この写真のように染料は「土」にしか見えないのに・・・。
何がどう反応したら、先ほどような綺麗な蛍光黄色に発色するのでしょう!?
(という、シケンジョA研究員の声)
・・・・・想像の落書きです。
カメムシにしか見えない、ベンゼン環の集まった構造の色素が光(エネルギィ)を受け取り。
エネルギィを一部消費したりした、残りエネルギィを放出してそのエネルギィに相当する波長の光が・・・・・・・・。
次の写真へ。
輪っか状の糸を、回転しながらムラなく染めていきます。
通常の100℃付近での染色とは異なり、ポリエステルは130℃の高温高圧で染色します。
写真は温度上昇中です。
シケンジョテキ「アナログメーターの世界」でも登場したアレです。
泡だっていてよく見えないのですが、実は釜の中の染色液は透明に近い色をしていました。
効率良く糸へ染料が移動したのだと考えられます。
通常、溶液の濃度で染色の濃さを加減するように考えると思うのですが。
% o.w.f(オー・ダブリュ・エフon weight of fiber)という考え方を用います。
今回は1%o.w.f。
これは投入糸重量に対して1%の染料を入れる、という意味になります。
洗剤でもこのような表示をしていることもあるようです。
浴比(糸量:水量)はだいたい1:20~1:10で実施することが多いようですが、釜内の水量によって濃度が変わると思うのですが・・。
染料が全て繊維へ移動する(のでほとんど溶液濃度によらず染まり具合が変わらない)、という考え方のようです。え?と最初に聞いた時は違和感がありました。
厳密にはowf以外に、溶液濃度でコントロールするタイプもあるようです。
浴比は染色屋さんの釜毎にだいたい固定されています。
シケンジョでは1:20が多いです。
例えば今回は糸5Kgに100L、といったように。
「染色」って染料で染めて完成!と思われがちですが 。
実は、事前の撚り止め、ソーピング、染色後の還元洗浄*、水洗、オイリング、乾燥・・・・・
工程が沢山あります。*還元洗浄:含硫黄薬剤、アルカリ等の助剤を使った洗浄
織物のたて糸として用いる場合は、今回のようにシリコン等の助剤で処理して、帯電防止措置等を施します。
非常に細い糸の輪っか状の塊です。
これから取り出して干すのですが・・。
くしゃくしゃにしたり、ツレたりしてはいけませんので、綺麗かつ丁寧に干す作業も、ふだん毎日染めているわけではないわれわれ素人にはかなり難しい作業でした。
今回のど派手な糸は、産地企業さんが何かの商品にします。
さて、一体何になるのか楽しみです。
お披露目の機会は、後日「シケンジョテキ」にて予定しています。
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【染色後の感想】
これまで何度か魅せてもらったあの光景。
産地企業の染色屋さんの何気なく見させてもらっていた糸干しの光景について。
実は「干す」という作業1つとっても、難儀であることを実感し。
今まで何気なく見てきた光景は(糸を扱う工程はほとんどが言えることかもしれませんが)修練の美であることをあらためて感じました。
シケンジョテキ「富士・・染め・・工場」より。
こちらの記事は写真120枚近くあります!(整経→整理加工→吉田のうどん→撚糸→染色→ネクタイソルジャー→極上の蛙張り傘屋etcの写真たち)
来月11月12日に、秋の産地見学バスツアー(近日シケンジョテキでもお知らせがあります)が開催されます。
その時は、「秘められた修練」を探しながら撮影・同行したいと思っています。
(上垣)