2014年6月19日木曜日

塩素処理水を作製

染色した繊維の色がプールに含まれるレベルの塩素水に対して色落ちしないかどうか調べる
「塩素処理水に対する堅ろう度試験」の依頼試験がきました。
 
シケンジョにおけるJIS依頼試験は様々なものがあります。ひとつひとつの試験には薬液調整や繊維の前処理も必要です。
 
塩素試験の場合は、まず濃度10 mg/Lの塩素処理水を作ります。
 

ツルクロン(漂白剤)に含まれる有効塩素を滴定(3回)によって確定します。
塩素はとびやすいので、冷蔵庫に保管されていたツルクロンの現在の濃度を調べるためです。

色が変わった瞬間。

計算によるとツルクロンの有効塩素は8%でした。

ここから、希釈を繰り返して10 mg/Lの濃度に調整したものを、染色堅ろう度試験で用います。

(上垣)

混用率試験のための準備

微量の麻が混紡されている場合は、硫酸で麻を溶解させます。

その後、「絶乾重量:カラカラに乾燥したときの重さ」を測定し、「公定水分率:素材ごとに定められている」を掛け合わせて、組成を百分率で出します。

この百分率の結果が、製品のタグなどについている表示等に用いられています。

麻等のセルロース系繊維を溶解するための硫酸作製。

モノスゴク熱くなるため、水にちょっとずつ硫酸を入れていきます。

氷水で冷やしながら、保護手袋&メガネ着用でなかなか時間のかかる作業です。 


織物はたて方向、よこ方向さらには種類ごとにバラバラにしておきます(写真は色目等について画像処理ソフトで変更してあります。イメージ写真)。

セルロース系繊維の混紡されている糸は、別途先ほどの硫酸でよーく溶かして、1%アンモニア水等で中和・洗浄し、再びカラカラに乾燥させます。

製品の組成表示に用いる試験であるため、夏物向け製品は、春ごろから夏前の時期に、この試験が多い傾向にあります。

(上垣)

ポリエステル&麻素材(混紡)糸の断面出し  

シケンジョに持ち込まれる依頼試験。

最近、試験の一覧表をUPしましたが、設計部分を除いた消費性能に関する項目でもかなり多種類あります。

このなかで、習熟度が相当必要となるレベルのものがいくつかあり、今日はなかでも高レベルな「混用率試験」、の前処理である素材鑑定に関する部分でご紹介いたします。

次の写真は、糸数本の断面写真です。


1本の中に例えば5%程度の異素材が入っているとします。

写真の場合は青く染色されたポリエステル麻(白い中空あり)が混紡された糸です。

例えば、0.002gの糸ですと、麻は0.0001g、このように極微量なためフーリエ変換型赤外分光 (FT-IR) のような機器分析にかけても、おそらく「麻」と判別することは非常に困難です。

FT-IRや質量分析装置等では、綿やキュプラといった麻同様に植物のセルロース成分由来の信号を検出限界ギリギリのところで捉えられるかどうか、というきわどい分析になると思われます。

ゆえに、微小領域での断面・側面観察と各種薬品への溶解性から職人が判断することになります。

写真にあった、麻をまず見つける技が必要で、発見したら、「硫酸」で溶かし、極微量の麻の減量分を考慮して、数回行う評量誤差を1%以内に抑えるという、集中力を必要とする試験です。

0.55mmの穴に糸が数本、詰まっています。
両面をカミソリでカットするのですが、大抵の場合、裏面をカットするときに抜けてしまってやり直しになります。
シケンジョには断面出し(やり方はこちら)のプロが2名います。


両面カットしたい理由は、下からの透過光で観察するためです。

これにより、1枚目のような綺麗な写真が撮影可能となります。

反射で観察すると。

このように、見えにくいです。

これらの、素材鑑定の後、「混用率試験」を行います。

糸1本中に混じる素材の重量まで算出するため、今日のように、まずは何が潜んでいるのか、「発見」してから、溶解性の相性を判断して、どの素材をどの薬品で溶かすか考えていきます。
 
 (上垣)

2014年6月13日金曜日

山梨の桃農園が開発しているハナモモ染色シルクストール

今年も桃のシーズンがきています。

昨年度、山梨の桃農園さん×甲府の食品系研究キカン×シケンジョによるコラボから
通常、色がつきにくい花弁色素での桃色染色に成功しました。
ハナモモ抽出液で染色:2013年6月19日」

今日は、こちらの桃農園:農業生産法人マルサフルーツ古屋農園さんから

「甲斐絹の商品を購入して、シルクのストールを染めてみたらかなりいい桃色にできました」
という連絡をいただきました。


こちらがハナモモ抽出液を使ったシルクストール。

従来は、剪定枝等を使ってなんとか茶っぽい色がだせるところですが。

花弁色素でシルク素材を、ここまで濃く染めているところが、スゴイところです。

しかも、昨年までは、アクリル素材しか着色しませんでした。

他にも、さまざまな草木染めを試されていました。
タマネギとか。

マルサフルーツ古屋農園のフルヤさんと果樹未利用素材の活用に関する研究を実施した食品系研究員(甲府市にある山梨県工業技術センター)。

このお二人が食品系のコラボ研究を進めるうちに、最終的に廃棄する真っ赤な色素抽出液を染色へ使えるのでは、というアイデアが産まれたそうです。


 
Tシャツの型染めも。


クッキングスタジオが併設されていて、さまざまなイベントも行われています。

管理栄養士さんらが教える体験型カフェ。ランチもやっているとのこと。

体験は県外からも問い合わせが多く、それぞれがだいたい20名までで実施しているそうです。

 近くの畑で収穫して。

スイートポテトにしたり。

ツルでリースにしたり。








敷地奥のほうでは、大雪で壊れたハウス(柿を干す等に使うそうです)を組み立てていました。

この写真のようにシーズンにはあんぽ柿でいっぱいに。

柿を干していない時は、イベント会場になるそうです。




体験型イベントで作ったという桃カレーの写真。

**********草木染めに戻ります*********


 ハナモモ染色はクエン酸で抽出するところが、ポイントです。

草木染めで、ここまでのピンクはなかなか出せません。











中田さんも応援してくれています。







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ハナモモの色素は原材料の販売提供が可能で、抽出方法も確立されています。

山梨の桃農園×ハタヤさんのコラボにつながればと期待しています。

国道沿いの直販店に、桃のコンポート等と一緒にハナモモ染色ストールが、桃狩りの時期に並ぶ様子を想像しました。

地場産品の研究開発は面白いです。

染色の処方箋はシケンジョにもデータがそろっております。

ご興味のある方はコチラかシケンジョまで。

(上垣)