2011年12月12日月曜日

濡れ巻きツアー 機巻き職人編②

経枠(へわく)職人の作った経玉(へだま)は染色された後に、機巻き職人の手に渡ります。
機巻きとは織機に糸をのせるための最後の作業です。生地幅にタテ糸をならべ、織機にかけた時の張力のムラが出ないように男巻(おまき)注1:)に巻いていきます。

注1:タテ糸を一様に一定の長さに巻き付けた円筒。何千~何万本の糸が巻かれている。タテ糸を準備する工程を「整経」という。

機巻き職人の作業を見せてもらっています。
作業する場所はというと、なんとただの廊下!機械織りにかけられるタテ糸が家の中でできているなんて、誰が想像できるでしょうか?

 まず「組み込み」という作業から始まります。
「組み込み」は四つある経玉(へだま)の糸を、一定の法則で糸を交ぜていきます。この作業をすることにより、織機にかけた時の張力のムラや色のムラを防ぎ、平らで美しい布を織ることが出来るようになります。
一本一本の糸は細すぎて見えないため、すべて職人の手の感触だけが頼りです。それにしても素早い手さばきでした。早すぎて、見ていても何が行われているのかすら分かりません。

生地の幅に糸を合わせるために、仮の筬(おさ)に糸を入れていきます。





ここでハプニング!
突然、天井から雨漏りが!!

しかし、この様な湿った天気の日は機巻きの作業には最も適した日らしいと、職人は話してくれました。湿度が高いことで糸が乾燥せず、静電気が起こらないため、美しくタテ糸を巻くことが出来るらしいです。

気を取り直して、作業再開!!

特殊な台車を使い廊下の端から端までタテを引き伸ばします。
糸の絡みをほどきながら、男巻(おまき)に巻いていきます。


惚れ惚れするほど美しい、タテ糸!!

ここで男巻(おまき)に巻かれたタテ糸はようやく織機にセットされ、布を織ることが出来るのです。


機屋編につづく

(高須賀)