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2014年7月31日木曜日

富士山(ふじやま)テキスタイルプロジェクト、6年目がスタート!

2009年にスタートした、東京造形大学テキスタイルデザイン専攻の学生たちと、
ヤマナシ産地のハタヤさんによる、コラボレーション事業「富士山(ふじやま)テキスタイルプロジェクト」

6年目となる取り組みが、今年も始まろうとしています!

8月2日(土)には、富士吉田商工会議所で、発会式&学生による提案プレゼンテーションが行われます。
今回の学生によるプレゼンテーションは、産地のより多くのみなさんに見ていただけるよう、一般公開で開催!
産地に新しい風を吹かせてくれている、コラボの様子をぜひ見にいらしてください。


プロジェクトのスタートに向けて、7月3日(木)に東京造形大学で行われた、学生との初顔合わせの様子をご紹介します。

東京造形大学を訪れたハタヤさんチーム一行、大学内のテキスタイル専攻の教室と工房へ。

織りを学ぶための小さな手織り織機に興味津々です。
ミニサイズですが、仕組みはハタヤさんの工場にある織機と同じ。
学生のみなさんは、普段はこのような手織りの織機を使って織りの仕組みを学び、作品づくりを行っています。

こちらの頼もしい背中は、シケンジョテキではおなじみ造形大の高須賀助手。今年も学生とハタヤさんの調整役として、強力にプロジェクトをサポートします。


スタート時からこのプロジェクトを率いる、テキスタイルデザイナーの鈴木マサル先生。
プロジェクトの監修、指導でお世話になっているだけでなく、
産地へ卒業生を続々と送り込んでくださっている、ヤマナシ産地の恩人です!
鈴木マサル先生の教え子たちがすでに3人、ハタヤさんに就職し、
ヤマナシ産地にフレッシュな新しいパワーを与えてくれています。


鈴木先生からのお話で、顔合わせ会がスタート。
最初は、ハタヤチームから、自己紹介と今年のプロジェクトに向けた意気込みを伝えます。




このプロジェクトをきっかけに、卒業生であるデザイナー井上綾さんとのコラボレーションで生まれた「kichijitsu」を紹介する光織物(有)の加々美さん。
手にしている「GOSHUINノート」は、全国的に取扱店舗が広がっているそうです。

ハタヤさんの自己紹介の後は、鈴木先生から学生の紹介、そしてマッチングの発表へ。
各ハタヤさんと学生の組合せは、鈴木先生に一任のため、お互いがこの日初めて知ることになります。
学生もハタヤさんもややドキドキ、緊張の面持ちです。
 
チーム発表と同時に、学生のみなさんは、それぞれ過去に作った作品を紹介。
興味を持っているテーマや、コラボで取り組んでみたいことを発表していきます。
プロジェクト2年目参加となる、大学院2年の吉本さん。
昨年にひきつづきストールを織る武藤さんとチームを組んで取り組みます。
 
同じく、2年目の参加となる、大学院2年の高橋さん。
昨年は、渡小織物の太郎さんとコラボで、富士山のある今の景色をモチーフにしたネクタイをつくりあげました。昨年の成果展示の様子はこちら
今回は新しく、光織物さんとタッグを組みます。

今年のプロジェクトには、2年目の参加となる大学院2年生が2名、

院1年生の5名と、学部3年生の2名は、初めての参加となります。

プロジェクト初参加の学生たちから、自己紹介。






アイデアいっぱいで、さまざまな実験的な素材や加工が使われた学生の作品。
ハタヤさんたちにとっても新鮮で刺激になるものがたくさんあります。



舟久保織物とコンビを組む坂本さん。「ほぐし織」の傘にまた興味深いデザインが生まれそうです。


プロジェクト2年目の先輩たちは、産地に通ってハタヤさんとも親しくなっているので、
笑顔いっぱいのリラックスした表情なのに対して、

1年目の新しい学生さんたちからは、とても緊張感が伝わってきたのが印象的でした。

この緊張感から、むくむくと新しいものが生まれそうな予感がします。

それぞれの紹介が終わった後は、各チームに分かれて、
プロジェクトで取り組むテーマについて打合せ。



富士山テキスタイルプロジェクトは、個々の学生さんが夏休みなどの期間に、
自分で産地に足を運び、ハタヤさんと1対1のやりとりをして進められていきます。

鈴木先生からは、
「自分で積極的にどんどんハタヤさんへ行って、やりたい事を伝えないと何も進まないよ!」
と激励の言葉が。

ハタヤさんの側には、学生の要望に対して
『何を言われても「できない」と言わない、がこのプロジェクトのルールになっています。

学生の情熱と、
それに応えるハタヤさんの知恵とパワーで、
過去のプロジェクトでは素敵な生地や製品がたくさん生まれてきました。







今年はどんな素敵なテキスタイルが生まれるか、わくわくする顔合わせ会でした。

最後に、プロジェクトのスタートから参加し、卒業生も就職して活躍している宮下織物・宮下珠樹さんから、

「今年はぜひ発会式での学生プレゼンを、他のハタヤさんや、地元のデザインに興味のある学生にも見てもらいたい!」 との提案。
鈴木マサル先生からも「では、一般公開にしましょう!」とのことで、
今週末、8月2日(土)の発会式では学生のプレゼンテーションをご覧いただけます!

富士山(ふじやま)テキスタイルプロジェクト2014発会式
○日 時:平成26年8月2日(土)午前10時~ 
                   学生によるプレゼンテーション 10時30分~

○場 所:富士吉田商工会議所 2階 講堂
(一般公開・入場無料)

○参加企業
(8社):舟久保織物/(有)田辺織物/宮下織物(株)/(株)オヤマダ
光織物(有)/(有)渡小織物/(株)槙田商店/ 武藤(株)

○参加学生:東京造形大学 テキスタイルデザイン専攻領域 学部生2名 大学院生7名
○プロジェクト監修:鈴木マサル(東京造形大学 准教授・テキスタイルデザイナー)


学生プレゼンテーションでは、これから各チームが開発に取り組むテキスタイルの、
もととなるアイデアやデザイン案が、学生から発表されます。

ここで披露される提案をもとに、これから数ヶ月間、ハタヤさんと学生が、
アイデアの実現に向けて取り組みながら、
学生たちはヤマナシ産地について、
織物の工場での生産について、現場でものづくりを学んでいくことになります。



これまでの、プロジェクトの様子は、facebookページでもご覧いただけます。

https://www.facebook.com/FujiyamaTextileProject
各チームのテキスタイルづくりの様子も、少しずつ進捗がアップされていく予定です!

今年も動き出した「富士山テキスタイルプロジェクト」に、ご注目ください!


(秋本)

2014年7月30日水曜日

オランダデザイントーク!

平成26年7月11日(金)、シケンジョでオランダデザイントーク、開催しました!

各地に多大な被害をもたらした台風8号の接近が心配されましたが、

当日明け方に関東を通過し、台風一過の青空の中での開催となりました。

オランダ王国大使館の報道文化担当、イネケ参事官をお招きしてのデザイントーク。
たくさんの方がデザイントークに参加しようと集まってくれました。




イネケさんのトークは全て英語。参加者のなかには英語を聞いて分かる方も多かったようですが、
オランダのデザイン大学、アイントホーヘンで学んでいて、
英語もオランダのデザイン事情もばっちりな家安客員研究員が、 
逐次通訳をしてくれました。



この日は遠方からの受講者がたくさん集まってくれました。
なんと東京から5名!甲府周辺から県庁以外でも3名!
8月のバスツアーでのゲストキュレーター、宮浦晋哉さん(右手前)も急きょかけつけてくれました。


さてここで、ちょっと長くなりますが、イネケさんのお話を抜粋して記載します。
スライドショーの画像はありませんが、リンクを貼っておくので、見てみてください。

 
■オランダデザインの背景

良いデザインというのは美しいだけでは十分ではなくて、
よく考えられていて、効率的でもあり、世界をよくするものでなければならない。

オランダデザインの背景の一つに、オランダ出身のモンドリアンがいる。
http://www.piet-mondrian.org/
写実的なイメージからスタートして、線を省略していって幾何学的な構成に至る。

ヘリット・リートフェルドのチェアもそうした一例。
http://www.gerrit-rietveld.nl/

 
■ドローグ・デザイン

オランダ語で「ドライ=乾いた」という意味を持つ。
挑発的で新しい、デザイナーを引っ張っていくムーブメントとして生まれた。

世の中で使われているもの、なじんでいるものについて、
これは何なのか、ということをもう一度ディスカッションをしようというもの。

ドローグデザインを代表するヘイス・バッカー
http://www.gijsbakker.com/home
https://www.youtube.com/watch?v=pe_BvCG044A


ヘラ・ヨンゲリウス引き出し
http://www.jongeriuslab.com/

普通イメージされるものとは全く違う、決まった形でないものを提示することで、もう一度よく知られたものを問い直す行為。
過剰な生産、過剰な浪費を批判する、布を積み重ねたソファ


moooiというデザインブランド

http://www.moooi.com/
通常はmooiで「美しい」を意味するが、oを3つ重ねることで「きれーい!」という表現になる。

マルセル・ワンダーのひもの結び目でできたKnotted chair(1996)。
http://www.marcelwanders.com/
http://www.marcelwanders.nl/products/seating/knotted-chair/

ローテクとハイテク、伝統と革新、硬さと柔らかさ、といった相反するものが一つになっている。
 
マーテン・バーススモークチェア
http://www.maartenbaas.com/
http://www.moooi.com/products/smoke-chair

スモークされた椅子。祖母が亡くなった時に残された沢山の家具からインスピレーションを受けたもの。

ヘラ・ヨンゲリウスの刺繍で縫い付けられた磁器の皿とテーブルクロス
http://www.jongeriuslab.com/work/embroidered-tablecloth
エドワード・ファン・フリート。
http://edwardvanvliet.com/
インドなどアジアにインスピレーションを得た作品。日本の鯉がパターンとして用いられている。ソファは大使館でも使われているもの。
http://www.homeportfolio.com/catalog/Product.jhtml?prodId=233846

 
■デザインと工芸のトレンド

伝統的なクラフトと、現代的なアプローチがどうミックスできるか、という方向に向かっている。
リバリュエーション、もう一度価値を与えなおすということ。速攻でお金になるものではなく、ユーザーと作品の長い関係。

アルド・バッカー。
http://www.aldobakker.com/
何度も来日して日本の影響を受けている。醤油さしのまったく新しいデザインhttp://www.dezeen.com/2009/03/23/tableware-by-aldo-bakker/
塩コショウを振る道具。普段見慣れたものとはまったく違う形の提案。


■リサイクリングとアップサイクリング
 
リサイクルはもう一度使えるようにすること、アップサイクリングは、廃材に新しい素材としての役割を与え、価値を生まれ変わらせる試み。

スタジオ・ボリス・ラプのHEATER SEAT
http://upcyclestudio.com.au/blog/dutch-design-the-upcycled-way-upcycledzine-interview/upcycle-studio-boris-lab-heater-seat/
室内のヒーティングシステムを変形したチェア「ヒーターシート」。
廃材で作ったチェスト。

ヘラ・ヨンゲリウスによる、オランダ航空のCAの使われなくなったユニフォームをアップサイクルして、ビジネスクラスのクッションカバーなどのファブリックにした例。リサイクルした後の方が高級品になっているところがオランダらしく面白い。
http://www.jongeriuslab.com/work/klm-world-business-class-cabin-interior1


■サステイナブル(持続可能な)デザイン


クリスティーン・マインデツマ
http://www.christienmeindertsma.com/
「PIG(豚)」という名の本を作った。
解体されたあとの豚の体のパーツたちが、どこに行ったのか?それを追いかけた本。
http://www.christienmeindertsma.com/index.php?/books/pig-05049/

 
■日本とオランダが出会うところ
日本とオランダは関係の深い国。歴史だけでなく、新しい出会いが起きている。
1616 / Arita Japanというプロジェクトがある。
http://1616arita.jp/
日本で最初に陶磁器が有田で作られたのが1616年。

ショルテン & バーイングスというデザイナーを招聘し、新しい「カラーポーセリン」というプロダクトを生み出した。薄い陶磁器を作る日本の技術、オランダのデザインが出会って生まれた。
http://www.scholtenbaijings.com/

 
■オランダのデザイン教育
アイントホーへン・デザイン・アカデミー
http://www.designacademy.nl/
家安香さんも学んだオランダのデザイン大学。

アーティストレジデンシー
http://www.transartists.org/airplatformnl/intro
オランダに滞在してアートを学ぶための制度も作られている。
マルセル・ワンダース
KLMビジネスクラス用のカトラリー
https://www.facebook.com/klmjapan/posts/221508864529185?stream_ref=5
サミラ・ボーによるテキスタイル。
http://www.samiraboon.com/home手を置くとそこが白くなるテキスタイル作品。(下の写真でイネケさんが手にしているもの)



さまざまなオランダデザインの側面が数々の事例と一緒に示されました。
あたりまえと思っているものを、もう一度問い直すオランダデザインの目線は、
とても刺激的に感じられました。



デザイントークの前後には、山梨のモノづくりの魅力をご紹介しようと、
織物と水晶彫刻の職人工房を訪問しました。


㈱槙田商店さん、宮下織物㈱さん、武藤㈱さんの生地を、槙田商店企画室をお借りして一緒にご紹介。






そしてこちらは武藤㈱さんの提携工場。

手足のように使いこなす愛機の前にたたずむ職人さん。




そして㈲テンジンさんへ。


…「ヒの虫」とは?

ヒ」とは、漢字で書くと「杼」のこと。産地ではふつう「シャットル」と呼ばれます。
杼=シャットル(shuttle)は、織機で緯糸を織り込むために左右に往復運動をするパーツです。
往復運動をすることから、シャトルバスや、バドミントンのシャトル、
地球と宇宙を往復する初めての宇宙船としてスペースシャトルの名前などのルーツでもあります。

「ヒの虫」とは、そのシャットルのなかにある小さなリング状の部品で、

糸の張りの強さを
調整するのに使われます。

下に写っているのが、シャットルです。






デザイントークのあと、午後は御坂峠を越えて甲府へ。

最初に訪れたのは詫間宝石彫刻



詫間康二さん。

「かっ込み技法」のようなワイルドな技と、
繊細で優美な仕上げのコントラストが格好良いです。




そして次は甲府の中心街にこの4月にオープンした「TO LABO」へ。
貴石彫刻オオヨリ大寄智彦さんのショップ兼工房です。

営業しているのは金・土・日の13:00~18:00。
職人に出会える貴重なスポットです。








TO LABOの大寄智彦さん。

この一日で、イネケさんたちオランダ王国大使館のお二人には
 織物産地とジュエリー産地、山梨の二つの面を体験していただくことができたと思います。

そしてその後は県庁に訪問してミーティング。
もしかしたら今後、山梨とオランダのあいだに別の形でのつながりができるきっかけになりそうな

機会になったと思います。



この日の夕方、甲府の空は素晴らしい夕焼けでした。

ちょっと多めにご覧いただきましょう!












(五十嵐)

2014年7月29日火曜日

(株)エルトップさんのヤマナシ産地見学ツアー

平成26年7月2日、株式会社エルトップ主催のヤマナシ産地の見学ツアーに参加させていただきました。

エルトップさんは、「LOISIR®」(ロアジール:豊かな時間、余暇)というブランド名で
裏地などの企画・生産・販売を行う東京の企業。

ヤマナシ産地のハタヤさんとの密接な関係づくりを長く続けてこられた、
産地になくてはならない取引先のひとつです。
「産地見学ツアー」と書きましたが、より正確にいうと
エルトップさんの取引先にあたるアパレルブランドの方々を対象とした、
産地で裏地の生産現場を見て学ぶ研修会です。

正式には「
12回 富士吉田産地 ベンベルグ先染織物研修会」。
なんと今回は12回目。
そう、エルトップさんでは、こうしたツアーをもう10回以上も開催されているのです。
産地のハタヤさんとの信頼関係が根付いているからこその、
また東京から日帰りできる地の利を生かした、この素晴らしい企画の模様をレポートします。



紺色のジャケットの方が、(株)エルトップの小林達司社長。
社長自らバスにのって産地をコンシェルジュします。

最初に訪れたのは
「撚糸屋」さん。



上の写真はキュプラの原糸です。

ちなみに、研修会のタイトルにあった「ベンベルグ」とは、旭化成が生産するキュプラ糸の商標です。


このキラキラと光るキュプラの糸は、化学繊維ではなく、れっきとした天然素材でできています。
原料はコットンからとれる
コットンリンターという短い繊維。
キュプラは、これを再生してフィラメント(長い繊維)に生まれ変わらせた、
再生繊維」に分類されます。

詳しくは、エルトップさんのHPでどうぞ。


撚糸屋さんが担当するのは、この原糸に撚りを掛ける工程です。










下の写真が、撚りをかけたあとのキュプラの糸です。


まっすぐな糸だった原糸とちがって、ねじられているので、表面の光沢はソフトになっています。
この撚糸によって、糸は染色や織りの加工、そして着用時の刺激にも耐えられるようになるのです。



ところで撚糸工場の様子、ワイン醸造用ブドウを作る垣根式ぶどう畑に似ていませんか?

下に両方の写真を並べてみました。





似てる! (カゴまで!)





撚りをかけた後は、撚りがもどらないよう、熱セットをかけます。


撚糸工程の説明に感銘を受けているこの女性は、なんと東京造形大学とヤマナシ産地のコラボ事業、FUJIYAMA TEXTILE PROJECTにこの3月まで参加していた藤原かえでさん。
4月に就職したアパレルメーカーの研修として偶然の再会でした。

学校を卒業し、プロジェクトを巣立ったあとも
産地と関わる仕事をしてくれるというのは、ありがたいことです!
 




撚糸工程のあとは、染色です。

織ってからではなく、糸の状態で染める「先染め」がヤマナシ産地の得意技。

糸や生地の染色、整理加工をする
(株)富士セイセンさんに向かいました。



糸の原料を実物で見せてもらうと、実感がわきます。

キュプラの原料のコットンリンターは、綿実をやさしく包んでいるデリケートな繊維だということが分かります。



糸をこのようにボビンに巻いて染める方法を「チーズ染色」と呼びます。
ナチュラルチーズのカタマリのような形状からそう呼ばれています。




なにげないところに可愛らしい模様()が見つかるのも工場の魅力です。



次に向かったのは、染めたタテ糸をビーム(おまき)に巻く「整経工程」。
織物にとって経糸の整経は命ともいえる大事な工程です。









何百本もの経糸が整然と束ねられ、巻き取られていきます。
何百本もあっても、数センチにしかなりません。

これを何十回も繰り返して、必要な生地の幅になるまで巻いていきます。
糸の張力をずっと一定に保つ緻密な作業です。









整経工程のあと、富士急行線の下吉田駅へ。
 

富士急行線は、昭和初期に大量の絹織物を横浜港へ運んだ、当時の日本のシルクロードです。

出荷する織物を保存した巨大な倉庫なども残っていて、この駅は織物にとても縁があります。

下の写真は当時の貨物列車を再現したもの。織物がちゃんと積んであります。



駅舎に隣接したカフェには、なんとエルトップさんの商品見本

裏地の生地見本が置いてある駅なんて、日本でここだけでしょう。




次はいよいよ織り工程。
織る前に必ず必要な、タテ糸をつなぐ「撚りつけ」工程を見せてくれました。






糸同士を結ぶだけでなく、張力が一定でなければならない、大変な作業です。


これは織機の上のジャカード装置。
紋紙を使った昔ながらの織機を大事にメンテナンスして使いこなしている様子が伝わります。











壁には裏地のポスター。

キャッチコピーにあるように、この日は本当に裏地が表舞台の一日です。




そして織った生地は整理加工へ。

ふたたび(株)富士セイセンさんへ向かいます。





富士セイセンさんでは、生地の汚れやシワを落としたり、織りキズのチェックなどの仕上げ加工を行うほか、
静電防止加工、撥水加工、 起毛加工、エンボス加工など、生地の機能や風合いの価値を高める様々な加工を行っています。

ヤマナシ産地は、裏地だけでなく、
傘地、カーテン地、婦人服地、座布団地など、本当にさまざまな生地を作っている産地。

整理加工の職人たちの技術は幅広く、さまざまな要求に対応できるのが強みです。



そして最後に、富士吉田市内にあるエルトップさんの「生産物流センター」へ。
無数の裏地の生地が出荷を待っています。





エルトップさんによる産地見学ツアーは、
様々な工程が近い距離に点在している産地だからこそできる、
とても一日とは思えない充実した研修会でした。

また、強く感じられたのは、
エルトップさんと産地の企業さんたちの信頼関係がとても頼もしく、
良い生地を生産して届けよう!という意志を共有していると感じられたことでした。

国産の生地を作る現場が、どんなに心を砕いて良い生地を作るための努力をしているかを
見ることができるこのツアー。素晴らしい企画でした。

小林社長をはじめエルトップの皆様、大変勉強になりました。ありがとうございました!


そしてエルトップさんに、このブログのことで事前に連絡してみたところ、
なんと今日(7月29日(火))も、この研修会の第13回が開催されているとのことでした。
ヤマナシ産地のPR着々と前進していますね!



そして、シケンジョでもこの夏、ヤマナシ産地へのバスツアーを開催します。


題して「ヤマナシハタオリ産地バスツアー27AUG2014」。

こちらは公募制ですので、産地企業の取引対象となり得る業界関係者(及び出版・報道関係の方)でしたら誰でも参加できます。

ただいま参加者募集中です!

詳しくはこちらからどうぞ!


http://shikenjyo.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html


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*日程 平成26827日(水) 

  9:00
 新宿駅西口集合、出発
10:45
 見学[(株)槙田商店、小野田染色]
12:30
 昼食(市内うどん屋)
13:30
 見学[渡邊織物、武藤(株)、(有)渡小織物]
15:15
 産地ミュージアムトーク(山梨県富士工業技術センター)
17:30
 情報交換会・夕食(「酒楽食彩さなだ」を予定)
19:15
 新宿へ  21:00新宿着

 ※
情報交換会は山梨県絹人繊織物工業組合主催により実施。

 ※
訪問先・訪問時間は都合により予告なく変更される可能性があります。




*実施主体
  主催:富士工業技術センター
  協力:山梨県絹人繊織物工業組合、
セコリギャラリー
 


*定員 15
  基本的に産地企業の取引対象となり得る業界関係者及び出版・報道関係者に

    限らせていただきます。

*参加費  4,000円程度  昼食・懇親会実費負担


*参加申込  
こちらのお申し込みフォームにアクセスし必要事項を入力してください。

  申し込み締め切り [ 814(木) ]

  応募多数の場合は抽選となります。815()に抽選結果・受付確認をご連絡します。

*お問い合わせ
  山梨県富士工業技術センター 繊維部技術支援科(五十嵐、秋本)
    TEL.0555-22-2100  FAX.0555-23-6671
   fj-seni@pref.yamanashi.lg.jp
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(五十嵐)