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2014年1月28日火曜日

坂口昌章さんセミナー開催しました /産地訪問編

坂口昌章さんセミナー前後に坂口さんを産地をご案内した、産地訪問編、スタートです!

まず訪問したのは、山崎織物。

産地でも、もっとも古くからネクタイを作るネクタイの老舗で、
服地、ストールなど多彩なテキスタイルを手掛けています。
工場機能は外部に移し、企画開発に主軸を置くスタイル。

山梨のハタヤさんは、

自社工場を持つハタヤさんと、
自社で織機を持たないハタヤさんに大きく分かれています。

後者の山崎さんは、近隣の賃機さんや、工場を持つ同業のハタヤさんとのネットワークで

織物を生産しています。


産地の職人の技術が光る、4重織りストールを広げる坂口さん。



続いて坂口さん、シケンジョ所蔵の甲斐絹を紹介している「甲斐絹座」のパンフに目を奪われていました。

「これはいいですよ!」

と絶賛していただきました。

甲斐絹座はヤマナシ産地の4社で作るグループ企業。
山崎織物さんもその一員となっています。

甲斐絹座のシルクストールは、素材の絹も山梨産。

なんと、アメリカのMOMAデザインストアでも販売されているなど、

世界的に注目されています。





山崎織物の直販ブランド、「富士桜工房」のシンボル的存在、桜のネクタイ。

なんと、桜前線の北上と同じように、時期が来ると注文前線も北上していくそうです!



そして続いて、お隣にある槙田商店へ。
傘地と服地を生産する、1866年創業の超老舗。

槙田商店さんは、山崎織物とは逆に、

企画営業をする産地問屋から、自社工場を持つスタイルに変化しています。

下は6000口の大口ジャカードで傘生地を織る工場。

←これは経糸を巻いた「ビーム(おまき)」に使われるボール紙。

何重にも巻かれた何百m×何千本もの糸が絡み合わないよう、糸と糸の層を仕切るためのものです。


上はビームの芯。四角い穴に角材の軸が入る構造は、手機時代と同じものです。



経糸を自在に動かすジャカードのキモ、経糸を操る通糸(つうじ)が、織機の上のジャカード機構につながる部分を見上げたもの。
穴から2本の通糸が出ているのが分かりますか?
穴(=ジャカードの経糸駆動機構)が6000個、ひとつの穴から2本の糸が出ているので、合計12000本の経糸を動かしています。


←これは、レピア織機の緯糸をチェンジする装置。

2本の緯糸をこのフィンガーが選んでいるのが分かりますか?

奥から3番目、4番目のフィンガーが入れ替わる瞬間を連続写真で捉えました。


2本の糸を使って織るのを「2丁」で織るといい、
1本ずつ交互に織ることを「切り替え2丁」と言います。


帽子も槙田商店のロゴ…、ではないですね!



本社入り口にある謎のオブジェ。松ぼっくりで作られています。




槙田商店は、生地から製品まで作れる、日本でも希有な傘メーカーでもあります。
傘生地を裁断する見事な手さばき。いつ見ても格好良いです。




そして今回初めて紹介するのは、「陣笠」取り付け工程。


金色の富士山のような金具が「陣笠」です。
陣笠は、まず下の金具で頭の部分(富士山でいえば頂上)を軽く潰します。
これを「陣笠を殺す」(!)というそうです。



そしてこの小さな釘で傘のトップに固定します。
これを「陣笠を打つ」というそうです。


陣笠を打つ瞬間!


傘づくりの工程については、槙田商店HPの「槙田の傘が出来るまで 」をご覧ください。




そしてショールームで最新のオリジナル商品を見学。

外側と内側の生地を貼った、骨が見えない傘、「かわず張り」技法による

1866(イチハチロクロク)シリーズの新作、髑髏柄…。
怖かっこ良い!




坂口さんも1866には強い印象を持たれたようです。

これは海外に持っていかなくちゃ!と


アドバイスを受ける6代目の槙田洋一さん。
マスクの中で「自信が持てました!!」という表情です。





↑槙田商店のお宝、200年もののテキスタイル見本のアーカイブ。
高い物で1冊で自動車1台分だとか…!



そして下の2枚の写真は、

富士山テキスタイルプロジェクト、東京造形大学テキスタイルデザイン専攻学生さんとの
コラボ作品。
完成間際のところで未発表ですが、チラ見してみましょう。




これは、かなりイケてるのではないでしょうか…!





この作品をはじめ、各社の今年一年の成果は、
なんと2月4日から都内で展示・販売されます!

ぜひぜひ、お越しください!




「フジヤマテキスタイルプロジェクト2014」
2/4(火)-2/9(日) 11:00-19:00 (最終日17:00)
オープニングレセプション 2/4(火)18:00~

六本木 GALLERY le bain
http://www.le-bain.com/gallery/




…そして、坂口さんセミナーの後、宮下織物さんへも訪問しました。
残念ながら写真がありません…スミマセン。


宮下織物のテキスタイルデザイナー、宮下珠樹さんは
じつは坂口さんと20年来の知り合いだったことが判明。

宮下織物さんのテキスタイル見学のほか、

インド繊維事情など、様々な話題で盛り上がりました。


以上、レポートでした!


坂口さん、セミナー参加者のみなさま、見学先企業のみなさま、

ありがとうございました!


(五十嵐)

2014年1月24日金曜日

坂口昌章さんセミナー開催しました! /セミナー編

1月22日(水)、今年最初のセミナーを、坂口昌章さんを招いて開催しました!


『テキスタイル産地のブランディング』と題したこのセミナー、
長年ファッション業界で企画、コンサルティングの仕事をされてきた坂口さんから、
ヤマナシ産地の今後のブランディング、ビジョンを考えるうえで必要な、
・国内/海外のファッション業界の現状と今後の動き
・国内生地産地の現状と課題、
・産地のブランド価値を高めるための提言


という内容でお話しを伺いました。


絹人繊織物工業組合の勝俣明美理事長をはじめ、産地の中堅~若手が大勢集まってくれました。
ありがとうございます!




坂口昌章さんは、数々のアパレル企業での商品企画、ブランド開発を経て、
繊維産業のコンサルティングなど幅広い分野で活躍される方。

ご存知の方もきっと多いのではないでしょうか。
坂口さんのブログ
「j-fashion」もぜひご覧下さい。






では、坂口さんのお話しから、気になる話題をピックアップしてご紹介しましょう。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




いま中国製テキスタイルは安くはなく、少なくとも標準。
「あれは安物だ」と言っていてはいけない。

むしろ、日本のテキスタイルが、いまや超高級品の価格にあることを意識すべき。

作る側は中級品と思っているかもしれないが、もはや価格はそうではない。

高いものを売るには、たとえば高級ブランドの旗艦店のようにお金や手間をかけ、
知恵を絞っていかに高く売るか?を考えなくてはならない。


この20年、日本は安いものしか作ってこなかった。
しかしいま、安いものは売れなくなっている。
一番下の裾は、もはや売れなくなっている。
売り上げが取れているセクションは、数は出ないけれど単価が上がったところ。
それでも流通は安くないものは怖がって手を出せないでいる。
しかし消費者はもっと先へ行っていて、良いものを探しているし、良いものなら高くても買う。


若い人は、ファッションにお金を使わない。
バレンタインは自分のために買う。恋愛ばなれ。
クルマばなれ、ファッションばなれ、ビールばなれ。そのお金はどこへ行っているか?
若者は二次元にお金を使い、デジタル産業がビジネスを伸ばしている。


団塊世代のどまんなかが65歳で、リタイアした。
シニアが消費の中心になった。
65歳は平均2000万円の預貯金を持っているという。
消費スタイルは、月々のサラリーベースではなく、預貯金と年金。
背広は脱いだ彼らは、今度は趣味にお金を払うだろう。
その方々は、安物は買わない。いいものを買う。


これからの時代、店舗は本当にいるのか?という疑問がある。
ショールーミングという言葉がある。ショップを下見をして、ネットで買う。

「小売飛ばし」ともいうべき現象が起きている。
極論すれば、商品を並べるだけなら、ショップはいらなくなる。

物を並べるのではなく、イベント、ことが起きる場所になるだろう。ショップは、すべてカフェになったっていいんじゃないかとさえ思っている。


こうして生産が変わった。流通は変わった。客は変わった。
では、産地はどう変わるのか?




小さな企業で企画担当を置くのは大変、という。
しかし、企画を置かないでどうする?
「何を作るか」がものづくり。
メーカーというからには、企画があることが前提になるはずだ。


企業が新しいことをやろうとするとき、できもしないのに、社員の中でやるところが多い。
本来は、できないなら、できる人にやらせるのが、当たり前。

こうした入り口が間違っているのに、細かいところにはこだわる人や企業が多い。
もっと専門家(デザイナー、プロデューサー)にお金を払うクセを身に着けた方が良いだろう。


どっさり生地を吊るしたハンガーサンプルを見たって、プロでも分からないし、
イタリア人だって分からない。
ただ見て選んでくれ、と言われても、ゴチャゴチャで何も伝わらない。

あるイタリア人バイヤーは、それでも一生懸命見て生地を選び
「これが欲しい」と言ったところ、
「それはできない」と言われて頭にきた、という話がある。
曰く、「俺は一生懸命選んで、この生地に恋をした。
 それなのに引き裂かれたら、もう恨みしか残らない!」



イタリア人にとっては、外見が重要。
マフィアも本気の会議は最先端のアルマーニスーツで決める。
それドンが着ているのを見ると、部下たちも「今日は本気の会議だ」と伝わる。
ビジネスも同じで、商談に普段着で行ったら、本気とは思われず、相手にされないだろう。


世界のラグジュアリブランドには、
おおまかにオートクチュールから出てきたものと、
カバンメーカーから出てきたものの2つがある。
ルイヴィトンはカバン屋だけれど、服も作ることで、ブランドになっている。
カバン屋がかばんを作ると、いろいろなものを作って、横に広げてしまう。

それではイメージが拡散して、ブランドにならない。
しかし、そこで服を作ることで、それが絞られる。それでブランドになる。


ヤンマーが、佐藤可士和を総合プロデューサーとして雇った。
ヤンマーの次世代トラクターを奥山清行にデザインさせた。
ワークウェアを元ミヤケの滝沢直己に作らせた…

社員は、これらを一目見て、うちの会社は変わる、と一瞬でわかっただろう。
そして消費者にもそれが一瞬で伝わった。

山梨は、テキスタイル、ワイン、ジュエリーと、
高級イメージのある産業があり、和も洋もある。
また和風すぎないところが特徴。
西洋のものを積極的に受け入れた土地というイメージを活かすべき。

商品だけでブランドはできない。
きなりの絹の色、水晶の透明感、ワインの色。
どんな質感が良いのか。それを突き詰めていき、最初のイメージの核を作ること。
人に意見を聞くと、広がってしまう。むしろ絞って行くことが必要。


甲斐というのは良い名前。
やり甲斐、生き甲斐、甲斐甲斐しい、など、ポジティブな意味合いで使われる。
甲斐という言葉を活かしていく道を考えてみては?


日本では、仕事を手配する人と、下請け仕事をする人に分かれている。
一方、イタリアは各工程が<売り買い>で繋がっていて、

たとえば染め屋は生地を買い、それを染めて売る。それぞれの工程での責任の持ち方がちがう。
何が言いたいのか。
工程をただ連ねていくのではなく、クリエーションが重なって行く仕組みが欲しい。




まだまだ沢山あった坂口さんのお話しのごく一部をご紹介しました。
みなさん、いろいろな部分で心に響く言葉があったのではないでしょうか?


そして本編のセミナー終了後は、鈴木客員研究員が登場。
受講者との橋渡しをしながら、質疑応答へ。








千年単位のヤマナシ産地の歴史をうけつぐハタヤさんたち。

産地の存続をかけた勝負を日々すごしているだけあって

真剣な質問、意見があいつぎました。

これまで取り組んできた富士山テキスタイルプロジェクト、ヤマナシハタオリトラベルなどなどの

今後のステップアップをどう果たしていけばいいのか?
大きな刺激をうけたひとときでした。






そして後編、セミナー前後に坂口さんを産地をご案内した、工場見学編に続きます!



(五十嵐)


2014年1月17日金曜日

甲斐絹ミュージアムより #10  「白桜十字詩」

[1] E018 絵甲斐絹
西暦 1913 年[ 大正 2 年] 南都留郡

http://www.pref.yamanashi.jp/kaiki/kaiki_museum/kaiki-sample/e/e018.htm



桜の木に掘られた文字。

これは漢詩で、

「天莫空勾践 時非無范蠡」


と書かれています。


「天、勾践(こうせん)を空しうすること莫れ、時に范蠡(はんれい)の無きにしも非ず」




これは、 『太平記』にも記された、「白桜十字詩」と呼ばれる故事を表しています。


詩の中にある「勾践(こうせん)」「范蠡(はんれい)」というのは、
どちらも古代中国の人物で、
勾践は越の王、范蠡はその忠臣です。
范蠡は越王勾践を助けて呉を滅ぼすことに貢献したとされています。

ちなみに、勾践は苦境にあるとき、

部屋に肝を吊るして毎日それを舐め、その苦さを味わうことで
呉に対する復讐心を新たにしたといいます。
そう、四字熟語、「臥薪嘗胆」のモデルになった人でもあります。


さて、この漢詩を桜の木に堀ったのは、
児島高徳(こじまたかのり)という、鎌倉末~南北朝の武将でした。


後醍醐天皇に使えた児島高徳は、

隠岐に流される後醍醐天皇を奪還しようと行動しますが、
それが果たせず、断念したときに、

かたわらにあった桜の木に、夜の間にこの漢詩を堀ったとされています。


「天勾践(こうせん)を空しうすること莫れ、時に范蠡(はんれい)の無きにしも非ず」


この漢詩をとおして彼が訴えたのは、

「天は、後醍醐天皇を見捨てません。
 かならずや勾践(こうせん)にとっての范蠡(はんれい)のような者を使わして
  お助けするでしょう」


ということだったようです(だいぶ意訳が入っています)。


後醍醐天皇の奪還を防ごうとする兵士達は、

のちに桜の木に見つけたこの詩の内容が分からず、
ただ後醍醐天皇だけがその意味を知ることができたと言われています。


しかし、昔の日本人は、
こうした歴史故事に対する造詣が深いですね!





[2] E146 絵甲斐絹
西暦 1913 年[ 大正 2 年] 南都留郡
http://www.pref.yamanashi.jp/kaiki/kaiki_museum/kaiki-sample/e/e146.htm



この甲斐絹も、最初のものと同じく、 「白桜十字詩」を題材にしています。

・桜の木
・「天莫」の文字、(漢詩の最初の2文字)
・夜の風景、(
児島高徳が桜の木に漢詩を堀ったのは夜

この3つがあれば、この生地を見た人は
 
「白桜十字詩」の故事を思い浮かべることができたということですね。

 
少ない情報の中から、発信者の意図を読み取る観察力、
それを支えるバックボーンとしての文化的な知識。

この両方が求められる知的ゲームを
上手くこなすことが格好良く、
またそれをファッションに織りこんでいる日本の文化。
その層の厚さ、奥の深さを感じる甲斐絹だと思います。


毎回のように書きますが、
裏地にここまで文化的な意味を見出した人たちがいたこと、
ほんとに驚かされますね!


今回は、どちらも1913年。

101年前の甲斐絹でした。

次回もお楽しみに!



(五十嵐)


2014年1月16日木曜日

地元高校生への化・科学の体験学習講師

微量金属を利用した発色の研究をしているUです。

文科省のサイエンスパートナシッププログラム(平成25年度)
において地元の吉田高校の企画:富士山の地下水に含まれるバナジウムとこれを利用した新しい染色技術の体験学習が採択され、実験や講義の外部講師として参加してきました。

第1回:場所 吉田高校(富士吉田市)


1週間前の土曜日に、山梨県環境科学研究所の長谷川博士(薬学)による利き水講座を行いました。
バナジウム含有天然水を題材とし、人間の生活に欠かすことのできない身近なものを選択して生徒の興味・関心を引き出す工夫をしています。


 とりあえず、カンパイ。

ですよね。







残留塩素や総硬度等の成分分析結果と照らし合わせ、官能試験による予測との違い等について考察したようです。 


第2回午前:場所 シケンジョ(吉田高校のお隣)


 AM 9:00にシケンジョ正門前に集合し、さっそく写真撮影。

この写真は後に織物データになります。

 シケンジョ講堂で、バナジウムを発色補助剤に利用した黒系の染色技術及び染色物の色の測定・評価方法、さらに自動車の塗装評価や肌の解析等への応用について説明。

また、面白いかと思ったのでシケンジョ職員(山梨県職員の研究職)や全国の公設試等の機関のお仕事及び就職などについてもちょっと触れさせてもらいました。






カメラ目線にすぐ応えてくれる、ってふだんあまりないのでうれしい反応ですね。

 講義のあとは、いよいよ実験です。

予め用意してあった、各自の名前入りビーカに、微量バナジウム処理の有及び無のシルクを入れて、発色用染料となるポリフェノール液を3種類のうち好きなものを選んでもらいました。

なかには3種混ぜてみるとどうなるか?と考えてミックスした生徒もいました。






 約80℃くらいになってくると徐々に黒くなってきます。

発色する瞬間という現象をじかに見れるところが、染色機をただ見るのとは異なり面白いかもしれません。

放射熱を測るガンタイプの温度計。

ホットプレート上のビーカ内溶液等の温度をリアルタイムで見るためのもので、予想通り多くの生徒さんが興味をもって手にとっていました。

アイツの体温、高い!とか。

発色後のシルクサンプルをすすぎ、乾燥させます。

全員のサンプルが、ポリフェノールの調合具合や温度、水の量等によって黒系統でも染まり具合が異なる結果を得ることができるため、この後のグループ毎のバラツキや黒さの程度差に関する考察材料にもなることと思います。

 一度に30名近くは実験ができないので半分に分かれて、待機しているグループは素材燃焼当てクイズ等をしてもらいました。


「アッチー!」
「クッセー」←シルクやウール等タンパク質繊維は髪の毛を燃やした時の臭いがします。
「ライターどうやって使うのでしょうか?」
等、にぎやかに言葉が飛び交います。

シケンジョにも、「素材の鑑別」という依頼試験があります。
 
繊維素材の鑑別は通常まず、燃やした感触で大別します。

髪の毛が燃えるような臭いや燃え方:シルク、ウール
⇒顕微鏡で観察してスケール(ウロコ模様)があればウール

紙が燃える臭い:セルロース系繊維例えば綿、レーヨン、キュプラ
⇒側面に筋があればレーヨン、ツルツルならキュプラ、ツイスト形状なら綿

プラスチックのような臭いや燃え方 :化学繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート等)
⇒多くの種類の薬品を使って、それらへの溶解性から判別

といった試験です。

この道の熟練者では、一瞬燃えた残り香から、複数種の混ざった糸1本中に含まれる素材で2,3種類をだいたい嗅ぎわけるようなスゴイ人もシケンジョにいらっしゃいます。
 
極微量バナジウム(0.01%)のくっついていた方のシルクだけが発色しました。

ビーカには赤いマジックで

A:特濃ボッショクシ酸
B:ボッショクシ酸
C:ゴバイシ

A、B、AB混合、ABC混合などと自分のチョイスした染料タイプを記載してもらいました。


集団検診方式で、順番に各自のサンプルの染色後の色について数値化していきました。

日本電色工業㈱の測色計:SD-6000


これらの数値を使って、午後は高校理科室へ移動し、大学や社会人になってからほぼ必須のエクセルやパワーポイントの使い方、グラフの作製、班ごとの発表用スライド作りを行いました。


移動する前にシケンジョの工場見学。


シケンジョの面白テキスタイル、人気でした。

集合写真を撮影した直後にシケンジョ特許技術使用の
早業で高精細ジャカードデータを作製しておき・・・・・

 サプライズ!


 特徴は特有のデコボコ感と緻密さなので「触ってみたい」という意見がでてよかったです。


密度や素材、データ化の設計に関する説明をしているところ。

シケンジョでの実験はここまで。

第2回午後:場所 吉田高校理科室 へ移動しました。
最終日に、今回の講義と体験を通じてバナジウムに関すること等についてまとめ、班ごと発表し、サイエンティストとして討議し、修正を実施したものを提出して修了となります。



染色をテーマにした内容や。

 色の話。

利き水や水の話、についてまとめる班など、さまざまです。

自分たちの顔写真をとってナレーション風にしているスライドもあって面白かったです。
シケンジョの発表でも技として応用してみようと思いました。

講師のわたしたちはウロウロしながら、ソフト操作を教えたり、
絡んだり?!しながら、リラックスできました。

モニターでは表を作るノウハウをそっと示したりもしながら・・・・。




実験を通して後日、総まとめとして各班のプレゼンを実施。

シケンジョでの体験学習も生徒さんが独自に練り上げたオリジナルストーリーに仕立てられているはずです。

「君たちは来週はサイエンティストになるんだよ、サイエンティストはどんどんディスカッションで攻撃(口撃)していいんだ、でも遺恨は残さないのがサイエンティストだ」長谷川博士

まとめの発表では、生徒自身が考えた課題の解決方法等が出され、他者との考えを比較し互いにディスカッションすることになろうかと思います。

高校生のエネルギッシュな勢いも新鮮でしたし、サイエンスは楽しいものだと思えました。

もちろんシケンジョはサイエンスにはまるだけでなく、それらを活かして工業製品への利用や各種試験、支援に一役買っていくために頑張らねば、とも思いました。

アンケートを実施したところ
パワーポイントによる発表とディスカッションが好評でした。
まさに本プログラムの目的であった、各自が実験を通して考えた結果を伝えることに相当すると思います。また、燃焼試験による素材判定にも興味を持った生徒さんもいらっしゃいましたし、染色技術をもっとつっこんで学びたくなったという意見や、水に興味をもったという意見もいただきました。
あと、工場でのインパクトが大きかったようです。

(上垣)