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2021年10月20日水曜日

近赤外線光吸収発熱保温機能の靴下とハロゲンヒーターの組み合わせ

 近赤外線であたたかくなる山梨県有特許技術を活用した新商品[1]が開発されています(写真1VANAWARM®ネックウォーマー)。従来の機能性製品はポリエステル等の化学繊維でできており、光消灯時に冷めやすい(熱伝導率が高い)課題がありました。この新商品は、国内初の特許技術(特許第6792108号)を用いた天然素材のウール(熱伝導率が低い)で、従来の機能性化学繊維でできなかった高い保温性(高い光発熱も)を持つことが最大の特徴です。


写真1

今回はこの機能を持った靴下(VANAWARM®ウール100%、フジチギラ(株))と市販ハロゲンヒーターの組み合わせで、室内でのあたたかさを評価した様子をお伝えします。

 写真2の靴下は色の濃い方がVANAWARM®ウール糸(カーキ色)で作られた製品です。色の薄い方は従来品で、どちらもウール100%の製品です。足元のヒーターは低出力のハロゲンヒーターですが、今回は効果の差を極端に捉えるために高出力のヒーターとサーモグラフィを使った様子(写真3,4)を紹介します。


写真2




写真3





写真4



ハロゲンヒーターはそれ自体でかなりあたたかくなりますが、従来品と比べて、距離が遠いときで4.2℃(写真3)、近い距離だと11.8℃(写真4)も表面温度が高くなり、写真4の状況では98.7にもなっています。実使用環境では、もっとヒーターの出力を下げることができますので省エネにもなるかもしれません。また、汗をかいたり雨で濡れた製品を速く乾かすことができそうです。

   はこれらの靴下へ、放射照度の強さを変えてハロゲンランプ光を照射した時の靴下表面温度のグラフです。天気との相関は、屋外で実際に何回か、曇り・晴れ・快晴時に放射照度を測定した目安となっています。近赤外線光があれば、常に従来ウールよりもあたたかくなることがわかります。ポリエステル等の化学繊維での機能性商品は、これまで多く出ています。これらは高い光発熱を示します。今回の新商品(ウール100%)はこれらの化学繊維機能性商品の中でも最も効果の高いクラスと同等の光発熱機能を持っていることがわかりました。


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さらに、ウール100%であるため素材自体の熱伝導率が低く、化学繊維にはない高い保温性を持っています。これからより寒いシーズンに入るので、屋外スポーツ観戦やキャンプ等のアウトドア用途の他、屋内においても従来ヒーターとの併用による活用等が見込まれます。

現状、屋内向け照明装置として、車用やインテリア用の市販赤色LED照明等では明らかにあたたかさが実感できるほどの十分な光強度は得られておらず、今回用いたハロゲンヒーターや美容系赤外線ランプ等の強い光強度の製品との併用に限定されていますが、今後も高効率化や、専用の照明装置の検討等を進め、活用分野を広げていく予定です。

[1] VANAWARM®、ウール100%9色、フジチギラ(株)

繊維技術部 製品開発科 上垣