2011年12月13日火曜日

濡れ巻きツアー 機屋編③

長い工程を経て、たてられたタテ糸は、ようやく織機にセッティングされます。
今回は特別に宮下織物株式会社の協力で、濡れ巻きのタテ糸を織る現場も見せて頂くことが出来ました。宮下織物ウェディングドレスの生地を専門に織る機屋さんです。ウェディングという人生の特別な瞬間に着るドレスは、スペシャルなよい生地を求める声もあり、デザイナーさんの中には濡れ巻きの美しい光沢感を必要としている方もいます。

普通、白くて無地の生地ほど作るのが簡単だと思われていると思うのですが、実はその逆で、白の無地が一番難しいとされています。無地のモノは柄がある織物に比べ織った時にできる傷が目立つため、柄がある織物より織るのが大変なのです。特にウェディングの生地は一切の傷があってはいてはいけない生地なので、特に熟練の織り手の技が必要となります。

濡れ巻き職人たちがたてたタテ糸はこの様な形で織り機にかけられます。
様々な職人の手を経て一枚の生地が出来あがっていきます。

ドビー織機

シャットル織機

こちらは濡れ巻きではないのですが、宮下織物が得意とするジャカード織の生地。
美しい光沢と繊細な織り柄が特徴です。


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以上、濡れ巻きツアーを行った時のレポートでした。
濡れ巻きは手織りの技術が工業織りと結びついた大変貴重な技術です。また、濡れ巻きに関係する職人も高齢化が進み、いまや数えるほどしか濡れ巻きの技術者はいないため、これからどれぐらいの間、濡れ巻きが存続できるかもわかりません。

これからも、シケンジョではこの貴重な技術「濡れ巻き」を画像や映像にして記録を取って行こうと思います。



(高須賀)