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2012年2月28日火曜日

ファイルNo.10「大正四年 染織物標本 第一類」

シケンジョに眠るビンテージテキスタイルの紹介コーナー「シケンジョ書庫より」です。

大正四年に織られた着尺地を集めた織物見本帳です。
強撚糸を使った立体的な織物やもじり織りという特殊な織り方で織られた透けるようなストライプ生地まで、見ていてワクワクするような生地が沢山集められています。









(高須賀)




2012年2月24日金曜日

富士吉田発信、セレクトショップ「METRO」

この郡内織物産地の中に自ら企画、デザインをするアパレルブランドの直営ショップがあるのを知っていますか?

METROは富士吉田で生まれたショップでオリジナルブランド「airlogette」を中心に国内外から集められたセレクト商品を扱っています。店内はとてもお洒落な空気が漂い、まるでフランスのお店迷い込んでしまったかのように思ってしまいます。


また、(METRO=地下鉄)という店名は地下から発信していくという意味も含まれているらしく、生まれ育った富士吉田という地から発信していきたいとデザイナーの渡邉さんが話してくれました。富士吉田発信という事で富士吉田の生地を使った商品やネクタイのなどの小物もチラホラと置いてあります。
郡内の生地を使った商品を探してみるのも面白いかもしれませんね! 


入り口にはトリコロールな自転車。




店内にはひらけた作業スペースまであり、モノづくりを身近に感じることができます。








是非一度行ってみてください☆

(高須賀)




2012年2月21日火曜日

ファイルNo.9「昭和45年収集 収集見本帳 夜具地 No.7」

シケンジョに眠るビンテージテキスタイルの紹介コーナー「シケンジョ書庫より」です。

昭和45年に織られた夜具地を集めた織物見本帳です。
とにかく、昭和の夜具地が派手だったことが分かります。なんといってもこの赤い色!
昭和の時代は睡眠に対して 「絢爛豪華>安らぎ」 という考えだったのでしょうか?
高度経済成長期の日本のパワーを感じる生地見本帳です。

菊の柄

雲がモクモクの柄

カラフルな糸を使ったクジャク柄

これは何の柄でしょうか‥?

こちらは生地の裏側の画像です。
赤い鶴の柄を出すために使われた糸が、裏に飛び出しています。
裏の見え方もなかなか面白いですね。


(高須賀)




2012年2月20日月曜日

バナジウム媒染

植物成分(ポリフェノールの1種)とバナジウムで
従来植物染色ではなかった耐光性の高いブラックを実現しました!
白い糸は染めていない糸、色糸はバナジウムを使って発色させた糸を使用。
バナジウム濃度を高くしていくと緑から黒になります。
最大で2%のバナジウム溶液で媒染しました。

バナジウム媒染液(青)&染色前後のウール

<たて黒糸×よこ白糸の綾織> 
密度は11本/1cm。

<たて黒糸×よこ黒糸の綾織>


 従来、植物染料による黒では染料を20%、媒染金属を5~10%も必要とし、それでも濃黒は得られず光で色分解が起きてしまいます。
こちらは染料2%、バナジウム2%で仕上げたストールです。
約1週間分の太陽光に相当する光照射でも色変化がありませんでした。
1年など長いスパンでの耐光堅ろう度については今後調べていきたいと思います。
当産地には黒を基調とした「a un tonnbo:あうんとんぼ」というブランドがあります。これらはおもに化学染料の黒ですので、a un tonnboに植染バージョンが加えられるように今後も実験を続けていきたいと思います。
植染+バナジウム→富士山地域を連想できるようなPRを考えていきたいと思います。

 

~~~~~~~~~~おまけ~~~~~~~~~~


今回ストールに織りあげていただいた西桂町の「織元 東邦シルク」さんの甲斐犬「トラ」
見事なKAIブラックです。トラの黒さに近づくように、シケンによる条件検討を重ねたいと思います。
(上垣)





2012年2月18日土曜日

植物染色の研究

シケンジョでは植物染色の研究(耐光性の濃黒)もやっています。
昨今、天然嗜好から化学染料ではなく植物染料で染めた繊維製品に注目が集まっています。
植物染料は繊維に染着しにくいものが多く、その対策として鉄・銅・アルミ等の金属を微量に含む溶液に繊維を浸す媒染が行われています。
これにより染料の固着性能が向上し、染色した繊維は種々の発色を得ることができます。

しかしながら、これらは一般的に色の種類に乏しく(とりわけクロムが使えない現在は濃黒はほとんど存在しない!)高い堅ろう度が望めません(光で色が分解してしまう)。

そこでシケンジョでは
富士北麓のバナジウム水をイメージできる
「バナジウム」を新たな媒染剤とし、その有用性について以下のPointを意識して研究を行っています。

Point①植物染料では存在しない濃黒色をだす
Point②植物染料では存在しない耐光性をだす
Point③植物染料+バナジウム(富士山)のイメージ

そして今、シケンジョでは植物成分とバナジウムが濃黒に染色できることに着目し、試薬のほか実際に販売されている「五倍子」や「あせん」で染色テストを行っています。

植物染料(五倍子:ごばいし)
大きさは2~5cmくらい
植物にアブラムシが卵を植えつけたストレスによってできる「虫こぶ」で
ポリフェノールの一種「タンニン」を多量に含んでいます。

媒染に使うバナジウム化合物
バナジウムは青色のセラミック顔料「ターコイズブルー」の元です。
ターコイズはトルコ石を意味するそうです。
繊維に媒染すると緑色になります。

注:バナジウム化合物については入手先の説明を十分に読み、取り扱いに注意をしてください。



従来の媒染ではアルミ(上)や鉄(下)が用いられています。
鉄はやりすぎると錆のようなにおいが付着してしまいます。

毒性があり昔は「三度黒」など植物染料で濃黒をだすにはクロムを用いていました。


銅、排水基準があって染色にはあまり使われなくなってきています。
銀同様に抗菌性があるため果樹の消毒などに微量の銅が使われています。

(上垣)




2012年2月17日金曜日

ファイルNo.8「大正四年 染織物標本 第四類」

シケンジョに眠るビンテージテキスタイルの紹介コーナー「シケンジョ書庫より」です。

大正四年に染められた更紗生地を集めた生地見本帳です。
更紗とは、インド起源の木綿地の文様染め製品、また、その影響を受けてアジア、ヨーロッパなどで製作された類似の文様染め製品のことを言います。


この見本帳では大正時代の日本各地で染められた更紗生地が一堂に集められており、なかなか面白いです。
花柄や鳥の柄が数多くあるのですが、特にクジャクやニワトリやアヒルをあしらって染められたシュールなデザインの生地(上の写真)が個人的には気に入っております。

繊細なタッチで描かれえているバラ

冷めた目つきの鳥。

謎のセイブツ。
口の周りが怖いですね。。。

ヒイラギなどいろいろなモチーフが描かれた生地。
和製クリスマスでしょうか!?

何故か根っこまで描かれた花柄。
美しい柄だと思います。

謎のセイブツ!?いや、ニンゲン!?

きれいなブルーの花柄

こんな楽しくて愉快な生地もシケンジョ書庫には所蔵されています。興味のある方はシケンジョまで☆

(高須賀)




2012年2月15日水曜日

自然の恵みと織物産業

郡内織物産地でなぜ良い織物がつくることができるのか?

手織りの時代から続く長い織りの歴史や、近隣の地域で養蚕が盛んだったなどの要因もあるのですが、一番は富士山の有する広大な自然の恵みが一番大きいと思います。
まず、繊維産業に必要不可欠なのが水!!
この水がなければ糸を染めることもできないし、織った後の後加工もすることができません。とにかく織物を作る各工程には水がなくてはならないのです。
たかが水とお思いでしょうが、あなどるなかれ!水が違えば、同じ染料を使ったとしても、染め上がりが違ってくることもあります。郡内織物産地の発色の良さはこのミネラルウォーターの様にきれいな水に支えられているといっても、過言ではないのです。

郡内織物産地を支える水の写真はこちらから

また、織物文化が育つ要因の一つに「厳しい寒さ」もあると思います。
織物はもともと農業の副業として行われていました。
気候があったかい時に農作物を育て、寒くなり農閑期をむかえると、副業であった機織りをするのです。そのライフスタイルを半農半機といいます。
特に標高の高い郡内織物産地では寒さも厳しく、農閑期をむかえるのが早い為、おのずと機織りに向かう時間が多くなったのではないでしょうか。このことが、郡内織物産地の得意とする細番手、高密度の緻密な織物の技術を育てていったのではないかと思います。

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冬の郡内の町がどれだけ寒いか分かるような写真を撮ってきたのでご紹介します。

下の写真は富士吉田の町中にある明見湖(通称:ハス池)
夏には蓮の花が咲き乱れるこの池も、厳しい寒さですっかり凍結してしまいました。

ビックリ!!
人が乗れそうなくらい厚く、氷が張っていました!(注:乗ってはいけませんよ!)


(高須賀)




2012年2月14日火曜日

R&D.M.Co-2012年 春夏新作展示受注会を見てきました。

1月13日~15日にかけてLONGTEMPS(ロンタン)行われた、「R&D.M.Co-2012年 春夏新作展示受注会」に行ってきました。


山梨県富士吉田で生まれ育ったリネンブランド「R&D.M.Co」。
R&D.M.Coは富士吉田の機屋さんと地元デザイナーが密接に関わり生まれたブランドです。R&D.M.Coのファンも全国におり、地場産業を振興するシケンジョとしてもとても注目しているブランドの一つです。


店内は「R&D.M.Co」のファンでにぎわっていました。


こちらは、ちょっと変わったカットジャカードの生地。
ステキなストールやスカートとして売られていました。

R&D.M.Coの展示会を見てみて感じたことは、やはり布づくりから考えているからこそできる妥協のないモノづくりでした。デザイナーさんが産地に住むことで機屋さんと密接に繋がり、生まれる確かなカタチを見た気がしました。

デザイナーさんの思いだけでなく、機屋さんのこだわりや技術などすべてが混ざり合い産地からモノが生まれる。当り前なことかもしれないですが、これからの日本の産地あり方の一つのキーワードになるようなことではないかと思いました。


~~~~おまけ~~~~

予約をしてくれた人にプレゼントされる「CAFE’M」のおいしいクッキー。
ん~、おいしそうですね!!
(高須賀)