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2014年4月16日水曜日

「山梨の織りと編み」 in D&DEPARTMENT YAMANASHI 開催中!

『山梨の織りと編み』と題した企画展が、甲府駅の北口にある
D&DEPARTMENT YAMANASHI で開催されています!

…そうです、
ナガオカケンメイさんによる全国9店舗の「D&DEPARTMENT」の一つが、
この山梨にもあるんです。


(富士山が写っているのが分かりますでしょうか↑)

   2014年4月8日(火)~5月6日(火)11:00-19:00
   会場 D&DEPARTMENT YAMANASHI by Sannichi-YBS


ヤマナシ産地からは、㈲テンジン㈲羽田忠織物㈱槙田商店武藤㈱の4社が
「織り」として参加、
「編み」では、1年前にセミナーでお呼びしたevam evaの近藤ニット㈱が出展しています!


その様子をお届けしましょう!










そしてevam evaのコーナー。
 


企画展と隣接した常設店舗には、山梨を代表するブランドがならびます。
印傳屋、そしてSIWA。
いずれも昨年度、セミナーでお呼びした先輩ブランドたちです。



こちらは、「カガヤカ」。 

山日YBSグループによるプロジェクトで、山梨県の伝統工芸・地域産業資源を
新しいプロダクトに生まれ変わらせ、プロデュースしようという取り組みです。印伝とジュエリーのコラボによる「yoroi」など、注目のブランドをいくつも発信しています。


ヤマナシ産地からも、オーガニックコットンの前田源商店による
親子だるまハンカチやおくるみが並びます。


そして、ジュエリー産地
日本一の甲府からは、
これまでroomsやイト*イシギフトでご一緒したGlory Design



D&DEPARTMENTの店内奥はブックコーナーも。



信玄餅のアイス!




D&DEPARTMENT YAMANASHIが入っているのは、山日YBSグループの建物。
丹下健三設計、1966年竣工。甲府北口のランドマークです。



その近くにある「花子とアン」の舞台のような擬西洋建築は、
1875年(明治8年)建築の旧睦沢学校校舎です。



「山梨の織りと編み」は、5月6日(火)まで。
甲府駅から徒歩3分くらいなので、甲府に来た方は足をのばしてみてください。

そして4月19日には、ハタヤさんたちがラジオデビューします!

番組はナガオカケンメイのd&RADIO(YBSラジオ)。
4月19日(土)に公開収録され、

放送は5月第1週の月曜~金曜です。

山梨周辺の方は、YBSラジオをチェックお願いします!





(五十嵐)

2014年4月10日木曜日

『極小の宇宙』 ~伊勢型紙と甲斐絹~

先日、三重県立美術館の生田学芸員さんから、貴重な図録が届きました。

これは、2012年に行われた展示、
『極小の宇宙 手わざの粋-伊勢型紙の歴史と展開』の図録です。



(表紙の拡大図)



伊勢型紙と山梨、そして甲斐絹には、実は深いつながりがあります。

甲斐絹のうち、たて糸だけに絵を染めた「絵甲斐絹」には、伊勢型紙が使われていました。


生田さんが、シケンジョを訪れてくれたのは2年前のこと。
展示に向けた調査の一環として
甲斐絹とその型紙を見るために来られたのでした。


生田さんに伺って初めて知ったのは、
伊勢型紙で重要無形文化財保持者(人間国宝)として認められた
南部芳松(なんぶ・よしまつ:1894-1976)氏が、修業時代に
山梨県谷村で甲斐絹(かいき)型を学んだとされていることです。

山梨県には明治42年から44年までいたとのことなので、
明治27年生まれの南部芳松氏、15歳から17歳のあいだくらいにあたります。

シケンジョにある甲斐絹の中にも、南部芳松氏の手によるものがあるかもしれません。


そして、山梨県と伊勢型紙のつながりでは、
印伝も欠かすことはできません。

鹿革に施される型染は、伊勢型紙で行われていました。


『極小の宇宙 手わざの粋-伊勢型紙の歴史と展開』でも、
「印傳博物館」の収蔵品が大きなスペースを割いて展示されていたようです。









そしてなんと、シケンジョにセミナー講師として来ていただいた㈱印傳屋 上原勇七の
出澤忠利さんも、展示関連のシンポジウムに出演されていました! (最下段のパネラー写真


図録にはDVDもついていて、伊勢型紙の様々な技法を動画で見ることが出来ます。



勉強になります…


次の写真は、絵甲斐絹に使われた伊勢型紙です。
シケンジョに所蔵しているものです。

上のDVDによると紗張りは大正10年頃に考案された、とのことですので、
もちろん大正時代以降のものと思われます。










型紙は残っていますが、
この型紙を使った絵甲斐絹は見つかっていません。

もしも、羽織の裏地にこの柄を見つけた方は、
ぜひシケンジョまでご連絡ください!



今回は、伊勢型紙と、甲斐絹、印伝のつながりをご紹介しました。




(五十嵐)

2014年4月8日火曜日

「印傳屋のブランディング」セミナー開催しました!

㈱印傳屋 上原勇七の出澤忠利さんをお招きした特別セミナー、開催しました!



これまでさまざまな地場産業をとりあげたシリーズとして
ワイン(丸藤葡萄酒工業㈱)ニット(近藤ニット㈱)和紙(㈱大直)と開催してきた、
ヤマナシ発の先進ブランドに学ぶブランディングセミナー。

その第4弾として今回、㈱印傳屋 上原勇七出澤忠利さんを招いたセミナー、

「印傳屋のブランディング」を開催しました。 

出澤さんは「印傳屋 上原勇七」で長年ブランディングに携わってきたいわば”番頭役”。
印伝が日本を代表する地場産業に成長するまでの数十年間、
ブランド価値を高めるためのさまざまな取り組みをリードしてこられました。

このセミナーではそのエッセンスを織物産地へ向けて、
さまざまな角度から届けてくれています。
 





歴史をひもといてみると、「印傳屋 上原勇七」の創業はなんと1582年

4世紀以上も昔です。


ときは戦国時代、甲冑のパーツとして発達した革細工が「印伝」のルーツだそうです。
いわば軍需産業だった印伝が、江戸時代に入って巾着や煙草入れなど、
平和産業として進化していったといわれています。

ヤマナシ織物産地のルーツ「甲斐絹」、そのまたさらにルーツは

戦国時代の南蛮貿易でもたらされたと言われています。

そのルーツの時代は共通していますが、その頃から同一の事業者として
継続し続けているというのはすごいことですね!


セミナーの始め、出澤さんが示してくれたのは、
「ブランド」の語源となった
「焼印(英:brand ブランド)」を押された革。

「ブランドとは何か?」という話ではよくネタとして登場しますが、
現物を見たのは初めてです。

さすがは革細工のブランドですね。




印傳屋のブランディングとはいったい何なのか?

これに対する出澤さんの答えのひとつは、こうでした。

「ブランドとは、『信頼・信用』です。」

『信頼・信用』。

シンプルで、当然のようにも思える言葉です。

しかし、出澤さんから 聞くと深みがあります。


それを補足するエピソードのひとつには、こんな話がありました。

「印傳屋が買い物をするときには、会社のある町内で買います。
 同じ町内になければ同じ市内、それでもなければ同じ県内。
 ふだんから周囲の人のためになるように行動していると、
 なにかがあった時(たとえば悪い風評被害があったときなど)にも、その人たちは
 『いや、印傳屋はそんなことをする会社じゃない!』
 とバックアップしてくれるんです。」

買い物という、
一見、ブランドづくりと関係がないような行動でも、
それは「信頼・信用」を得るためと考えると、
まったく違う意味を帯びてきます。
すべての行為が、ブランディングにつながっているんですね。




そしてもうひとつ、毎年1回出している新聞広告、「きょうは、十五夜です」シリーズ


地元、山梨日日新聞へ9月に掲載されるこの広告は、もう25年間も続いています。


「この広告は、商品を買ってもらうための広告ではありません。
 すでに印傳屋の商品を持っているお客様に、
 持っていてよかったと思ってもらうための情報発信です。
 いま買って持ってくれている人が一番大事なんです。」


山梨の秋の風物詩とさえいえるくらい定着したこの広告は、
山梨広告賞も受賞しています。



昭和56年、㈱印傳屋 上原勇七は初の県外直営店を
東京、青山に出店します。
資本金に倍するようなこの大規模な投資に、まわりからは「これで印傳屋つぶれるよ」
との声さえ聞こえるほどのチャレンジでした。

 
「なぜ青山店を作ったのか。
 売れる自信があるから出した、儲かるから出した、のではありません。

 当時、甲府のお店に来ていただいているお客様のなかで

 最も多かったのが東京の方でした。
 そこで、お客様の利便性を考えて、
 お客様の近くでお店を出すことにしたのです。

 青山店ができて、お客様はたいへん安心してくれるんです。
 印伝は、5年、10年とお使いいただくもの。


商品に何かあったときに、『いつでもお持ちください』 と言える場所を作ることができた。
 この安心を、直営店でご提供することができたのです」


「名古屋御園店ができたとき、オープニングに来て下さったお客様が

 『これで息子に甲府まで運転をお願いしなくてもよくなった』

 と喜んでおっしゃられた。
 これでもう店を出した甲斐があった!と本当に思いました」


どこまでお客様の立場で考えられるか、
これを積み重ねることで、その商品、企業を愛してくれるお客様が
増えていくのでしょう。




また、㈱印傳屋 上原勇七は、「古楽」の分野では日本で唯一のコンクール、

国際古楽コンクール<山梨>の協賛を長年続けています。

このコンクールでは、かつてカウンター・テナーの米良美一さんが受賞し、
それがきっかけで宮崎駿監督の目に止まって「もののけ姫」に抜擢されたとか。

ただ1社の協賛にも関わらず、ほとんど表に名前を出さずに協賛し続けている姿勢からは
「陰徳を積む」という言葉(を昔マンガで知ったこと)を思い出します。

他にも㈱印傳屋 上原勇七は、中学生のスピーチコンテスト、囲碁大会などにも協賛をしつつ、
「表に出すのは(印傳屋に)あわない」 とのことで陰からのサポートを続けているそうです。

本当の「信頼、信用」というものを得るために必要なことは、会社も人も同じのようですね。


出澤さんは、「情報を発信し続けること」
ブランドにとってとても重要だ、と説明されました。

一方で、このような隠れた協賛活動をされているお話しを伺うと、
情報発信とは、ただ伝えたいメッセージをそのまま発信することだけではなくて、
「後ろ姿」を見せるような、無言の情報も含まれているのかもしれない、と思いました。



セミナー後半は、鈴木淳客員研究員がコーディネーターとなって
ハタヤさんたちからの質問、意見を出澤さんに答えていただきました。


様々な質疑が交わされるなかで印象的だったのは、
鈴木客員研究員がつねづね口にしてきた

「ブランドづくりは、その会社のファンを育てること」

という 哲学が、出澤さんのお話しの根底に流れていることでした。

「印伝」が「甲州土産」という認知が主であった時代から、
世界的なブランドに育つまでのあいだには
想像もつかないような幾つものステップがあり、チャレンジがあったことでしょう。

その長い道を乗り越えてきた背景にあったのは、
㈱印傳屋 上原勇七の商品を愛してくれる「お客様」のことをいかに大事に考えるか、
ということだったのではないでしょうか。

ブランディングという言葉もない時代から
出澤さんが歩んでこられたブランド作りの道が
言葉は違えども、
デザイナーズビレッジやヤマナシ産地で生まれたばかりのブランドに
鈴木客員研究員の教えてくれていたことにリンクしていた。
それがとても印象的なセミナーでした。





奇しくもこの日は、鈴木淳先生は、客員研究員としての3年間の最後の日となりました。

思い返すと、鈴木淳先生に来てもらうずっと前、
「ブランドを作る」とは、
商品を作ってブランド名を考え、ロゴをデザインすること、
という風にさえ思っていたこともありました。

しかし鈴木先生が台東デザイナーズビレッジで、
無名の小さなブランドを大きく育てるために
どんなに知恵を絞り、時間をかけて対話し、
困難やトラブルをクリエイターと一緒に克服し、
苦労を重ねてきているか。
クリエイターが商品やブランドの魅力を伝え、
自社のファンになってくれるお客様と出会い、
関係を深めていくためにどれだけの労力と時間が必要か…。

その姿を拝見して学ぶなかで、
とても簡単に「ブランド作りました」なんて言えないことを
実感することができました。


資金のない小さな事業者がブランドを育てていくためには、
日々の事業活動の一つ一つに
 「何が目的なのか」
 「どんな成果が出れば良しとするのか」
をシビアに見極めていく必要があります。

とかく建前の理屈が通っていれば良しとすることの多い社会のなかで、
目的と結果にこだわる鈴木先生の厳しい視線は
私たちシケンジョ職員にも大きな刺激になりました。




 
この数年間の教えがあったからこそ、
この日のセミナーの内容、
出澤さんの語ることばの背後に隠された大きな部分を
感じ取ることができるようになったのかもしれません。

 
台東デザイナーズビレッジの入居は3年が限度で、
入居者はその間に成長し、卒業していかなくてはなりません。


鈴木先生は、この3年間、ヤマナシ産地の成長期を見ることができたと
言ってくれました。
しかしヤマナシ産地、そしてシケンジョは3年間で
どれだけ成長することができたのか? 無事に卒業できたのか?

それは、今後の活動から見えてくるのだと思います。
ヤマナシ産地、そしてシケンジョにぜひ今後もご注目ください。


出澤さん、節目の時にふさわしいセミナーをありがとうございました。

そして鈴木淳先生、長い間ありがとうございました!






(五十嵐)

2014年4月4日金曜日

ヤマナシハタオリトラベル in 伊勢丹新宿店!

伊勢丹新宿店で開催されているイベント、「日本の“技と心”展 ものづくり×ものがたり」に
ヤマナシハタオリトラベルが出店しています!

会場は6階催事場。
会期は4月1日(火)~7日(月)の7日間。 残りわずかです!


HADACHU ORIMONO by  ㈲羽田忠織物

HADACHU ORIMONO by  ㈲羽田忠織物

OPIYO   by 武藤㈱

OPIYO   by 武藤㈱

TENJIN-FACTORY   by  ㈲テンジン
TENJIN-FACTORY   by ㈲テンジン
1866  by ㈱槙田商店
1866  by ㈱槙田商店
moZaiQue by ㈱槙田商店


舟久保織物 
東京造形大学とのコラボ事業から生まれた商品。3代の学生による商品が並んでいます。
それぞれ「ほぐし織」の傘をテーマにチャレンジしています。

舟久保織物 
富士桜工房  by 山崎織物㈱
富士桜工房  by 山崎織物㈱
ボタオシリーズ  by 宮下織物㈱
Bride ale、ボタオシリーズ  by 宮下織物㈱
寺ザブPCケース by NEGENTROPY with ㈲田辺織物
COCIOROSO by NEGENTROPY with ㈲田辺織物
寺ザブPCケース by NEGENTROPY with ㈲田辺織物

TORAW  by  ㈲渡小織物
新しいトラディショナルを織る、新ブランド「TORAW」、今春デビューです!
TORAW  by  ㈲渡小織物
TORAW  by  ㈲渡小織物
芯地がなく、全てシルクの表地を使って作られる極上ネクタイの縫製スタイル「セッテ・ピエゲ」で作られています。
TORAW  by  ㈲渡小織物

TORAW  by  ㈲渡小織物
白い緯糸、光沢の違いなどで3種類の「白」が使われて複雑な風合いを表現しています。

となりのブースは、(株)甲斐絹座です。
山梨産シルク100%を使い、戦前の甲斐絹柄を復刻した商品が並んでいます。




そしてひとつ下の5階フロアには、スタートしたばかりのブランド、
「TANSAN TEXTILE」のコーナーがあります。 


このブランドは、東京造形大学とヤマナシ産地のコラボ事業、
Fujiyama Textile Projectに参加したデザイナー井野若菜さんと、
同じく東京造形大学卒の水野智章さんによる炭酸デザイン室が発信する
テキスタイルブランドです。 





炭酸デザイン室の2人、この春からなんと山梨県の西桂町に二人で移住し、
山梨からこのブランドを育てていくことになったそうです!


東京造形大学時代の恩師、中野恵美子先生も売り場に駆けつけてくれていました。
TANSAN TEXTILEの会期は4月15日(火)まで。


ヤマナシハタオリトラベルの中にも東京造形大学の学生、卒業生が関わるブランドがいくつもあります。
東京造形大学出身のテキスタイルデザイナー達の活躍には目を見張るものがありますね。 


TANSAN TEXTILE、甲斐絹座、ヤマナシハタオリトラベルの10社。
伊勢丹新宿店には、いま合わせて12のヤマナシ産地ゆかりのブランドが一同に会しています。

今週末、ぜひ新宿へヤマナシ産地に出会いにお越しください!



(五十嵐)