2011年11月30日水曜日

富士山麓の織物工場でつくり手に出会うバスツアー2011~工場見学編

三回目となるバスツアー、その名も「富士山麓の織物工場でつくり手に出会うバスツアー2011」!
シケンジョがチャーターしたバスで新宿~山梨を往復し、思う存分、山梨県郡内織物産地の魅力を知っていただくために企画した、ものづくり系日帰りツアーです!!
今回のバスツアーは産地とのビジネスに興味のある方、今後のビジネスに産地とのつながりを活かしていきたい方を対象とし応募をしたところ、予想以上の反響に、早々とバスの席が埋まってしまう程でした。

それでは標高600~800mで開催された、熱い織物産地見学ツアーの模様をお伝えしようと思います。

 本日快晴!今まで見たことのないような、美しい富士山が東京からいらした方々を出迎えてくれました。これぞ日本一の山!!



織物が作られる現場をできるだけ多く見てもらうため、分刻みの密なスケジュールで工場を回っていきます。挨拶も早々に工場見学がスタートしました。

こちらは武藤株式会社の武藤社長。天然素材の良さを活かした、とても繊細な織物を得意としています。ここで織られた細番手のシルクカシミヤのストールは驚愕の気持ちよさ!その質感は、触れた人のすべてを虜にしてしまいます。



こちらは洋傘を作りつづけて140年余の老舗、株式会社槙田商店
織物工場を見た後、そこでできた生地の裁断や縫製も見学しました。上の写真は傘生地を裁断している職人さん。4枚の生地をずれることなく裁断するのは至難の業であり、最初は新聞紙の裁断から練習したらしいです。裁断に使用する、独特な形をしたナイフはキレ味が悪くならないように、一日に10回も刃を研いでいることには驚きました。作業の隅々に職人の技を感じます。



槙田商店自慢のテキスタイルアーカイブのお披露目。古くは200年近く前のモノも集められています。タダならぬオーラを放っている織物見本帳に息をのみます。

本を開くと、今の技術では再現不可能な美しい生地がずらりと集められており、みなさん感嘆のため息を漏らしていました。

これらは槙田商店が織ってきた生地を集めた見本帳。140年の歴史そのものです。

ところ変わって、舟久保織物にやってきました。
舟久保織物はほぐし絣という、特殊な生地で傘を作っている織物会社です。


ほぐし織りとは、同じタテ糸を織機で2回織らなければいけないという、大変手間のかかる織物です。
粗く仮織りしたものに捺染(スクリーンプリント)を使い染色し、もう一度そのタテ糸を織機にたて、ヨコ糸を抜きながら本織りをするという工程を踏んでつくられる織物です。
上の写真は粗く仮織りし、柄を染め終えた状態のもの。

 こちらはほぐし織の生地を作るときに使われていた、昔の版(柄の型)。柿渋を塗った紙で出来ており、色ごとに版作り、染め重ねていきます。

タテ糸に染められた柄が、本織りをすることで浮き出してくるのがわかります。
また2度織ることで柄の際(キワ)がかすれ、ほぐし織ならではの独特な表情が生まれます。

舟久保織物では機関車のように古い織機が現役で働いています。まさに機械美!!!





こちらはリネン織物を得意とする、有限会社テンジン
織物工場を見る前に小林専務から生地が出来る工程をレクチャ―していただきました。

織りの設計図にあたる紋紙を作る機械。
織りの構造はタテ糸が上がるか下がるかの2つの情報だけで出来ています。その情報を紋紙といわれるパンチカードに記憶させ、織機に情報を読み込ませ、生地を織っていきます。
この機械では、ドビー織機に使われる紋紙が作られます。






こちらは山梨県織物整理株式会社。織りあがった生地の後加工を行ってくれる会社です。
特にニードルパンチという加工を得意とし、今回の工場見学では参加した方々にニードルパンチ加工の体験もさせていただきました。



ニードルパンチは繊維同士を無数の針で絡ませることで、フェルトを作ったり、二枚の生地を張り合わせたり、 異素材をくっつけたりする加工後術です。
工場見学に参加した方々は思い思いの素材を布の上に配置し、ニードルパンチ加工のサンプル生地を制作しました。

 お昼を挟んでみっちりと工場を見てもらい、午後からは特別講師としてお呼びした山本聖先生の講演会とシケンジョに特別に設置した地場産品のプチ展示会に続きます。
その様子も後ほどブログでお知らせしようと思います。




過去に実施した工場見学ツアー。
★8月26日開催 『織物産地工場見学ツアーin山梨』 (台東デザイナーズビレッジとの共催)
 (高須賀)