1930年代の日本の普通の家庭で、織物がどんな風に使われていたかがよく分かる資料をいただいたのでご紹介します。
日本女子大生、小林孝子さんの1936年の卒業研究「考現学より見たる一家庭」と、卒業後に作成された衣服標本や資料についての研究をとりまとめた冊子『小林孝子衣服標本資料集』が2022年2月に刊行され、日本女子大学の松梨久仁子教授からご恵投いただきました。
この冊子を開いてみると、小林孝子さんが集めた214点の端切れの写真には、手書きのコメントが添えられ、衣服や布が家族の思い出と深く結びついている様子がわかります。
フィクションや再現ドラマではなく、まぎれもない本物の当時の暮らしの断片を見ることができるのは、とても刺激的です。
また文章からは、衣服に使われている生地が当たり前のように家庭内でリサイクルされている様子も分かります。
また、山梨ハタオリ産地の技術、デザイン的なルーツである『甲斐絹』がそのなかに含まれていたことは、大きな収穫でした。
松梨教授から許可をいただきましたので、その他のページもごく一部ではありますが、写真で紹介したいと思います。
90年前の日本へのタイムスリップをお楽しみください。
小林孝子衣服標本資料集
2022年2月28日発行
編集・発行
日本女子大学総合研究所
小林孝子衣服標本研究会
(五十嵐)