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2016年12月27日火曜日

ハタオリマチフェスティバル

『ヤマナシハタオリ産地バスツアー”ハタオリマチ”に行こう』  レポートの続編として、

平成28年11月12日(土)、13日(日)に開催された

『ハタオリマチフェスティバル』 の様子をご紹介します。


 


ハタオリマチフェスティバル(通称:ハタフェス)は、

「 ハタオリ街に息づく声がきこえる 」

というキャッチコピーのもと、織物の街として歴史を重ねてきた富士吉田を舞台に、

富士吉田市が主催となって今年初めて開催するお祭りです。



イベントの詳しい情報は、
『ハタオリマチフェスティバル』 公式サイト をご覧ください。


また、工場見学を通じて日本のものづくりを伝えるWEBサイト、『しゃかいか!』 取材班による

レポートもおススメです。前・後編からなる、読みごたえたっぷりの力作です。



織物や骨董、雑貨、フードなど、色々な要素のあるハタフェスのうち、

特に織物に特化している、
「ハタオリ工場祭」エリアからご紹介しましょう。



ハタオリ工場祭の会場は、古い繁華街の奥にあります。

表通りからそこまでは … この細い道をたどってゆくのです。

 



別の場所にあった「こちらからどうぞ」、という看板にも、建物の隙間を縫うようなルートの案内が…。


たどり着いた先が、『ハタオリ工場祭』会場。



「ハタオリ工場祭」の会場は、新世界乾杯通りという、飲み屋街の一角にあります。

かつて隆盛を誇ったエリアがいま、
リノベーションによって生まれ変わり、

ふたたび沢山の人が集まるようになり始めたエリアです。
レトロな建物がリノベーションされて、「一周回って新しい」 魅力に溢れています。


※「一周回って」 … 
過去に流行っていたことに時間を経て回帰し、再評価するときなどに使われる最近の表現です。



ここは、ヤマナシ産地のファクトリーブランドが並ぶコーナー。



シケンジョ発行のフリーペーパー『LOOM』 も飾ってくれていました。





光織物(有)のブランドkichijitsuとスターウォーズのコラボ商品を手に取る来場者。






これはジャカード織物製造に使う紋紙を利用したアート作品。




kichijitsu の生地を織るときに出る「捨て耳」を緯糸に、弦を経糸に使って織られたギター。





「流しの洋裁人」という名前で活動する職人の原田さん。産地の生地でオーダーメードを受付中。


発注している背の高い方は、八王子産地の奥田染工場から来られた奥田さん。

かつてシケンジョの企画で八王子産地を訪問したとき、奥田さんの工場にも伺いました。

奥田さんは、そのときの
シケンジョテキ のレポートにも登場していますのでよろしければご覧ください


ハタオリ工場祭には、そのほか全国からたくさんの織物ブランドが出店しています。

ヤンマ産業


ao(あお)


tamaki niime


tamaki niime


POTTENBURN TOHKII
POTTENBURN TOHKII(ポッテンバーントーキ)という不思議な名前のブランド。

ポッテンさんは、平成23~25年にシケンジョ客員研究員を務めていただいた鈴木 淳さんが

村長(インキュベーションマネージャー)をしている台東デザイナーズビレッジの卒業生で、

過去にバスツアーに参加してくれたこともあります。



La+h


rumbe dobbyさんは、富士吉田発のブランド。

文献資料をもとに複雑きわまる織機を自作し、手織りで作品を作っています。


tukuwa textile: さんは、今年山梨に移住してきたテキスタイルデザイナー。

この夏にシケンジョで開催した研修にも参加してくれました。


この他にも県内12ブランド、全国から11ブランドが出店しています。

その一覧は、ハタオリマチフェスティバル公式サイトをご覧ください。




ハタフェスの『ハタオリ工場祭』エリアを後にして、次の訪問したのは

小室浅間神社の境内で開催されている 『吉田のまちの道具市』


古道具、雑貨、文具、似顔絵、フードなど、様々なコーナーが大勢のお客さんでにぎわっていました。



産地の生地を使ったロゼッタ(勲章のような飾り)のワークショップが賑わっていました。

運営しているのは、産地企業ではたらく、県外からやてきた「ハタ女(じょ)
」たち。















上の写真のカメラをぶらさげた男性は、BEEK DESIGNの土屋誠さん。

シケンジョで発行したフリーペーパー「LOOM」の企画・取材・編集・デザインを担当した方で、

ハタフェスでもフライヤー、ホームページなどのビジュアル分野を手掛けています。


その奥で横を向いているのは、バスツアーで展示会場をお借りしている

ゲストハウスsaruyaの赤松さん。 『吉田のまちの道具市』の責任者です。








初日12日(土)夜には、市内にある角田医院の古いお屋敷の大広間を会場に、

『音楽会』が開催されました。 演奏は、田辺玄さんと森ゆにさん。


今年3月9日に甲府で開催したLOOM発行記念イベント『ハタオリのうたがきこえる』に出演し、

ハタオリの音が響く街の歴史とそこに住む人のくらしを歌ったオリジナル曲 『LOOM』 

披露してくれた
お二人です。

この夜も素晴らしい歌と演奏を聴かせてくれました。






富士吉田は、昭和から平成にいたる長いあいだ、「知る人ぞ知る」下請け産地でしたが、
ここが織物の街だということは、まだまだあまり知られていません。


この富士吉田の街で開かれた、「ハタオリ」をキーワードにしたお祭りに、

市内はもちろん、
市外、県外からもたくさんの人が訪れて、

古い路地を巡りながら
休日を楽しんでいる風景が見られたのは、

とてもうれしいことでした。


これからもこうしたお祭りが回を重ねて、

たくさんの人がここで楽しい時間をすごしていくことで、

富士吉田をはじめとしてヤマナシ産地が、

たくさんの人にとって大切な場所になってくれればいいなと思います。




(五十嵐)

2016年12月26日月曜日

『ヤマナシハタオリ産地バスツアー”ハタオリマチ”に行こう』 開催しました!


平成28年11月12日(土)、

『 ヤマナシハタオリ産地バスツアー”ハタオリマチ”に行こう 』 を開催しました!

18回目にして、はじめて土曜日に開催することとしました。

なんで土曜日に?


12日(土)、13日(日)に今年初めて富士吉田市で開催されるイベント、

「ハタオリマチフェスティバル」への訪問をツアーに組み込んで、

ハタオリ産地をとりまくマチごと、産地を見てもらおうという狙いがあったからです!



新宿を出て約2時間半。いつもより少し時間がかかりましたが、

最初の訪問先、宮下織物(株)に到着です。


のんびりした田舎の風景が広がります。 どこに工場があるのでしょうか?

もしかして、この建物?


そうです。 一見、民家のようなこの建物が、織物工場です。


中に入ると、建物の外見とは対照的な、キラキラした生地が織られています!


ゴールドを基調に、七色にきらめくラメ糸の輝き。



なんともいえない華やかさ!



ラメやカラフルな色がない生地も、なかなかゴージャス…。


そんなキラキラした華やかな生地を織っているのが、上の写真手前の女性、

乃一仁美(のいちひとみ)さん。


田舎の風景の中、小さな工場で、キラッキラ✨に輝く生地を織る、

女性のハタオリ職人、「ハタ女(じょ)さん。

参加者の皆さんの想像を超えていた光景なのでは?!


宮下織物(株)では、ウェディングドレス、パーティドレスや舞台衣装など、

晴れの舞台に立つ人のための生地を得意としています。



華やかでクリエイティブな生地は宮下織物(株)のオリジナルデザインは、

ヨーロッパのラグジュアリーブランドからも
好評を得ています。

イタリアの生地展示会「ミラノウニカ」に出展したサンプル生地の数々も、

工場内で手に取れるように、準備しておいてくれました。







生地を「ガン見(み)」する参加者たち。


スパナとメガネレンチがリズミカルに並ぶ窓辺。

工場のあちこちで目にするこうした何気ない風景から、

職人さんが日々、手をかけて生地を織っていることが伝わってきます。


工場を出ると、目の前に、美しい紅葉の山の風景が広がります。



次は昼食、恒例のご当地グルメ「吉田のうどん」。


ハタオリ工場のまかない食として根付いたといわれる「吉田のうどん」

ハタオリ産地バスツアーの定番です。


午後イチの訪問先は、創業150年の老舗、(株)槙田商店

6代目の後継者、槇田洋一さんがガイドです。


(株)槙田商店は、傘地と服地に特化し、それぞれの生地素材が日本を代表する

ブランドやメーカーの生地に使われています。

宮下織物(株)と同様、自社にオリジナルデザインを作るクリエイティブチームがいて、

イタリアの展示会「ミラノウニカ」にも出展、自社企画のテキスタイルが高い評価を得ています。



生地から最終製品の傘までを仕上げる織物工場は、国内ではほとんどありません。


生地の裁断から縫製は、ほぼ全て手作業で行われます。

これほど手間のかかるものだと知って、参加者の皆さんも驚いていました。



出来上がった傘。


経糸と緯糸の微妙な色の違いで浮かび上がる花柄は、

先染めジャカード織ならではの美しさです。



こちらの傘は野菜モチーフの『菜(さい)』シリーズのひとつ、「トウモロコシ」。

槙田商店のもう一つの得意分野、服地の技術が生かされた、伸縮性のある生地が使われています。



100年以上前にヨーロッパで織られた生地見本帳も見せてもらいました。



そのつぎの工場までは、徒歩で移動します。

本日3軒目の武藤(株)に到着。

若い後継者、武藤圭亮
(けいすけ)さんが案内役です。


武藤(株)では、主に天然繊維のストールを製造。

糸の品質にこだわり、最高の糸で繊細な肌触りを実現しています。

世界の最高峰の
生地見本市といわれる『プルミエールビジョン』に、

山梨の産地から初めて出展した実力派の機屋さんです。




武藤(株)では、見本整経機
(写真下)や整理加工用のワッシャー、タンブラーなどの設備(写真下の2枚目)を整備し、

小ロット・短納期で高品質なオリジナル生地をつくることのできる体制をととのえています。




写真上は、仕上げとチェックをする検反ルーム。

ここでも人の手が欠かせません。


西日のあたる山の風景を見ながら一行はバスに乗り、西桂からもういちど富士吉田へ。


三つ峠駅前にある、街を見下ろしながらバスを見送るエンジェル像。



今回のバスツアーのタイトル「”ハタオリマチ”に行こう」の元にもなったイベント、

『ハタオリ工場祭』 の会場に到着しました。




ここは織物産業がもっとも盛んだった昭和二、三十年代を中心に、飲み屋街として隆盛を誇ったエリア。

斜陽の時代をへて、リノベーションによって生まれ変わろうとしている一帯の建物が

『ハタオリ工場祭』の会場です。

ハタフェスについては、続編で詳しくお伝えしようと思います。



バスツアーの一行は、ハタフェス会場に隣接して開催する

「ヤマナシ産地テキスタイルエキシビション」の会場へ。


会場は、空き店舗を改装して昨年生まれたコミュニティスペース「リトルロボット」と、

その隣で2016年末にオープン予定のアンティークショップ「明見入口商店」


『ヤマナシ産地テキスタイルエキシビション』 は、

このバスツアーのために
シケンジョ主催で開催する、織物展示会です。

今回はハタフェス参加者にも公開する時間を設け、

バスツアー参加者以外の方にも見てもらうよう企画しました。


集まってくれた出展企業は、次のとおりです。

(株)槙田商店 / 洋傘地、傘、婦人服地
武藤(株) / ストール

(株)アルル / カーテン、インテリア

(株)エルトップ / 先染・後染 表地・裏地 の
企画、生産、販売、及び輸出

(株)川栄 / 服地及びネクタイ

光織物(有) / 掛け軸生地・金襴

(株)前田源商店 / 服地、寝装、寝具、インテリア

山梨県織物整理(株) / 各種織物整理加工 
ニードルパンチ加工

渡邊織物 / 紳士服裏地など



バスツアー参加者、ハタヤさんの自己紹介からスタート。





生地を介して、熱心なやりとりがあちこちで繰り広げられていました。







最後は全員で記念写真。


2人が手にしているのは、バスツアー参加者へ『ハタフェス』主催者からのサプライズプレゼント。

ネクタイに使われるシルクの生地でくるまれた、富士山をモチーフにした和菓子でした。


今回のバスツアーに参加してくれた企業、ブランドは、以下のとおりです。

ご参加、ありがとうございました!
アッシュ・ペー・フランス(株)

阿部家具工房(abe椅子店) 

(株)カイタックインターナショナル

Crealy


Kristoffer Kai


ダイセン(株)

(株)チェルシーインターナショナル  

dot・tailor

ハトバカルチュラルメゾンフォーアーツ(株) 
http://storestore.net/ 

文化出版 装苑編集部

ベビーウェアリング東京城北  

(株)リッドテーラー

(株)ルミネ


このうちお二人は、一泊して夜の富士吉田を満喫し、

翌日もハタフェスを見学されました。



次回の続編では、今回少ししかご紹介できなかった『ハタフェス』の様子を中心にお届けします!



(五十嵐)