6月21日(木)、葛飾区の染色加工会社、丸枡染色の松川さんをお招きしてセミナーを開催しました。夜の開催にも関わらず、総勢40名という盛況でした。
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↑こういう三角形のかたちにパタパタと折れる表面加工の生地を使った、色鮮やかなペンケースやポーチなどです。写真を見れば分かりますね。
ちなみに名前のmonomatopéeは、
mono(モノ)と、擬音を意味するフランス語のonomatopée(オノマトペ)を合成した造語だとか。
生地商品ではなくプロダクトデザイン(モノ)であること、そして良いものや良い風合いには
擬音がつきものだということから、ついた名前だということです。
松川さんは、この自社開発した表面加工技術を使って、2010年に自社商品の企画を開始。
そしてわずか3か月後には展示会に出展し、その3か月後には販売を開始しました。
またたく間に多くの注目を集め、テレビにも3回出演。
生まれてから2年と経っていないブランドとは思えないスピードと躍進ぶりです。
そして、同じころ生まれたのがもうひとつのブランド「marumasu」。
こちらはインクジェットプリントを活かしたストールのブランドです。
さて、セミナーのテーマは、
『 染色加工会社がなぜ、どのように自社ブランドを育ててきたか
~monomatopée & marumasuのブランド戦略~ 』です。
~monomatopée & marumasuのブランド戦略~ 』です。
タイトルのとおり、染色加工やインクジェットプリントを本業とする染色加工会社が、
どうしてこのようなブランドを立ち上げ、どう育ててきたのか?
どうしてこのようなブランドを立ち上げ、どう育ててきたのか?
松川さんのからその答えを聞こうと大勢やってきた参加者は、いままで以上に若者&女性比率が高い気がします。
繊維の現場から、ブランドをどうやって起こすかが、大きなテーマになっていることが伺えます。
セミナーの中での松川さんのお話しでは、「何をやるべきか」、「特異点をひねり出す」ということばが印象的でした。
このことばからも、 monomatopée(モノマトペ)、marumasu(マルマス)というブランドが、単に自分の趣味や好き嫌いで作られたのではないことが伺えます。
自社の業態や設備、技術、人員などを俯瞰して見て、次のステップをどこに定めて点を打つか。
いくつものファクターが入り混じった連立方程式をといた答えが、モノマトペ、マルマスという形の「特異点」として生まれてきたのでしょう。
「自己言及するデザインでなければならない」
これはmarumasuについて松川さんの語ったことばです。
目に見える絵柄は、それを表現するインクジェットという手法自体を表現したものでなければならない。
言いかえれば、その技術ならではのものを作らなければ、意味がないということ。
たしかに、monomatopéeのデザインも、自社開発した加工技術を最もよく表現したカタチだといえそうです。
それぞれの商品が生まれる背景として、たくさんの知的作業があり、そのすべてをギュッと凝縮したのがmonomatopée(モノマトペ)、marumasu(マルマス)なんですね。
こうした論理的なプロセスと、商品のクリエイティビティを両立しているのが素晴らしいです。
そして、知恵を絞って作りだしたモノたちをブランドとして育てるために、松川さんは
「作ったものがどうやったら伝わるかをしっかりやる」
とおっしゃっています。
どうやったら人に伝わることばになるかを吟味して、パンフレットやホームページを作りこむ。
お話しを伺っていると、商品作りと販促ツールの「仕込み」にかける労力は
莫大なものだということが感じられます。
monomatopéeのホームページに掲載された言葉をお借りして、
その一端を見てみましょう。
『カクカク フニャフニャ キラキラ
素材には「オノマトペ(擬音語・擬態語)」が宿る。
monomatopéeが創るのは、手に取った時それぞれのオノマトペを
感じてもらえる様な生地達が主役のテキスタイルプロダクツ。
一度手にして感じて欲しい。
普段の生活をちょっぴりおもしろくするmonomatopéeの世界へようこそ!』
『ピタッ!「おり紙」のように折り畳まれたバックやポーチ♪
アコーディオンのように広げるとパラパラパラ…。』
『畳まれているときはフラットだけど、
袋状になった部分をバッと広げると立体的になるんです!』分かりやすい言葉で自社ブランドの良さを説明すること、
やったことがある方には、それがとても難しいことがお分かりだと思います。
松川さんは、こういったコピー(文章)やホームページのデザインなど、
すべて外注せずに社内でまかなっているそうです。
「お金をかけない、広告もしない、営業はいない」
しっかり考え抜いて手をかければ、商品自体が広告、営業をしてくれるんですね。
松川さんは、このブランド事業をメインにやっているわけではなく、
染色加工工場としての9割の本業のかたわらにされているそうです。
monomatopéeの快進撃を考えると、これは驚くべき事実です!
セミナーは、約60分の松川さんのセミナーのあと、鈴木淳客員研究員(台東デザイナーズビレッジ村長)のコーディネートによる意見交換会に。時間ギリギリまで熱いトークが飛び交います。
「デザインする染色工場」というコンセプトを掲げ、
染色加工工場として、またブランドを持ったメーカーとして
力強く活躍する松川さん。
講師とはいえ、同じ業界で頑張っている同世代の若手後継者の姿に、
参加者は大きな刺激を受けたことでしょう。