2013年3月28日木曜日

FUJIYAMA TEXTILE PROJECT 2009-2013

~吉田織物マインドを揺さぶる~


2013年3月1日~20日まで森の中のギャラリーカフェ「ナノ・リウム」で東京造形大学と富士吉田織物企業とのコラボレーション企画、富士山テキスタイルプロジェクトの4周年になるのを記念した展示が開かれました。

会期中には監修を務めるテキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏も交えてのトークパーティーも開かれ、大盛況に終わった「FUJIYAMA TEXTILE PROJECT 2009-2013」展の模様を写真でご紹介いたします。
こちらが会場となった森の中のギャラリーカフェ「ナノ・リウム」。
鹿や野ウサギがまわりに住む、とても気持ちの良いギャラリーです。


入ってまず目を引くのが、円錐状に吊るされた二重織りの生地。光が透けてとてもきれいです

中に入っていくとこんな感じです。
自然光が部屋中に広がり、とても美しい空間です。

天井には傘。

壁にも傘

窓には富士山の形に穴のあけられたパンチカード(ジャカード織りの設計図)。

ギャラリーのいたるところに東京造形大学の学生がデザインし、富士吉田の機屋さんが織り上げた布製品が飾られています。



こちらのネクタイは今年のプロジェクトで作られた商品。
ネクタイの渡小織物と山根さんのコラボレーションで作られました。もともとあった在庫のシルク100%の生地に顔料プリントを上からかけたものです。なんともポップでハッピーなネクタイとなっていました。

宮下織物のコラボ商品。



日が落ちると展示会場も雰囲気がガラリと変わってきます。


右が今年の2月の東京インターナショナルギフトショーでお披露目された田辺織物の自社ブランド「cocioroso」。腰を下ろそうと思った時、すぐそばにあるようなブランドとして今年スタートしました。
左は田辺織物と井上美里さんとのコラボレーションでできた座布団。

写真じゃ分かりづらいですが富士山の形をした巾着(きんちゃく)。


ステンドグラスの様な透け感が美しいです。


エントランスの様子も夜になるとムーディーになります。

舟久保織物と岩室君のコラボ商品。
男の人でも持てるお洒落な傘をコンセプトにしており、柄は雄のライオンがモチーフになっています。
「ほぐし織」の特性を活かした線画のデザインが興味深いです。

過去4年間で作られた個性豊かなネクタイが集まっています。

マイクロファイバーを使ったストール。




~吉田織物揺さぶるトークショー~

会期中の3月9日には過去4年間でプロジェクトに携わった学生(元学生)と富士吉田織物企業が入り乱れてのトークショーも行われました。監修を務めるテキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏も参加し、会場は熱気にあふれた状態でトークショースタートです!

まずはギャラリーオーナーの中植さんからのお話。

後ろにみえるのは、地元の中学生。地元でのこのプロジェクトに対する関心の高さにも驚きです。

我らがシケンジョ五十嵐主任研究員による産地の歴史のスライドショーが始まりました。過去1000年前からの産地の状況から富士山テキスタイルプロジェクトが始まるまでの流れを、ユーモアたっぷりで話しています。


司会はネクタイの渡小織物、渡辺太郎さん。
流石、元生徒会長。巧みな話術でトークショーを進行させていきます。

参加している機屋さんや学生の話は活気あふれる話ばかり。皆でこのプロジェクトに対する熱い思いを語りつくしていきます。


最後は会場にいるみんなで記念撮影。

そんなこんなで富士吉田織物産地の熱を帯びた夜は更けていくのでした。

今回、ナノリウムでのトークショーに参加してみて、このプロジェクトが産地にもたらしたものの大きさを感じました。それは単にデザイン性のあふれるモノができたということだけでなく、学生を受け入れることで産地全体に新しい空気が入り込み、なにか大きな変化をもらたらしているということです。
 

最初は手探り状態で始まったこのプロジェクトですが、4年という期間のあいだには、産地に就職する学生が出たり、機屋さん自身の自社ブランドが立ち上げられたりと、それまでの産地では考えもつかなかったような事が実際に起きています。

色々なタイミングがあるにせよ、このプロジェクトが富士吉田の産地が活性化している一つのきっかけになったのは間違いないのではないでしょうか。
これからもこのプロジェクトは産地に新たな種をまく為に続いていきます。
シケンジョとしても応援していきたい産地のプロジェクトです。


(高須賀)