わります。



学生代表であいさつをした品川さん。ハタヤさん、マサル先生に続いて意気込みを語ってくれました。


これから生まれる作品は、10月12日ー13日のハタオリマチフェスティバル会場で発表されます。今年は11年目の新機軸として、D&DEPARTMENTとの三者コラボとなり、ハタフェスでもD&DEPARTMENTが出店します。将来、このプロジェクトからD&DEPARTMENTのショップを飾る商品が生まれてくるかもしれません。どんな成果が生まれるか、楽しみです!


(五十嵐)


2019年4月5日金曜日

ホワイトボードでふりかえるハタオリ研修 今年も開催します!






シケンジョでは、産地で織物関連の仕事をしている方を対象として、織物を初めて学ぶ(あるいは学びなおす)方のための研修、「技術者研修」を開催しています。


上のモダンアート的なビジュアルは、昨年行ったその研修で、
大判液晶タッチパネル画面のデジタル・ホワイトボードに描いた板書、29分枚を全て重ね合わせたものです。
こうしてみると、ホワイトボードを埋め尽くす文字と図解の分量が相当なものだったことが分かります。

これがそのデジタルホワイトボードです。ちょうど1年前にシケンジョに導入された新人さんです。


今回のシケンジョテキでは、ホワイトボードに保存されたデジタル画像で
昨年の研修を振り返り、技術者研修ではどんなことを勉強していたのかをご紹介したいと思います。

なお、シケンジョでは今年も4月中旬以降に、この研修を実施予定です。

これから研修を受講予定の方、受講を検討している方は、
ぜひご参考になさってください!

01

DAY01  09:45-11:45 基本的な糸の構造と分類


「糸」と言っても色々な形態があります。いろいろな糸に実際に触れながら、その種類を確認しました。髪の毛の光沢に例える説明を多用しているので、このあともときどき女性の髪のイラストが出てきます。
キーワード
フィラメント・スパン、モノフィラメント・単糸・双糸・諸、モノフィラメント(ラメのトメ糸、網戸)、撚り

※「キーワード」には、昨年受講した鈴木主任研究員によるメモが書かれています。



02

DAY01  09:45-11:45 絹糸について

天然繊維唯一の長繊維、シルクについてです。「糸」という字は…というネタも図解しています。
キーワード
天然繊維、絹、生糸・フィブロイン・セリシン・精練、21中2本諸・21中6片撚り


03

DAY02 09:45-10:10 前回の復習
糸と撚りの基本です。撚りを入れるワケとは?
キーワード
単糸・双糸、諸撚り・片撚り、絹フィラメントの長さ、スパン、光沢、生糸・精練、糸の漢字、中、強撚・甘撚、片撚


04

DAY02 10:10-10:50 素材について
世界地理と歴史を使って天然繊維を覚える図解です。
キーワード
3種類の糸サンプル(ポリ、綿、絹)、スパン単糸(青)・フィラメント双糸(黄)・フィラメント、天然繊維(絹・毛・綿・麻)、四大文明にルーツ、シルクロード


05

DAY02 10:10-10:50 素材について
繊維を燃やして素材を見分ける方法(燃焼試験)を実習しました。嗅覚は化学分析センサーなので、ライター1本あればいろいろな素材が見分けられます。
キーワード
繊維の見分け方、燃焼試験、合成繊維・再生繊維


06

DAY02 10:50-11:00 繊維の太さについて
多くの初学者を悩ませる素材ごとに違う糸の番手の関係、恒長式と恒重式についてです。
キーワード
番手、太さは重さ、D(デニール)=g/9000m、S 毛番手=9000/D、綿番手=5315/D、麻番手=14882/D、双糸の時の毛番手の表記に注意


07

DAY02 11:00-11:45 密度について
シケンジョテキのビジュアルにも使われている虫眼鏡、「分解鏡」を使って密度を測る実習をしました。経糸と緯糸については、前回の投稿をご覧ください。
キーワード
織物は経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸、タテとヨコの見分け方(密度・太さ・柄・みみ)、
密度の単位、本数/単位長、鯨寸(3.78cm)⇔曲寸(3.03cm)


08

DAY02 11:00-11:45 素材・繊度・密度の実習
実際の生地を使って、糸の種類、番手、密度を調べる実習をしました。
キーワード
織物は経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸、タテとヨコの見分け方(密度・太さ・柄・みみ)、
密度の単位、本数/単位長、鯨寸(3.78cm)⇔曲寸(3.03cm)


09

DAY03 09:45-11:00 組織について →組織分解の実習
組織図の基本を、山梨ハタオリ産地の生地を実際に見ながら学びました。
キーワード
タテ糸とヨコ糸の交差(マグネットシートで実習)、交差方法は2通り(2値)、
織物は繰り返しパターンでできている、最小単位=完全組織(ひと完全)、
完全組織演習(方眼紙)、■…タテが上・□…ヨコが上、サンプル生地を分解鏡で見る


10

DAY03 11:00-11:20 三原組織について
三原組織の種類と、その主な特徴を学びました。
キーワード
1.平織り(タフタ、plane weave)、平織りの特徴…薄い・かたい、
2.綾織り(ツイル、twill)、綾目が斜めに見える、糸の自由度が高い→やわらかい
3.繻子織(サテン、satin)、5枚繻子は4-1綾と■の数が同じでも■が少なく見える、
繻子織の特徴…タテorヨコの一方を見せる→糸が並んで光沢が出る、
5×5繻子作成演習、2とび3とび、互いに素、軽口(緯出し)・重口(経出し)


11

DAY03 11:20-11:45 朱子織について
朱子織の構造。「サイズ=枚数」と「飛び数」をもとに朱子織の組織を描く実習です。サイズを何で「枚」と呼ぶかについても学びました。
キーワード
5×5繻子作成演習、2とび3とび、互いに素、軽口(緯出し)・重口(経出し)


12

DAY04 09:45-10:20 組織について
組織図を単純に覚えるのではなく、サイズが違うこと、✖と○の割合の意味を考えます。
キーワード
組織の違いの意味について
重口と軽口・糸の交差周期と固さ-柔らかさ、糸密度(打込み)の違い



13

DAY04 10:20-10:50 組織について
組織の役割が分かるマトリクスで組織を学ぶコーナー。
組織図のパターンを知らなくても、大きさと白黒の割合で、組織の役割や特長が分かるマトリクスです。
この図はシケンジョオリジナルかもしれません。似たような既存の図をご存知の方がいましたら教えてください。
キーワード
織物のマトリクス・黒と白の量の比率=縦軸、交差周期(サイズ)=横軸で見る


14

DAY04 10:50-11:45 組織について →実習
織物を経糸と緯糸でできている立体構造物として見て、2階建て、3階建ての構造として見ること、その時の組織図の様子を学びました。
キーワード
織物の三層構造と生地・多丁杼の場合の表と裏
両面緯出し、両面経出しの組織と生地を見る


15

DAY05 09:45-10:10 組織について(前回の復習)
前回に続いて、織物を多層構造として見て、見た目と構造の関連について学びます。
キーワード
組織は構造とビジュアルを決定する、織物の階層構造


16

DAY05 10:10-10:35 組織について
45度斜め構造に見えるワッフル織(蜂巣織)の組織図から、どうして垂直水平構造のワッフル織が生まれるのか?組織図を読み解く頭の体操をサポートするのが、ここでも織物組織の分類マトリクスです。
キーワード 
ネクタイ地・金襴生地を顕微鏡で見る演習、
蜂巣織(ワッフル織)について


17

DAY05 10:35-11:45 組織について
織物組織と構造の話では、一番面白いのが風通(ふうつう)組織でしょう。一度に2枚の生地が織れる不思議な組織を、糸にみたてたマグネットシートや紙のシートで実習しながら学びます。
キーワード
二重織り、風通、組織のでき方(4×4マグネット&紙)、二重組織作成演習


18

DAY06 09:45-10:20 組織について
風通織の復習と応用。ただ2重に織るだけでなく、それが入れ替わることで袋状の構造が生まれます。
キーワード
組織とタテ糸・ヨコ糸の見せ方、二重織り、風通(綿ガーゼ)、
風通組織作成(貴族=赤と平民=黒の上下関係が破れる場所→接結点)


19

DAY06 10:20-10:40 風通組織について →生地の観察


風通組織と収縮糸を使った応用例。一枚の布からスカートが生まれる不思議な織物のアイデアです。
キーワード
風通を使った織物(オーガンジ、収縮糸、ネクタイなど他の製品)


20

DAY06 10:40-11:45 整経について
経糸を準備する「整経」について説明しました。部分整経の「部分」とは?
キーワード
おまきは、本数・巾・長さ +縞柄、部分整経


21

DAY06 10:40-11:45 整経について(見本整経)~濡れ巻きについて
見本整経機の構造と役割。部分整経機と見本整経機の役割分担についても学びます。
キーワード
見本整経、整経工程の写真、濡れ巻きについて


22

DAY07 09:45-10:45 色糸と組織による効果について
織物組織は単純でも、色糸の配置で柄を出す設計手法。組織図の白と黒、糸色の白と黒がごちゃごちゃになり、不慣れな人は苦労する実習です。
キーワード
組織と糸色の組み合わせにより見える柄、
白黒やすらの平織りでできるストライプとボーダー、
白4黒4の綾でできる千鳥格子、グレンチェック


23

DAY07 10:45-11:10 引込図・紋栓図について
織物を織る行為に不可欠ながら、あまり知られていない引き込み、紋栓について。
なじみのない概念を理解してもらうのは結構大変です。
キーワード
引込図・紋栓図・組織図、順どおし


24

DAY07 11:10-11:45 ジャカード織について ~演習
ジャカード織の基本を学ぶため、ジャカード織のデータを作る実習を行いました。
キーワード
ジャカード織、色まとめ、領域と組織


25

DAY08 09:45-10:45 ジャカード織について
ジャカード織のデータには何が含まれているか?どんな点に注意する必要があるか?
経糸緯糸の密度の違いによる「杼割」が重要であることなどを学びます。
キーワード
JQデータ(紋データ、紋紙、CGS)、
紋紙の穴、緯糸1本分の柄と付属データ(耳・杼替・STOP・丁目)、
杼割、密度とタテヨコ比引込図・紋栓図・組織図、順通し、引きこみ順の違いによる組織の変化、タテ960本が都合よい理由


26

DAY08 10:45-11:45 ジャカード織について(メートルとは)
ジャカード実習では3丁織物を作ります。多丁杼織物に不可欠な、メートル表の概念について学びました。
キーワード
3丁織=3階建て構造、経糸の上下での見え方、メートル表


27

DAY09 09:45-10:15 ジャカード織について
ネクタイの水玉模様などで代表的な「胴」を入れる意味とその仕組み、巻き取りストップの必要性を学びました。
キーワード
柄とメートル、STOPと密度、胴を入れる、二重ビーム


28

DAY09 11:15-11:30 紗、呂、羅
研修の最後に、様々な織り方の応用編を概観するコーナーを設けました。文字としては女性の名前などでよく見る「紗」についてです。
キーワード
紗織り(仕組みと製法と用途)、呂・羅


29

DAY09 11:30-11:45 いろいろな織物
研修の最後は、パイル、ベルベットなど、織り+アルファで生まれる様々な織物をざっと紹介しました。
キーワード
カットジャカード・ベルベット・コーデュロイ


以上、ホワイトボードを使った研修9日分をご紹介しました。
実際には、このほかに
・品質管理について
・染色実習
・産地の歴史と現在について
・相互工場見学
の4日間を加えて、13日間の研修を行いました。

また、ホワイトボードには書かれていませんが、腰機による手織りの体験、検撚体験、織物組織分解体験など、実習も行っています。

全体的に見ると、織物製造のさまざまな要素のうち、「織り」についてが多いものになっていることが振り返ってみてわかりました。
研修を受講される方からのリクエストがありましたら、他の部分も盛り込んでいきたいと思います。

次回の研修は、4月中旬からの予定です。受講生のみなさん、お楽しみに。


(五十嵐)