2024年10月19日(土)から、ふじさんミュージアム(富士吉田市)で企画展、『甲斐絹をよむ #02 「蚕」』が始まりました。
この展示会は、昨年2023年11月~12月にFUJI TEXTILE WEEK
の一環としてギャラリーfujihimuroで開催された『甲斐絹をよむ』展の続編として企画されたものです。今回は甲斐絹の原料となる繭を作る「蚕」にスポットライトを当てた展示が行われています。
これが企画展室のエントランス。
この物体は、蚕が繭を作るための場所、「蔟(まぶし)」。
蚕たちが集合住宅に入居するように個室に入り、それぞれの繭を作ります。
まんべんなく入居してもらえるよう、上に登りたがる蚕の性質を利用して、上の階が一杯になると重さで半回転する「回転蔟」というシステムです。
企画展室には、富士山信仰と養蚕との関わりについてのさまざまな資料が展示されています。
下のマップは明治20年頃の富士吉田。赤い部分はすべて桑畑だったそうです。標高1000mに達する寒冷なエリアでも桑畑が広がっていたことが分ります。
会場では山梨県でも残り少ない養蚕農家のひとつ、アシザワ養蚕で撮影された映像が上映されています。6000年つづく人と虫との約束がある、という芦澤さんの語りが印象的でした。
ここから先は、ミュージアムの建物を出て、敷地内にある「旧宮下家住宅」。この中に、羽織の裏地として使われている甲斐絹の現物が展示されています。
宝永4年(1707)に建てられたと伝えられえている、築300年の木造平屋建ての建物内に、十数点の甲斐絹を裏地に使った羽織が展示されています。
この旧宮下家住宅は、企画展示室とはちがって観覧料も不要で、駐車場から歩いてすぐ見える場所にあるので、気軽に立ち寄ることができます。
昨年の『甲斐絹をよむ』展ではシケンジョで所蔵する甲斐絹の生地見本も展示されましたが、今回の企画展ではシケンジョ以外の甲斐絹が展示されています。
このように裏地が主役になって繰り広げられる展示空間は、世界でも類をみないのではないでしょうか?
魅惑的な光沢や色彩で絹の魅力を放つ甲斐絹の数々を以下、写真でご紹介します。
企画展、『甲斐絹をよむ #02 「蚕」』は、来年2025年1月20日(月)まで開催されています。お近くへお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!
甲斐絹をよむ #02 「蚕」
会期:2024年10月19日(土)~2025年1月20日(月)
観覧料:常設展(一般400円、小中高生200円)に含まれる
※会期中、常設展・企画展ともに富士吉田市民無料
※旧宮下家住宅の展示は観覧料不要です。
休館日:火曜日 ※11月19日~26日、12月28日~1月3日は休館
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(五十嵐)