平成26年12月5日(金)、今年3回目となる、
『ヤマナシハタオリ産地バスツアー5DEC2014』を開催しました!
今回はアパレルブランド、インテリア系メーカー、テキスタイルメーカー、自動車メーカー、出版社など『ヤマナシハタオリ産地バスツアー5DEC2014』を開催しました!
様々な分野の方々からの応募をいただきました。
師走の多忙な時期に、ヤマナシ産地への訪問に一日を割いて参加してくださるというのは、
大変ありがたいことです。
天候も味方してくれたようで、この日は素晴らしい快晴に恵まれました。
出発は朝9時、新宿西口のこのあたりが集合場所でした。
宮下織物は、ドレス生地を中心に企画・デザイン・生産を行っています。
そのルーツとして紹介された、50年前に織られたというヴィンテージ生地に
参加者の熱い視線が注がれました。
「華麗」 という言葉が似合う、美しいジャカード柄の数々を見せていただきました。
そして宮下織物のショールームへ。
膨大な種類のテキスタイルが保管されています。
デザイナー、企画担当の方々には宝の山に見えたことでしょう。
宮下織物での生地へのこだわりのひとつは、徹底した品質管理。
数百mもの生地を、裏・表×2回の計4回、
こうしてキズや汚れがないか熟練の職人さんが丁寧に検反しています。
社屋の2階にあるのが、デザイン室。
デザイン画を見せてくれているのが宮下珠樹さん。
手書きのデザインもコンピュータでのジャカードデータ作成もこなすベテランです。
ヤマナシ産地でも、テキスタイルデザインの専門家が社内にいるハタヤさんは希少です。
デザインの現場で使っている織物組織のサンプルを使って、
ジャカードデータの作成工程について説明をしてくれました。
1ドット単位の繊細な作業でジャカードデータを作り込んでいきます。
モニター画面に映っているデータを織りあげたのが、こちらの生地です。
できあがった生地を介して、産地のテキスタイルデザイナーと
ファッションデザイナーが熱く語り合う瞬間。どちらも目が輝いています。
上の女性は、東京造形大学とヤマナシ産地とのコラボ事業、「FUJIYAMA TEXTILE PROJECT」を経て宮下織物に就職した渡辺絵美さん。
そしてバスは次の訪問先へ。
見送る宮下珠樹さん、ご自身のデザインした生地で全身を装っています。
この水色のスカートの生地は新作で、特に注目を集めていました。
次の訪問先は、北口本宮冨士浅間神社。
富士登山コースとして最も利用者の多い「富士山吉田口登山道」の
入口としても知られる神社です。
富士山が世界文化遺産となったとき、その構成資産として一緒に登録されました。
清冽なミネラルウォーターが湧く手水舎(ちょうずや)。
ここで湧くのと同じ富士山の伏流水が、糸の染色にも使われています。
そして昼食へ。
ハタヤさんのまかない食がルーツとされる、吉田のうどん。
写真は「みうらうどん」の肉月見かけうどんです。
午後一番目の訪問先は、眞田織物。
産地でも珍しい、[染色~整経~製織]までを一貫生産体制を備えた工場です。
こちらは染色工場。
産地でも珍しい、[染色~整経~製織]までを一貫生産体制を備えた工場です。
こちらは染色工場。
眞田榮一社長が染色工程を分かりやすく説明してくれました。
糸を染めたあとは、ボビンに巻きなおす「繰返し」工程。
そして整経工程。
数百個のボビンが奥に並んでいて、それがこの回転するドラムで巻き取られていきます。
「ビーム(おまき)」として準備されます。
そして織機の並んだ製織工場へ。
まずは「ドビー織機」から。
ドビー織機は、たて糸を動かす「ドビー装置」を備えた織機です。
ドビー装置は、たて糸をいくつかのグループに分けて上下に動かす機構です。
ドビー装置は、たて糸をいくつかのグループに分けて上下に動かす機構です。
下の写真では、18グループに分けられたうちの
左から2、5、8、10番目のグループのたて糸が上に持ち上げられている瞬間が見えています。
各グループをまとめているのが、綜絖(そうこう)というパーツです。
一方、下の織機は、ドビー織機ではなく、ジャカード織機。
たて糸をグループ単位ではなく、1本単位でバラバラに動かすことができます。
ドビー織機では、「いくつかのグループ」毎の動かし方しかできなかったたて糸が、
ジャカード織機では、数百~数千種類の動かし方ができるので、
複雑な絵柄を表現することができます。
たて糸が違う動き方をしているのが分かります。
『ヤマナシハタオリ産地バスツアー5DEC2014』の参加者に配布したガイドブックでは、
その違いを操り人形に例えて、下の図のように説明しています。
「ドビー織機」は同じポーズの繰返し、
「ジャカード織機」はそれぞれ自由なポーズ。
ポーズを織物組織に置き換えると、その違いが分かるのではないでしょうか。
糸が染められてから生地になるまでの工程を、一か所で見ることができる
眞田織物のなかでも、この製織工場は、たて糸とよこ糸が出会い、
生地が誕生の瞬間を迎える場です。
そんな織機の上に、神々しい光が降り注いでいました。
その違いを操り人形に例えて、下の図のように説明しています。
「ドビー織機」は同じポーズの繰返し、
「ジャカード織機」はそれぞれ自由なポーズ。
ポーズを織物組織に置き換えると、その違いが分かるのではないでしょうか。
糸が染められてから生地になるまでの工程を、一か所で見ることができる
眞田織物のなかでも、この製織工場は、たて糸とよこ糸が出会い、
生地が誕生の瞬間を迎える場です。
そんな織機の上に、神々しい光が降り注いでいました。
無事に生地が生まれたあとに重要なのが、検反工程。
このローラーで生地の長さを測りながら、傷や汚れをチェックし、
拡大鏡を使って微小な糸くずなどを取る作業を行います。
拡大鏡を使って微小な糸くずなどを取る作業を行います。
眞田榮一社長からは、こうして一貫生産で手を掛けて生地を作ることで、
目の行き届いた品質管理と、迅速で小回りのきく生産体制が実現できることをお話しいただきました。
そして次の訪問先は、㈱富士セイセン。
産地でも最大規模の工場で、糸や生地の染色と、生地の仕上げ加工や、様々な機能性加工、風合い加工を行っています。
まず見せていただいたのが糸の染色工場。
ヤマナシ産地では多く用いられている「綛(かせ)染色」の染色機がこちら。
綛とは、 糸をドーナツ状にグルグルと巻いた糸のまとまりです。
古くからある伝統的な手法ですが、ヤマナシ産地では小ロットに対応できること、
糸への負担が少なくて風合いがよいことから、今でも多く行われています。
白い糸が染まって行く工程に、参加者たちから感嘆のため息がこぼれる瞬間。
綛は染色後、脱水機にかけられたあと、ゆっくりと時間をかけて乾燥されていきます。
そしてもう一つの染色方法が、「チーズ染色」です。
ナチュラルチーズの形に似ていることから、「チーズ」と名付けられています。
染色前後の工程がシンプルで、大量に染色できるので
世界的に主流となっている染色方法です。
この「チーズ」型ボビンの中心を貫いた軸をとおって、
染色液が内側から外側へ向かって流れ、糸を染めていきます。
染色液が内側から外側へ向かって流れ、糸を染めていきます。
そして次は、染色ラボへ。
富士セイセンでは、色の再現性を確保するため、
コンピュータ制御で染色レシピ(染料の配合データ)を管理しています。
上の写真は、レシピどおりの分量を配合するシステムの一部です。
ラボには膨大な染色レシピが保管されています。
そして生地の仕上げ加工をする工場へ。
下は、生地の斜行やゆがみをセンサーで検出し、微調整しながら、生地をきれいに送って行く装置。
こちらは巨大なドラムに蒸気が送られ、熱で生地のシワを伸ばしていく装置。
いわば巨大なアイロンです。
下の大きな黒っぽい筒は、じつはサンドペーパー。
これで生地をこすることで、平坦な生地を起毛させる加工に用いられます。
こちらは生地に何トンという荷重をかけて、生地を平につぶし、光沢を出す「カレンダー加工」装置。
ちなみに暦の「カレンダー」はCalendar、
生地のツヤ出しをする加工はCalender。
スペルが微妙に違うので間違えやすい、別々の単語です。
そして最後を締めるのはやはり、検反です。
今回訪問した三か所の企業のいずれでも、検反作業が行われています。
今回訪問した三か所の企業のいずれでも、検反作業が行われています。
生地は織っただけで終わりではなく、仕上げ加工や各種の機能性加工、風合い加工ののち、検反を経てようやく商品となって出荷されます。
ヤマナシ産地で生まれた生地の多くがこの富士セイセンで梱包されてから、ハタヤさん経由で全国・世界へ旅立って行きます。
そしてバスはシケンジョへ。
『産地ミュージアムトーク』と題して、前々回の宮浦晋哉さん、前回の辰野しずかさんに引き続き、
今回はみやしん株式会社の宮本英治さんから、お話しをしていただきました。
宮本さんは日本を代表するファッションブランドのテキスタイル開発・生産を長年続けて来られた、
日本を代表するハタヤさんの一人です。
現在はテキスタイル生産事業から身を引き、文化・ファッションテキスタイル研究所 所長に就任、
テキスタイルづくりの技術と発想を伝える教育者として活躍されています。
今回のツアーでは、新宿から同行してもらい、ハタヤさんの立場、ファッションの現場の状況、その両方を熟知した専門家としてツアーのサポートをしていただきました。
ミュージアムトークでは、今回のツアーのテーマでもあるドビーとジャカード、
そのどちらにも重要な「織物組織」について
紙管を糸にみたてて、その立体構造について説明してくれました。
『産地ミュージアムトーク』と題して、前々回の宮浦晋哉さん、前回の辰野しずかさんに引き続き、
今回はみやしん株式会社の宮本英治さんから、お話しをしていただきました。
宮本さんは日本を代表するファッションブランドのテキスタイル開発・生産を長年続けて来られた、
日本を代表するハタヤさんの一人です。
現在はテキスタイル生産事業から身を引き、文化・ファッションテキスタイル研究所 所長に就任、
テキスタイルづくりの技術と発想を伝える教育者として活躍されています。
今回のツアーでは、新宿から同行してもらい、ハタヤさんの立場、ファッションの現場の状況、その両方を熟知した専門家としてツアーのサポートをしていただきました。
ミュージアムトークでは、今回のツアーのテーマでもあるドビーとジャカード、
そのどちらにも重要な「織物組織」について
紙管を糸にみたてて、その立体構造について説明してくれました。
シンプルな織物組織から生まれる多重織りや、プリーツ効果など、さまざまな生地の構造の
面白さを解説していただきました。
そして宮本さんのお話しのあとは、シケンジョ講堂を会場にしたミニ展示会。
生地や商品を介して語り合う場を作りました。
・(株)前田源商店 https://www.facebook.com/kaisorganicproducts
・武藤㈱ http://www.opiyo.jp/
・(株)槙田商店 http://www.makita-1866.jp/
・山崎織物(株) http://www.yamazaki-fabric.com/
・(株)オヤマダ
・舟久保織物 http://www.funakubo-orimono.com/
・宮下織物(株) http://www.miyashita-orimono.jp/ ※見学先
工場見学ももちろん刺激的な体験にちがいありませんが、
ハタヤさん、デザイナーさんたちは、生地に触れながら互いに向き合ったとき
いっそう目が生き生きと輝き、コミュニケーションが深まるように感じられました。
そして恒例の交流会。
一日の疲れも感じさせず、交流会のあいだも熱いトークを重ねる参加者の皆さんとハタヤさんたち。
「ハジケてください!」というカメラマンの要望に、仲良く応えてくれました。
この中から、テキスタイルを介した新しいつながりがたくさん育つことを願ってやみません!
一日の疲れも感じさせず、交流会のあいだも熱いトークを重ねる参加者の皆さんとハタヤさんたち。
「ハジケてください!」というカメラマンの要望に、仲良く応えてくれました。
この中から、テキスタイルを介した新しいつながりがたくさん育つことを願ってやみません!
今年のバスツアーはこれで終了です。
関係者の皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました!
『ヤマナシハタオリ産地バスツアー』、次回は来年初夏に開催の予定です。
参加を希望される方は、開催時期が近づいたらメールにて募集開始のお知らせをしますので
ブログ上部に表示されたメールアドレスまでご連絡ください。
参加を希望される方は、開催時期が近づいたらメールにて募集開始のお知らせをしますので
ブログ上部に表示されたメールアドレスまでご連絡ください。
(五十嵐)