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2014年12月3日水曜日

”秩父銘仙”工房見学ツアーへ参加してきました!

平成26年11月21日(金)、秩父市雇用創造協議会主催の”秩父銘仙”工房見学ツアーに参加してきました。

昨年の「ヤマナシハタオリトラベル 2013夏の産地見学バスツアー」の参加メンバーであり、
デザビレ卒業生でもあるフリーライターの菅村大全さんからのお誘いがあったものです。

菅村さんは、主催者である秩父市雇用創造協議会が秩父産地のツアーを企画する際に
コーディネーターとしてかかわり、シケンジョ主催のバスツアーを参考にしてくださったとのこと。

こんどは逆に、ヤマナシ産地のバスツアーの参考にさせてもらおうと参加させていただきました。

ではそのツアーの様子をお伝えします。

最初の訪問先は、伝統の秩父銘仙を織る最大手、逸見(へんみ)織物



看板には面会謝絶とありましたが、もちろんそんなことはありません。




和服の反物を織るための幅の小さな織機が並ぶ工場。

ヤマナシ産地の織機とくらべて、幅も奥行きもコンパクトで、なんとも可愛らしく見えます。

織っているのは秩父銘仙を代表する、経糸ほぐし捺染のシルクの平織です。


そもそも銘仙とは、女性のおしゃれな普段着の生地として使われた平織の絹織物で、

その鮮やかで大胆なデザインから、明治中期~昭和初期に気軽なおしゃれ着として一世を風靡したといいます。


秩父に足利、伊勢崎、桐生、八王子を合わせて銘仙の五大産地とも言われます。

時期的に、ヤマナシ産地の甲斐絹の全盛期と重なっているのが興味深いです。 その頃の日本のファッション文化は、よほど華やかだったのでしょう。

銘仙の代表的な技術のひとつに経糸ほぐし捺染がありますが、
ほぐしと言えば、ヤマナシ産地では、ほぐし織の洋傘が名産品です。
山梨のほぐし織のルーツは、秩父を通って伝わったとも言われています。


いまでも山梨で織られている座布団には「銘仙判」というサイズがあり、
山梨産地と銘仙のつながりは古くからあるようです。














逸見織物さんの工場では、昔ながらの秩父銘仙の良さや伝統を受け継ぎ、
次代へ伝えていこうという気持ちがひしひしと伝わってきました。

見せていただいたほぐし織りの柄は、艶やかでありつつ、奥行き感があり、とても美しかったです。




そして次に向かった『ふるさと館』の1階は、「逸見(へんみ)織物出張所」という名のショップがありました。




イラストにある、逸見織物の恭子さんがデザインしたグッズなどが販売されています。




こちらは絹糸をつかった万華鏡。
色とりどりに染められた絹糸の切れ端が、万華鏡のなかで舞っているのがきれいです。

万華鏡の眺めをコリメート式撮影で撮ってみました。



上の銘仙を着たバービー人形は、スウェーデンで秩父銘仙の展覧会を開催した際の
展示品として作ったもので、スウェーデンの方々も大喜びだったそうです。 





そして街並み散策へ。



この道、国道140号線は、「雁坂峠を通って甲府にまで続く道」、と伺いました。

意外に思われる方も多いと思いますが、秩父市は山梨県と隣接しています。

かつて養蚕が盛んだったころ、人々は繭を担いでこの道を山梨県の塩山にある
取引所まで運んでいったそうです。





古い街並みを抜けて、秩父神社へ。




秩父は、アニメ作品『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の舞台として有名です。
ファンの方々が「聖地巡礼」として訪れた秩父神社にイラスト入りの絵馬を残しています。



有名な「秩父夜祭」を紹介する「秩父まつり会館」の山車(だし)。


そして次は『ちちぶ銘仙館』へ。
なんとこの建物は、もとは埼玉県の「シケンジョ」だったそうです!



昭和5年に作られたという歴史的な建物が、秩父銘仙を紹介する施設になっています。





ここで案内をしてくれたのが、「地域おこし協力隊」の佐俣菜津子さん。
秩父に住んでまだ半年とのことですが、詳しく銘仙のことを教えてくれました。







ちちぶ銘仙館には、秩父銘仙に興味のある方が3年間かけて秩父銘仙の技術を学ぶ

研修制度があるそうです。下の写真は、ちちぶ銘仙館で学ぶその研修生たちの織機。




歴史的な秩父織物も展示されています。






そして次に訪問したのは、新啓(あらけい)織物



こちらも逸見織物同様、伝統の秩父銘仙を織っています。




新啓織物さんでは、織る前の捺染工程、織ったあとの蒸しの工程を
自社でできるように設備投資をしているそうです。

分業化された各工程を担う職人が、しだいに後継者のないまま引退していく流れは

日本のどこの産地も変わりません。

ものづくりを受け継いでいこうとする人が、より多くの生産工程を
背負っていかなくてはならない時代になっていくことを感じました。

こうした取り組みをサポートすることが、地場産業支援の大きな力になることは間違いありません。





新啓織物さんが作っている銘仙のバッグ。
シンプルな「〇」の柄が重なり合い、ほぐしならではの奥行きのある風合いを醸し出しています。




そして次は碓井捺染



職人が二人組になって、シルクスクリーンをつかった手捺染をしていました。




碓井捺染のオリジナルグッズを紹介する社長さん。

織物の「玉虫効果」を説明するのに、本物の玉虫が用意されていました!




そして秩父地場産業センターを経由し、
最後は交流会へ。

おしゃれなカフェバーでの交流会は、訪問先以外のハタヤさんも集まり、
秩父産地のチームワークや温かさを実感するものでした。





初めて、参加者として産地見学ツアーを体験し、
ツアーの満足度を高め「来て良かった」と思えるポイントとして重要だと思ったのは、
見学する工場施設や技術もさることながら、

受け入れてくれる方々の仲の良さ、チームワークといった
人間性に関わる部分がとても大きいんだな、ということでした。

「産地」というのは、設備や機械ではなく、
ものを作る人の集まりだということを、あらためて実感することができました。


呼びかけてくれた菅村大全さん、
そして秩父市雇用創造協議で主担当をされた田口めぐみさんをはじめ、この機会を下さった関係者の皆様に心より感謝を申し上げます。

ありがとうございました!



そして明後日12月5日(金)には
いよいよ今年最後の「ヤマナシハタオリ産地バスツアー5DEC2014」です!



(五十嵐)