2014年9月16日火曜日

掘り下げるデザイン ~SAIBAIMAN 土から始まるものづくり~

 
東京造形大学とヤマナシ産地企業のコラボ事業、
FUJIYAMA TEXTILE PROJECTの一期生として2009年から2年間、山梨に通い、
その後2011年に山梨に移住してシケンジョの臨時職員として2年間勤務した
高須賀活良(たかすか・かつら)さんの個展が、
いま千葉県の「子ども美術館ふなばしアンデルセン公園内)」で開催されています。

 
高須賀さんはシケンジョ在籍当時、このブログ「シケンジョテキ」のスタートにあたって
大きな役割を果たしたシケンジョの元スタッフであり、
今もヤマナシハタオリトラベルの一員として産地企業と活動を共にしつつ、

ヤマナシハタオリトラベルの一大事業である
富士山駅ビル内の「ヤマナシハタオリトラベルMILL SHOP」のオープンに向けて、
ディレクションや空間デザインをプロデュースしたことは、
以前のブログ(ついにオープン!ヤマナシハタオリトラベルMILL SHOP! )でもお伝えしました。




今回は、こうした彼のデザインを支える考え方をお伝えするため、
子ども美術館で開催中の個展「SAIBAIMAN―土から始まるモノづくり―」
をご紹介させていただきます。





デザインという行為には、「ゼロから新しいものを生み出す」という側面もあるかもしれませんが、
もっと重要なのは、いまあるものの中から価値を拾い出し、
そこでしかできないことはなにか? を掘り下げることだと思います。


その足元を掘り下げ、価値を見出してカタチを与えるというデザインの発想が、
アート作品にも共通して活かされているのをご覧ください。



会場の中央に並ぶのは、糸でつるされたオブジェと、その下に散らばった植物です。



 

「オブジェ」は、様々な天然繊維で織った「衣服」で、
「衣服」の材料は、

土から生まれ育った植物繊維や、植物を食べて育った動物から得た絹、ウール。

そして下に散らばった「植物」は、その糸に色を与えた「草木染めの素材」。

すべてをたどっていくと、土から生まれ育った生命に行きつくこと、
人は生命を素材にしてモノを作っていることを、
アーティスト、高須賀活良
さんはカタチで伝えています。

テキスタイルとは何か?

この問いを掘り下げた高須賀
さんのひとつの答えが、この空間を満たしているようです。


この展示は、ぜひこの場に立って、全身で感じて欲しいと思います。










この展示は、すべて高須賀
さんが糸を染め、手織りで織ったそうです。

経糸整経長(準備して揃えたタテ糸の長さ)は150mに達するとか。
150mといえば、十分に織物工場の生産ロットのレベル。
手織りでそんなに長い整経をする人は、ほとんどいないでしょう。










会場には、過去の作品も展示されています。

下の写真は
「土から生まれた服 土に還る服」

高須賀
さんの東京造形大学テキスタイルデザイン専攻 在学中の作品です。
 








下の作品は「souls」。イギリスでも展示された作品です。

蚕の繭、シルクを素材に作ったキューブが並んでいますが、
一つのキューブには数千の蚕が吐き出した絹糸が使われています。






会場の子ども美術館のある「ふなばしアンデルセン公園」は、
自然たっぷりの公園で、イベントやワークショップも充実。
子どもを連れて家族で行けば一日楽しめそうです。







秋の行楽シーズンになかなか良さそうですね。
散歩にもぴったりな公園でした。
おススメです。



「SAIBAIMAN―土から始まるモノづくり―」
アーティスト 高須賀活良(たかすか・かつら)

■場所:ふなばしアンデルセン公園 子ども美術館
 〒274-0054 千葉県船橋市金堀町525番


■期間:9月6日(土)~10月26日(日) 9:30〜16:00

休館:月曜

公園の入園料が必要です。(一般900円 高校生600円 小中学生200円)
 





(五十嵐)