2012年5月10日木曜日

MEN'S EX 6月号にネクタイ日本一の産地として登場!

お洒落なビジネスマンの必携マガジン、MEN'S EXの6月号に、
日本最大のネクタイ産地として山梨産地が紹介されました!



山梨県織物産地は、「知る人ぞ知る産地」とよく言われます。
一般市民の知名度は確かにほとんどありません。
有名ブランドのOEM生産(他社のブランドの請け負い生産)がメインということもあって
あまり表に名前が出てこないのは確かです。

しかし、じつは隠れた日本一をたくさん持った、縁の下の力持ち産地なのです。

ビジネススーツの袖裏地、洋傘、座布団など
山梨産地には隠れた日本一と言われるものは色々ありますが
そのひとつが、ネクタイです。
今回は、「クールビズでもタイは必ず締める!という本格紳士に告ぐ!」
と銘打ち、
クールビズの逆風の中でも頑張るネクタイ生地メーカーが堂々4ページ掲載されています。

また、シケンジョで撮影された「絵甲斐絹」も産地のルーツとして

紹介されています。(上の写真の中央下)
シケンジョテキ的にも必見の記事です。

MEN'S EX 6月号(5月7日発売)は全国の書店で絶賛発売中、
また山梨のネクタイは山梨県のアンテナショップ、
富士の国やまなし館でも販売中です。

まだ見ていない方は、この機会にぜひ!


*LINK*

□MEN'S EX

http://www.mens-ex.jp/

□富士の国やまなし館
http://www.yamanashi-kankou.jp/tokyo/

2012年5月7日月曜日

山梨のワイナリー訪問:生産現場で魅力を伝えること②

山梨のワイナリー訪問第2回は、「ルバイヤート」ブランドの丸藤葡萄酒工業㈱をご紹介します。
丸藤葡萄酒工業は創業1890年。従業員数12人の小さな酒蔵です。
日本家屋をベースにした社屋は、和洋折衷、古さと新しさの入り混じったおしゃれな外観。
地元の小さなワイナリーのいい雰囲気が伝わってきます。


「それじゃまず、畑、行きましょう」と社長の大村春夫さん。ワイナリーの工場見学は、やはり畑から始まります。

案内された先は、甲府盆地を見下ろす丘の斜面にある「旧屋敷(ふるやしき)」と呼ばれるぶどう畑。
かつて住居があった場所なので、畑にその名
「旧屋敷」 がついています。

ここではフランスの白ワイン用醸造ぶどう
品種、シャルドネが植えられています。
苗の植え方、寄生虫を防ぐための接ぎ木の仕方、枝の這わせ方など、大村社長はぶどう栽培の難しさ、面白さを熱心に語ってくれます。
ワイン作りはぶどう作り、とはよく聞きますが、本当に素材の大切さが伝わってきます。


この畑では、かつてぶどう畑のオーナー制度を採用していました。
畑一列分のぶどうの木のオーナーとなって、一年間、枝の剪定から収穫までぶどうの世話をし、その後5年間、その畑のワインが届くしくみです。テキスタイルで同じような「織機のオーナー制度」なんてあったら面白いですね。


下の写真は、普通のぶどう畑で見られる棚栽培を元にしつつ、ワイン用の育て方をしようというハイブリッドな栽培方法。棚栽培と、垣根栽培の中間形態です。

「これならぶどう農家の方も抵抗なく受け入れてくれるはず」と大村さん。
もしかしたら、こんなぶどう畑が新しい甲州の風景になるかも知れません。


ワイナリーに戻ると、醸造用の設備、タンクなどを見学。その後、見学者用の通路に案内してもらいました。

壁には、丸藤葡萄酒の歴史資料がきれいに陳列されています。
写真は、「ルバイヤート」というブランド名の由来となった詩人の日夏耿之介氏からの書状の展示です。

さらに奥へ行くと熟成用の樽貯蔵庫、そしてその先には、ビンの貯蔵庫があります。
この貯蔵庫はいまはビンが積まれていますが、かつてはこの小部屋全体にワインが蓄えられた熟成槽でした。

壁にキラキラと輝く点が見えますか?
これはワインの中の酒石酸がカリウムなどと反応してできた結晶です。壁一面が照明を受けてキラキラと輝く小部屋がいくつも並んだこの回廊は、丸藤葡萄酒の隠れた人気スポットです。

丸藤では、会社に訪れたお客様のためのこうした見学施設を、ほとんど社員たち自らの手で作ったということです。
商品であるワインを手作りしているのと同じように、お客様に喜んでもらえる施設を手作りしているんですね。
こうした感覚は、日ごろから自社の商品を買ってくれているお客様と直接に相対していることから育まれたものなのかも知れません。

そして、こうした社屋のすみずみに行き渡った社員の皆さんの気持ちをお客様が肌で感じることで、よけいにファンになっていく。そんなポジティブフィードバックが生まれていることを実感しました。


そして試飲室へ。グラスが載っているのは、むかし使われた大きなワイン樽を再利用したものです。


   
テーブルの天板も、かつてのワイン樽の蓋でできています。渋い!

そして下の写真は、今年3月に開催されたワインの試飲会イベントに(プライベートで)お邪魔したときの様子です。

ワイン貯蔵庫の隣にある半地下のスペースで、10名ほどのルバイヤートファンが集まり、ぶどう畑見学&ワイン工場見学のあと、大村さんのワイントークを聞きながら秘蔵ワインを楽しみました。


この日のテイスティングツアーのために作られた手作りのパンフレットには、この場でしか味わえないワインなど数々のワインがずらり。

地産地消という言葉がありますが、それは地元の人が地元のものを消費するというだけのことでないですね。よその人がその土地で作られたものを、その土地に行って体験し、消費するということ、それも地産地消のひとつではないでしょうか。
その素晴らしさを、ものづくり産業はこんなふうに担えるんだということが感じられました。

丸藤では、毎年ファンのために「蔵コン」、ワインの貯蔵用の蔵でのコンサートを開催しています。

ブドウ畑でワインを飲み、ワイン蔵で音楽を楽しむこの蔵コンは、今年で第24回目を数えます。4月14日に行なわれた蔵コンでは、小野リサさんのコンサートが盛大に開催されたということです。

山梨では、ご紹介したルミエール、丸藤のほかにも、沢山のワイナリーがワイン作りにしのぎをけずり、またワインファンのための試飲会やコンサートなどを開催しています。ぜひ情報をチェックしてみてください!



*リンク*


  〒409-1314 山梨県甲州市勝沼町藤井780
 TEL:0553-44-0043 FAX:0553-44-0065

 山梨県によるワインのポータルサイト。山梨ワインの情報がたっぷり掲載されています。

(文:五十嵐 写真:高須賀)


2012年5月1日火曜日

山梨のワイナリー訪問:生産現場で魅力を伝えること①

山梨といえばワイン!という方も多いのではないでしょうか?

そう、山梨は日本最古、最大のワイン産地。日本のワインの約4分の1は、山梨県で作られています。

桃の花が満開になった甲州市で、客員研究員の鈴木淳さんと一緒に、ワイナリーを訪問してきました。

テーマは、生産現場で自社の魅力を伝えること!

山梨県には、メルシャン、サントリーなど大手ワイナリー 以外に、数十軒の地元生まれの小さなワイナリーがあります。

そんな小さなワイナリーたちはこの数十年、大手酒造会社の下請けからの脱却をめざし、苦心して腕を磨き、自社ブランドを立ち上げ、自らの魅力を発信してファン作りをすすめてきました。

こうしたテーマは、ワインだけでなく、テキスタイルなど様々な地域産業にも共通するものです。
近年、世界的に評価の高まる山梨のワインメーカーでは、生産現場でどのような情報発信やブランド戦略をとっているのでしょうか?

訪問したのは、株式会社ルミエール。創業は1885年、
なんと今から127年前からの老舗です。

最初に案内してもらうのは、ぶどう畑。ルミエールの工場見学も、ぶどうの栽培現場から始まります。
これはテキスタイルメーカーでいえば、桑畑&お蚕さん、綿花畑、牧場の羊見学からスタートするようなものですね。

上の畑は、フランスの赤ワイン醸造用品種「メルロー」の畑です。
ふつうのぶどう畑とは違って、針金で作った天井のような棚がありません。
ここでは、ぶどう狩りでおなじみの棚栽培ではなく、ヨーロッパ式の垣根栽培が採用されています。
生食用のぶどう畑に比べて、株を多くし、間隔をせばめ、枝を少なくすることで、ワイン醸造に適した濃いぶどうを収穫するためということです。
山梨では十数年前から、さまざまなワイナリーによってこうした垣根栽培による本格的なぶどう作りが行われています。
お話を伺ったのは㈱ルミエールの木田茂樹社長。ワインにかける情熱、お客様に提供するサービスのクオリティの高さへのこだわりが、ひしひしと伝わってきました。

ぶどう畑の次は、いよいよ工場へ。
ここで目を引いたのは、1901年に作られたという、古い石造りの醸造用の石蔵発酵槽。 文化庁の登録有形文化財にも指定されています。
上にフタ、下に栓のある地下室のような建造物です。いまでもこのタンクでワインが作られ、「石蔵和飲」として毎年ヴィンテージボトルが発売されています。

石蔵の隣には、熟成中のワインが眠る樽の貯蔵庫があります。
生産現場の一角ですが、
これが工場?と思ってしまうくらい格好良い。まるで博物館か美術館のような美しさです。

 
かつては値ごろなワインを大量生産していた時代もありましたが、海外産地の隆盛の中で、より付加価値の高いワインを作るようになってきたということです。

樽での熟成はコストも高く、量も作れません。しかし高付加価値商品としてブランド力をつけ、数量を減らしたことで工場のスペースはゆとりが生まれ、このように歴史を感じさせつつ整然としたたたずまいの樽貯蔵の風景が生まれました。
古い歴史を持ちつつ、時代に合わせて変化してきたからこそ、この格好よさが実現できたのですね。

見学ルートの順番は前後しますが、上の写真はスパークリングワインの熟成風景。ビンの中で発酵し、泡のもとになる炭酸が生まれます。逆さになっているのは、ビンの口に澱を集めるため。

澱がうまく口の部分にたまるように、ボトルを一本一本ときどき手で回す作業が必要なのだそうです。
集められた澱は、ビンの口の部分だけを凍らせる機械で固めて取り出され、コルク栓でふたをされます。
下はエントランスに戻る回廊。ワイン樽の木を再利用してフェンスが作られています。

畑→醸造所→貯蔵庫を回って一周すると、ワインショップに戻ります。
ワインづくりの魅力をたっぷり味わってから、ここで生まれた、ここでしかできないワインを選びます。
なんて楽しい工場見学!ここで一日過ごしに来るお客さんもいるのだとか。


ワインを買うだけではなく、ショップの隣にあるレストラン「ゼルコバ」で地元の食材を活かしたヤマナシ・フレンチとワインを楽しむこともできます。

いかがでしたか?
フランスのことわざに、「肉は骨の近くが一番美味く、食事は地面に近いところが一番美味い」というのがありますが、「生産現場でぶどう畑を見ながら楽しむワインが一番美味い」と言えるかもしれません。
生産現場が、ただ作るだけでなく、情報発信の場であり、レジャーの場であり、消費する場でもある。モノを作るというのは、モノを作るだけでは終われないことを感じました。

山梨のワイナリー訪問第2回は、「ルバイヤート」ブランドの丸藤葡萄酒工業㈱をご紹介します。

*リンク*

 創立     明治18年(1885年)
 本社     〒405-0052 山梨県笛吹市一宮町南野呂624番地
 TEL:0553-47-0207/FAX:0553-47-2001

 山梨県によるワインのポータルサイト。山梨ワインの情報がたっぷり掲載されています。

(文:五十嵐 写真:高須賀)

2012年4月27日金曜日

甲斐絹ミュージアムより #2「唐獅子牡丹」

甲斐絹の紹介、第2弾です。
前回のトラに続くのは、やはり獅子!唐獅子牡丹の登場です。


大迫力の獅子と牡丹!
百獣の王である獅子と、百花の王である牡丹、最強のコラボレーションによる図案です。
「牡丹と唐獅子」は、前回の「竹に虎」同様、古くから好まれてきたモチーフですね。

 唐獅子は牡丹の下でだけ、安らかに休むことができる、ということでペアになっているという話もあります。牡丹と獅子の意味や由来については、いろいろ興味深い情報がネット上に流れていますので調べてみると面白いと思います。

しかし、こんな風にうつむき加減になっている唐獅子の様子を見ると、もしかすると美しい牡丹にメロメロなのかも?
さて甲斐絹の話にもどりましょう。
甲斐絹は、14中(なか)2本という細い絹糸で織られます。

その薄さを実感してもらうために、下にスマホを置いてみました↓
ばっちり透けて見えますね。




今度は、印刷した紙を置いてみます。
スケスケです!


手織りをしたことがある方なら、このように薄く高密度な平織りの生地を作るのが、
どれほど困難なことか、おわかりになるのではないでしょうか?

今度は、唐獅子の頭のグルグルに注目です。
細い線までキレイに再現されています。これは、ほぐし織りでは不可能な精密さです。


 しかし一方、尻尾の先を見ると、ほぐし織りに近いズレが見えます。

これはどういうことでしょうか?


その答えは、絵甲斐絹の絵の付け方にあります。

前回お話したように、絵甲斐絹は織機の上で経糸だけに型染めをします。
場所は筬の手前です。
絵を付けたとき、手前(織り前)側の部分は、すぐに緯糸が織りこまれるので、ズレがほとんど生まれません。
しかし、奥の方(ビーム側)は、緯糸が織りこまれるまで時間がかかるので、わずかにズレが生まれます。
その違いが、上の2枚の写真というわけです。
つまりこの唐獅子牡丹は、織り前から見ると、唐獅子の頭を下にして、逆さに型染めされたことが推測できます。

図にしてみると、こんな風になります。


図案の中で、精密に表現したい部分を手前にして織ると、そこのズレが少なくなるという、絵甲斐絹ならではの工夫なんですね。

今回は、唐獅子牡丹の絵甲斐絹をご紹介しました。

この絵甲斐絹は、甲斐絹ミュージアムで「E148」という名前で紹介されていますので
こちらでもぜひご覧ください。



甲斐絹ミュージアム
http://www.pref.yamanashi.jp/kaiki/

(五十嵐)

2012年4月13日金曜日

甲斐絹ミュージアムより #1「竹虎図」

「甲斐絹(かいき)」という言葉をきいたことがありますか?

甲斐絹は、山梨県織物産地で江戸時代~戦前にかけて織られていた、幻の織物です。
主に
羽織の裏地に使われた極薄の絹織物なのですが、戦後には衣服の洋装化や、織機の機械化が進む中で姿を消してしまいました。

しかし、この甲斐絹には産地のルーツといえる技術がつまっています。
この幻の織物、甲斐絹を知ってもらうことで、
この山梨産地をより理解してもらうことができるのではないかと思います。

じつは、シケンジョに眠る400点あまりの甲斐絹の生地サンプルは、甲斐絹ミュージアムで絶賛公開中です。
ここでは、このシケンジョテキでしか見られない甲斐絹の高解像度の秘蔵画像をピックアップしていこうと思います。


その第1回は、こちら!





この大迫力!
今にも飛びかからんばかりのこのトラ柄の生地は、「絵甲斐絹(えかいき)」という絹織物。
大正2年というから、今からちょうど100年前(!)にシケンジョで購入したものです。

羽織の裏に、まさかこんな派手な柄がかくれているとは!日本人のおしゃれ感覚はスゴイですよね。
こんなデザインのテキスタイルは、世界中さがしても見つけることは難しいでしょう。



そしてこの薄さ、ハリ、光沢が伝わりますでしょうか?
無撚りの絹糸を先練りで、シャトル織機で手織りしたものです。芸術的な職人技のなせる技です。
この整然とした端正な耳!


実はこのトラ柄、生地にプリントしたものではありません。なんと、経糸だけに絵柄をつけているのです。

「それなら「ほぐし織」だってそうじゃないか!」とおっしゃる方がいるかもしれませんね。

しかし!ほぐし織りは絣風のぼかしが魅力のハズ。ほぐし織りでは、ここまで精密な絵柄は再現できません。(トラのひげに注目)

じつは絵甲斐絹は、ほぐし織りとは違って、織機の上で絵柄をつけているのです。
織機の上で、経糸は緯糸と交わり、生地になります。

その直前、筬の手前で経糸だけに型染めをして、糸が乾いてから織り進む。
織ったらまた染める、その繰り返しで作られています。

型染めしてすぐに織ってしまうので、糸がズレない、精密な柄を表現することができるというわけです。

こんな織り方(柄のつけ方)をしている例は、もしかしたら世界でも甲斐絹だけかも知れません。
(「ほかにも知っている」という方がいたら、ぜひご連絡ください。)

虎の目の部分をクローズアップしてみましょう。

経糸だけに色がついて柄になっているのが分かりますでしょうか?




白い緯糸と、絵柄のついた経糸。この両方をつかった平織りによって、絵柄が前に出すぎることなく、うす絹を透かしてみているような落ち着きと奥行きをもたらしています。

では、このシリーズの次回もぜひお楽しみに。 (五十嵐)

2012年4月11日水曜日

特別セミナー『消費者目線から考える、商品と売場の行方』開催します

山梨県富士工業技術センターでは、今年度実施する地場産品プロデュース事業の一環として、県内の織物関連企業の皆さまを対象とした特別セミナーを開催します。


*テーマ: 『消費者目線から考える、商品と売場の行方』

*講師:馬場雅人氏  [アッシュ・ペー・フランス株式会社 場と間事業部]

*日時 平成24年4月19日(木) 19:00-20:30

*場所  富士吉田商工会議所 2階大会議室(富士吉田市下吉田1643-1

*主催  山梨県富士工業技術センター/富士吉田商工会議所繊維部会(共催)

*参加無料


今回のセミナーでは、ファッション、デザインの国際合同展示会「rooms」の運営などで知られるアッシュ・ペー・フランス株式会社で、デザイン・アート・プロダクト・インテリアなど幅広い分野を横断した合同展「場と間」の企画運営を担当される馬場雅人さんをお招きします。

デザイン、ファッションの最先端で、小売とモノづくり、メーカーとデザイナーの垣根を越えて活躍される馬場さんのお話から、これからのモノづくり、商品、売場の行方がきっと見えてくるはずです。

オリジナルブランドづくりの楽しさ、自社の魅力の伝え方などを学びたい方、そしてオリジナリティのあるモノづくりへのモチベーションを高めたい方にオススメです。


[問い合わせ先]
山梨県富士工業技術センター 繊維部技術支援科 五十嵐、上垣
直通 0555-22-2101 FAX 0555-23-6671  admin@fitc.pref.yamanashi.jp

[お申し込み]
申込フォーム(当センターHPトップページ)か上記FAX、E-mailにて
http://www.pref.yamanashi.jp/shinchaku/kougyo-fj/2404/entry_1.html
※富士吉田商工会議所繊維部会の会員は富士吉田商工会議所まで
0555-24-7111 (担当:渡辺)


また終了後は富士吉田商工会議所繊維部会の主催で交流会が開催される予定です。ぜひこちらもご参加ください。(会場:万福久 
*交流会は別途会費制


[講師:馬場雅人氏プロフィール]
アッシュ・ペー・フランス株式会社 場と間事業部/各地の商業施設でデザイン・ファッション・アートの垣根を越えたイベントを企画・開催し、企業、デザイナーを巻き込んだ活動で注目を集める。アッシュ・ペ-・フランス入社後はインテリア合同展示会『場と間』プロデュース、roomsプロダクトコーナーのキュレーション、青参道の立ち上げ、パルコのonce A month売場のディレクション等幅広く活躍。ファッションの合同展示会『rooms』では、アパレルに提案するインテリア雑貨を集約した『プロダクトエリア』を立上げ、アパレルバイヤーに生活の場を演出しプロダクトやインテリア雑貨、アート感覚の商品構成で注目を集める。このエリアでは、ただブースを切り売りするだけではなく、デザイナー、アーティストとメーカーとのコーディネートを行い、roomsの来場する客層に合わせた商品開発、ブースデザインを出展者と共に実施している。インテリア合同展示会『場と間』でもコーディネートを行い商品の見せ方の提案をなど出展者と共に行い、来場するバイヤー、一般来場者へのアプローチを提案。また、5月にオープンする東京スカイツリー内のショッピングセンター「東京ソラマチ」に出店する新業態店『東京十月H.P.FRANCE』)のディレクションを手掛ける。




2012年4月10日火曜日

事業報告会&特別セミナー開催しました

3月28日、平成23年度に行った取り組みの報告会と、清水早苗さんのセミナー「生産現場からの情報発信の重要性」を開催しました。

天井から吊り下げられたバナーは、この1年間のうごきを写真でまとめたものです。
客員研究員として招いた台東デザイナーズビレッジ村長こと鈴木淳さんと一緒に開催した、3回の工場見学バスツアー、産地企業の皆さんとの個別相談、合同勉強会などなど。






まず鈴木客員研究員からのイントロダクションのあと、シケンジョからの事業報告。そして、「ブランド力向上サポートプロジェクト」に参加してくれた産地の機屋さんたちから1年間の活動報告をしてもらいました。

 

まずは㈱槙田商店の槙田洋一さん。
1866年創業、産地を代表する洋傘地メーカーです。

傘地のほかに婦人服地にも力を入れています。生地からオリジナル傘を作れるという強み、多彩な婦人服地を一流ブランドに提供してきた経験値を生かして自社のブランド力をどう生かしていくか?そんなテーマでブランド力向上の作戦会議を重ねてきました。

その結果うまれたのが下の写真の傘。ギフトショーへの初出展にむけて開発した、マルチテキスタイルパラソル。
色、柄、素材感や風合いが違う複数の生地を一本の傘に縫製したものです。
槙田商店の強みを端的に表現しつつ、ブースでの絶大なインパクトを実現しました。
そのブースの様子は、槙田商店公式ブログにも掲載されています。→こちら




そして次には光織物㈲の加々美琢也さん。
掛け軸に使われる生地や雛人形に使われる金襴など、和のテイストを得意とする生地メーカーです。

テキスタイルデザイナー
鈴木マサルさんの指導を受けつつ、東京造形大学テキスタイルデザイン専攻領域の井上綾さんとのコラボ事業にも取り組んでいます。

コラボ事業3年目の今年、ドキッとする色使いで和柄の魅力を現代の若者向けにリデザインしたブランド「kichijitsu」を立ち上げ、「おまもりぽっけ」 「めでたいバッグ」を発売。

なかでも「おまもりぽっけ」は東京キッチュ茨城県近代美術館ミュージアムショップ「みえる」などで取り扱いがスタートしています。

さらに、もともとビジネスの土台になっている掛け軸にも注目し、都内のデザイナーさんとのマッチングを経て、現在新しい掛け軸を提案する商品開発に取り組んでいる状況をレポートしてくれました。




そして㈲テンジンの小林新司さん。
リネンを昔ながらのシャットル織機をつかって織り上げ、キッチンクロスなどのALDIN、セミオーダーカーテンのPROCESSUS、ネクタイ・ストールのLOPEN、バッグなど雑貨のFlax&Grains、というブランド展開をして人気を博しています。

プレゼンでは、10年ほど前に初めてリネンに取り組んだときの試行錯誤や、知名度のなさで苦心した販路開拓時代のお話が印象的でした。

この1年は、工場のオープンファクトリー化の準備やアイテム数の管理など、付加価値をより高めるための仕組みづくりに取り組んできました。


最後は郡内地場産業振興センターが幹事となって、産地企業グループで立ち上げたブランド「阿吽蜻蛉」。
地場産業センターの勝俣裕介さんからのプレゼンでした。

「勝ち虫」として知られる蜻蛉をモチーフにしたこのブランドについては、先月こちらで紹介していますので、ご覧下さい。

一つのコンセプトのもと、ネクタイ、ストール、名刺入れ、ふくさ、ハンカチなどのアイテムを一つの産地内で組み立てられるのは、様々なアイテムを作る多彩な機屋さんが集まっている山梨産地ならではの取り組みです。
これまでのブランドの歴史、現状分析や課題を織り交ぜながら、今後の展望についてのプレゼンをしてもらいました。



この日、都合がつかず欠席でしたが、舟久保織物の舟久保勝さんは、ほぐし織りの傘地を作る日本有数の織物職人さん。この1年は、いろいろな活動のまとめ役を果たしながら、ほぐし織り傘のブランド「harefune」を、光織物さん同様、学生コラボ事業のなかで井野若菜さんとともに立ち上げました。
ブランド力向上サポート事業では、ほぐし織りならではの魅力とは何か、どのように伝えていくかということや、ほぐし織りの工程のひとつ「絵付け」工程の担い手をどのように確保していくか、という難しい課題に取り組んできました。


後半は、いよいよファッションエディターの清水早苗さんによるセミナー「生産現場からの情報発信の重要性」。



清水さんはファッションジャーナリスト・クリエイティブディレクターとして、パリコレをはじめ東京コレクションや、デザイナーへの長年の取材経験を持つ一方、日本のいろいろな産地にも足を運び、モノづくりとクリエーションのかけ橋となる活動をされています。

その代表的なものが、中小企業基盤整備機構で発行された冊子、SHIN-KA、SHIN-ZUIです。

日本のテキスタイル、日本のデザイナー、日本の生産地の素晴らしさを再認識できる、貴重な資料です。

清水さんがクリエイティブディレクターとなって発行されたこれらの冊子は、PDFでダウンロードできるよう公開されています。

ぜひご覧になってください。素晴らしい写真、記事が満載です。

SHIN-KA2007

(繊維ファッション産業におけるクリエイションの情報発信資料)
http://www.smrj.go.jp/keiei/seni/info/pub/022695.html


SHIN-ZUI

(平成19年度中小繊維製造事業者自立事業事例集)
http://www.smrj.go.jp/keiei/seni/info/pub/034668.html


SHIN-KA2008

繊維産地からファッション産業へと繋がるクリエイションの情報発信資料
http://www.smrj.go.jp/keiei/seni/info/pub/034664.html


講演では、さまざまな話題を例に挙げながら、モノづくりに必要なさまざまなメッセージをいただきました。
特に、「良く観察すること」、「オリジナリティを追求すること」。
これは2月23日のトレンドユニオン家安香さんのセミナーでも強く印象に残った言葉でした。
本当に大事なことなんでしょう。

その他、オリジナリティのあるものづくりの態度に加え、ビジネスの出会いの場でも、産地、工場からの情報発信が重要だと語っていただきました。






今回のセミナーでは、若手を中心に産地の新しいエネルギーが高まりつつあることを実感しました。

平成24年度に向けて、山梨県織物産地は引き続き要注目です!



(文 五十嵐/写真 高須賀)