ページ

2013年5月10日金曜日

ベビー・子供服等の安全性確認試験~極微量ホルムアルデヒド定量試験~

シケンジョでは¥2,490/1サンプル(生地等)で繊維のホルムアルデヒド定量試験の依頼をお受けしています。その試験の様子を撮影しましたのでご紹介いたします。

「ホルムアルデヒド」というとシックハウス症候群の言葉が連想され、何か有害で特別なものというイメージがわくかと思います。
しかしながら、これは多くの産業に使われており、身近なものにも微量ではありますが含まれているものが種々あります。

繊維は身にまとうものも多く、安全を確保したいところです。

***************************もう少し詳しい内容について******************************
厚生労働省の有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(厚生省令第34号)の、
ホルムアルデヒドに関する繊維製品の規制基準では

(A法)生後24ケ月以内のベビー下着、寝具等は →吸光度の差(A-A0)が 0.05以下(換算すると、約15μg/g以下相当
 (B法)一般の下着等では → 75μg/g以内
と定められています。

ホルムアルデヒドの試験法 (JIS L 1041)  はA法とB法があり
 (A法)ベビー用(生後24ケ月以内の乳幼児)は、「吸光度=A-A0」で表す。
 (B法)一般の下着等(他に寝衣、手袋、靴下)は、生地 1g中のホルムアルデヒドの溶出量を、単位「μg/g」で表します。

A法は生地等を2.5gを用います。ベビー用等のため、基本的に「検出しない」ことを確認する試験であると考えることができます。
*********************************************************************************
それでは、試験について流れに従ってご紹介いたします。

 これは、A法のため2.50gの生地をサンプリングしたところです。
 
 精製水を入れて、40℃でホルムアルデヒドを水中へ溶出させます(もしも付着していたらですが・・)。

生地から抽出した液体(=S)と調整した発色反応試薬(アセチルアセトン試薬=A)を5mLずつ混ぜて、再び40℃で反応させます。この他にpHの影響を防ぐための緩衝液(=K)、精製水(=D)を用いるため、全部で4本試験管があります。
①S+A(黄色:ホルムアルデヒドが存在するとさらに濃い黄色になる)
②D+A(黄色)
③S+K(透明:生地によっては濁ることもある)
④D+K(透明)
の4本になります。
吸光度を測定し
(①-②)ー(③-④)が0.05以下となる必要があります。

 もしも、生地から抽出した液体にホルムアルデヒドが微量でも含有されていると、濃い黄色に発色します(ですので、この写真の段階で先ほどの①に相当する1本がさらに濃い黄色になるとアウトの可能性大)。発色反応試薬自体が黄色であるため、黄色度の差分を測ります。

 吸光度を測定します。

 415nmの吸光度を算出。

今回のサンプルは差がまったくなくゼロでした。
これにより、生地の安全性(ホルムアルデヒドが検出されないこと)が確認されたことになります。

(上垣)