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2013年5月31日金曜日

ヤマナシ ハタオリ トラベル 産地見学バスツアー2013JUNE 開催!

今年も開催が決定!!
ヤマナシ織物産地にバスで訪問し、生地が生まれる現場で作り手に出会う日帰りバスツアー!

ヤマナシ産地は富士山のふもとにある、富士山に一番近い織物産地です。
まもなく世界文化遺産登録の瞬間が訪れようとしている富士山と、
ヤマナシ産地の作り手に会いに出かけませんか?


なお、B to Bのビジネスマッチングを主眼としていますので、

対象はクリエイター、デザイナー、ブランド企画担当などなど、
デザイン・ファッション産業などで働くプロフェッショナル限定のツアーです。

生地を作りたいけれど機屋さんを知らない方、注文の仕方を知りたい方、
生地作りのパートナーを探している方にオススメです!!  














 

チラシPDFはこちらからダウンロードしてください。
お申込みはこちらから


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*日程 平成25年6月14日(金)  

  09:00 新宿駅西口集合、出発
    10:30 西桂着、見学 [(株)槙田商店、武藤(株)]
    12:30 昼食 (富士吉田のご当地グルメ『吉田のうどん』)
    13:30 見学 [宮下織物(株)、(有)渡小織物、当センター]
    17:30 情報交換会・夕食  会場:「酒楽食彩さなだ」を予定
    19:00 終了、東京へ

  ※訪問先・訪問時間は都合により予告なく変更される可能性があります。
 

*実施主体
  主催:富士工業技術センター
  協力:山梨県絹人繊織物工業組合
 

*定員 15名
  ※基本的に産地企業の取引対象となり得る業界関係者に限らせていただきます。
  ※定員を超えた場合は抽選となる場合がありますのであらかじめご了承下さい。

*参加費  4,000円程度  ※昼食・懇親会実費負担

*参加申込  こちらのお申し込みフォームにアクセスし必要事項を入力してください。

*お問い合わせ
  山梨県富士工業技術センター 繊維部技術支援科(五十嵐、上垣、秋本)
    TEL.0555-22-2100  FAX.0555-23-6671   fj-seni@pref.yamanashi.lg.jp

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*過去のバスツアー  下記「シケンジョテキ」バックナンバーをご覧ください。


2012年12月14日  ヤマナシ ハタオリ トラベル 産地見学バスツアー 2012秋冬/西桂編
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/12/2012.html

2012年11月28日  ヤマナシ ハタオリ トラベル 産地見学バスツアー 2012秋冬/富士吉田編
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/12/20121.html

2012年8月27日 ヤマナシ ハタオリ トラベル 夏の産地見学バスツアー
http://shikenjyo.blogspot.jp/2012/09/blog-post_19.html

2011年11月25日(前篇) 富士山麓の織物工場でつくり手に出会うバスツアー2011
http://shikenjyo.blogspot.jp/2011/11/blog-post_30.html

2011年11月25日(後編) 富士山麓の織物工場でつくり手に出会うバスツアー2011
http://shikenjyo.blogspot.jp/2011/12/blog-post.html

2011年8月26日 都内クリエイターによる織物産地工場見学ツアー
http://shikenjyo.blogspot.jp/2011/09/in.html

2011年7月22日(前篇) ドリフターズ・サマースクールバスツアーin山梨 「生地をもっと知ろう」
http://shikenjyo.blogspot.jp/2011/08/in.html

2011年7月22日(後編 )ドリフターズ・サマースクールバスツアーin山梨 「生地をもっと知ろう」
http://shikenjyo.blogspot.jp/2011/08/blog-post_18.html



(五十嵐)

2013年5月30日木曜日

evam eva(エヴァム・エヴァ)とSIWA(紙和)の生まれた街へ!(part1)

ヤマナシ発・先進ブランド事例に学ぶブランディング~企業訪問編(part1)

5月9日(木)、産地の機屋さんたち&鈴木客員研究員とともに、市川三郷町へ。

企業訪問&勉強会に行ってきました!

ブランドづくりを学ぶセミナーと連動して、その会社の現場からも学ぼう!と企画した今回のツアー。
ヤマナシを代表するものづくりブランド、「evam eva」の近藤ニット㈱と「SIWA」の㈱大直。
この2つ素敵なブランドは、偶然にも、同じ町で育まれたのです。

2社がある市川三郷町は、甲府市の少し南、笛吹川と釜無川が合流するあたり。
美しい川とおだやかな緑にかこまれた町です。
当日は、まさに遠足日和!という晴天。





はじめに、近藤ニット(株)へ。
4月にシケンジョで開催したセミナーでも貴重なお話を聞かせていただいた、
近藤和也さん、尚子さんご夫妻が迎えてくださいました。

会社の中を見学させていただく前に、
OEMから自社ブランドが成長していく段階で、会社や工場の現場がどのように変わってきたか?をお話いただきました。

近藤尚子さん、和也さんご夫妻
ハタヤさんたちも、ニットの現場を見せていただくのは初めて。
近いようで遠い織物とニットの世界。貴重な機会に興味津々、真剣な表情です。

はじめに案内していただいたのは、evam eva の世界観を垣間見られる、サンプルルーム。
商品の撮影ができるように、部屋の一面には真っ白な壁と床の空間が。
すべて手作りで、知り合いの方と一緒に作りあげたとのこと。
写真はNGでしたが、新しいシーズンに向けて、インスピレーションのもととなる色やビジュアルが集められた大切な一角も。
ブランドのイメージそのままの、心地よい空気が流れる空間でした。

1階の工場へ。
こちらは工場の中にあるニットを編むためのデータを作成する部屋。
ここで編み方や形状のデータが作成され、編み機へと送られていきます。

織物でも柄のデータを作成しますが、ニットのプログラムは初めて見るとあって、
ハタヤさんからの質問が飛び交います。

各シーズンの商品企画の過程では、
糸の種類や編み方を変えたサンプルをたくさん試作して、イメージにあう風合いを追及していくそうです。

編機が並ぶ工場。ここで、evam evaのニットが編まれていきます。
ブランドを立ち上げてから、より多くの種類の糸を編めるように新しい設備も導入されたそうです。

様々な天然素材の糸たち。ニットと聞くともっと太い糸を想像していたのですが、細い糸もたくさん。
ナチュラルな中でも少しずつ違う、繊細な色のバリエーションに、evamevaらしさを感じます。

服のかたちで出てくる!と驚いてしまう、無縫製の編み機。



編みあがったニットに、キズなどがないか、1点ずつ検品が行われています。
ブランドの品質をささえる、人の目による大切な工程です。

そして、不思議な形状に注目が集まっていたこちらは・・
ニットの袖の部分を見るためのものだそうで、内側からライトが光るようになっています。


 パッ! 


こんな感じで袖をとおしてチェックすると、確かに見やすい。
皆さんのあまりの注目に尚子さんは驚かれた様子。
昔からある物だそうですが、ニットならではの工夫から生まれた形状がユーモラスに見えました。

編み機の並ぶ部屋の隣、縫製の部屋へ。
ここでは、編みあがったパーツの縫製や、ニット以外の布帛(織物)生地の縫製も行われています。


工場で働くみなさんが若いことにも驚きました。
鈴木客員研究員も「縫製でこんなに若い人が多い工場は珍しい」と驚くほど。この会社で働きたい、という強い意欲のある人を採用して、育てているそうです。

こちらは編み上がったパーツをつないでいくリンキングの工程。
1点1点手作業で行われていることに驚きました。正確に手早く進む様子をじーっと見つめてしまいます。

洋服の生地をパターンにあわせてカットする機械。
パターンのデータからそのまま、一着分が正確に切り出されていきます。
以前は裁断を外注していたそうですが、ブランドの成長に合わせて布帛の服も増えたため、
社内でできるようにと導入されたそう。

工場の2階には、企画デザインと販売の部門が広いフロアを共有。
ウェブの運営、各店舗との情報共有や在庫管理もここで行われています。

セミナーでもお話にあったとおり、以前は東京にあった企画部門を数年前に山梨へ移転。
山梨へ引っ越してこちらで暮らしたい、という社員の方も一緒に移られたそうです。

見学後にも、質疑の時間をいただきました。

 「市場のリサーチやトレンドを追うことではなく、
インスピレーションのもとは、この山梨の、この環境、身の回りのこと、暮らし。
そこにアンテナを張って自分が感じることから、ものづくりをしています。」
という尚子さんの言葉が印象的でした。

現場を見学して一番感じたことは、
経営、企画デザインと、ものづくりの現場がひとつになっていることの強みでした。

素材そのものを追及できるからこその、シンプルな服づくり。
山梨の自然のある環境、社員の皆さんと、工場とともにある、その場所からデザインが生まれていること。
店舗と情報共有しながら、かたちや素材をすぐに試せる、工場、企画、店舗の距離感。
現場のすみずみまでを知り、ブランドの成長にあわせて工場や売場を変えていく決断の大切さ。

ブランドの根っこにある大切なことを、たくさん感じられた会社見学でした。


見学を快く受け入れてくださり、丁寧にお話をきかせていただいた近藤さんご夫妻、
お仕事中にもかかわらず、にこやかに質問に答えてくださった社員の皆さん、
本当にありがとうございました!

そして、近藤ニットさんをあとにした一行は一路(といっても車で3分くらい)、大直さんへ。
そのレポートは次回をお楽しみに。。

(秋本)

2013年5月27日月曜日

富士・・染め・・工場!

富士山の麓にある染色工場に、色見本打合せを兼ねて見学へ行ってきました。
「妙高富士染工場」さんです。
だいたい常に300Kgの糸が自然乾燥されています。

代表取締役社長の萱沼(兄)さん。とても話やすい方です。
ご兄弟ともに染色の職人さんで、染色暦30年のプロフェッショナル。 
 
高圧染色機、ポリエステルは130℃で染めます。他の素材も95℃等で染色可能です。
こちらは10Kg染色できるタイプ。
 
 梁がかっこよかったので撮影。写真に写っていませんが、重い糸の竿達を支えていました。
 
  ポリエステルは左側の高圧染色機で、キュプラ等は右側の染色機で染めます(30Kg程可能)。

こちらは50Kgタイプ。 「髪と羊と絹と」のコーナーにて、各種繊維の細さが断面でわかります。このように細い糸を、高い品質のテキスタイルや製品にするため、糸へダメージを与えずに染料をしっかりと固着させる職人技術が必要となってきます。

染色機の 裏側。蒸気のパイプラインとわっか状の糸の束「かせ」を回転させる歯車。

 ボイラーの燃料はおそらく昔の2倍以上高騰しているのでは・・・。

 色を調合する場所。1種類の濃度調整で1つの色を出すこともあれば、何種類も微妙な配合で色を出すこともあります。例えば、黒でも赤っぽい、青っぽい、緑っぽい黒があります。
一番、難しいのはくすんだ淡い系統の色だそうです。


 染料以外にも多くの種類の薬助剤を扱います。こちらはよく使う「ボウショウ」。

自然乾燥後の一時的な待機場所。

 前処理⇒染色⇒フィックス(色固定)⇒洗い(ソーピング)を経た、乾燥工程がこちら。
糸はカラカラに乾くと、静電気でトンデモナイことになりますので、若干湿っていると後々の工程(たて糸を巻く、織る)にも良いそうです。

以上、富士山麓の染め工場「妙高富士染工場」さんでした。

次回は、これら染めた糸を、たて糸の巻物(ビーム)を作製する「整経(せいけい)業」についてまとめたいと思っています。

(上垣)




2013年5月17日金曜日

富士山とシケンジョ

"シケンジョ"こと山梨県富士工業技術センターは、
名前に「富士」が入っていることからもわかるように
富士山のふもとにあります。

いえ、ふもとというより裾野というほうが正確かもしれません。


シケンジョから富士山の山頂までは直線距離で約15km。

標高は約780m。(敷地のどこかに777m地点があるかも)

シケンジョのある富士吉田市も、半分以上が富士山の裾野といっていいでしょう。


富士吉田市周辺に立地する織物産地は、富士山に一番近い産地といって間違いないはずです。

…と、言葉をいくら積み重ねても、百聞は一見にしかず。

富士吉田を見下ろす忠霊塔からの景色をご覧ください。



富士山の裾野のひろがりと、そのラインの美しさは
富士吉田から見るものが日本一と言ってもいいのではないでしょうか?この日の富士山は、毎日見ている私たちにとっても息をのむような美しさでした。
もう少し、視界を広げてみてみましょう。



ちなみにシケンジョはここにあります。↓




小さすぎて忠霊塔から肉眼では見えませんでした。。。

この、富士山のふもとのこの街のどこかで、
今日も日本有数の高品質な織物が織られています。

富士山をバックにみた、富士吉田産地とシケンジョのご紹介でした。




(五十嵐)





2013年5月16日木曜日

アナログメーターの世界

デジタル全盛の現代。
逆にアナログなものに魅力を感じる人は多いようで、

スマホなどではアナログ時代のモチーフが液晶画面によく再現されています。

しかし、織物の現場ではそんなバーチャルなものではなく、リアルなアナログ計器たちが
現役バリバリで活躍しています。

そこで、今回はシケンジョにある愛すべきアナログメーターたちをご紹介しましょう。



こちらはボイラーの圧力計。くるっと巻いた下半身が魅力的です。



染色機の温度表示。読み取り面が曲面になっています。機構上、奥行きが必要となる贅沢な作りです。



これはカセ染色機の圧力ゲージ。


「垂直視定」と書いてあるのは
壁に垂直に固定しなくてはならないという意味のはずです…。




カセ染色機の圧力計。
どことなく凛々しいいでたち。
単位も国際単位系(SI)のMPaになっているので、比較的新しいものですね。





そして次は変り種。
アナログの温度プログラムです。
この、へんな形をした金属の板。
これは、染色機の温度が時間とともにどう上下すべきかをカタチに記録した、
超アナログな情報記録媒体です。
 
折れ線グラフを円周に丸めたようなもので、
これが回転していくと、上部についた読み取り装置で指定された温度を
機械が読み取るようになっています。


ちなみにこれがそのカセ染色機。



染色工程のレシピによって、このディスクを使い分けます。


これは液流染色機の温度制御装置。
こちらでは、温度勾配がディスク式ではなく、ドラム式で記録されています。


織物産地で脈々と息づくアナログメーターの世界。
いかがでしたでしょうか。

生産現場に隠された魅力をお伝えするシリーズ、
またの機会をお楽しみに!


(五十嵐)


2013年5月15日水曜日

レーザー加工(マーキング)~高精度編:木箱&傘の手元~

先日、産地のハタヤさんと一緒に、富士河口湖町のハンコヤさん(渡辺印店=はんこのワタナベ)に行ってきました。
目的はネクタイ用木箱のレーザー加工(マーキング)です。 
 
今、富士山麓の織物製造企業が集う、期間限定ショップ「ヤマナシハタオリトラベル」において、商品及びブース全体のパッケージングの仕方がとても好評です(直近では伊勢丹にて2013 4月に実施されました)。商品の中に、贈答用の木箱付ネクタイや、「1866-kawazu-シリーズ」等のシャンブレーでかわず張りのオリジナルの傘シケンジョの商品の魅力を伝える写真講座で、空に投げて撮影した傘と同タイプ)があります。
 
 
 
今回は、ネクタイの木箱(オリジナルブランド名)と傘の手元(例えば、持ち主の名前)のレーザー加工(マーキング)に注目しました。 
こちらのJAPAN MADEにご注目ください。ハッキリしていてすごく綺麗!です。

スケールは1mm間隔の定規です。
このように細い字をとても綺麗にレーザー加工(マーキング)するために、低出力のレーザー加工機に入れ替えたという富士河口湖町 の「渡辺印店=はんこのワタナベ」さんを訪ねてきました。

 さすが、ふだんは細かなお名前を刻印していらっしゃるので、材質を見極めて一発かつ迅速に満足の加工をしてもらえました。


 右下がレーザー加工(マーキング)の機械です。約30cm×60cmが加工エリアとのこと。




データを1種類しか持参しなかったのですが、傘の手元にはブランド名や持ち主の名前等をマーキングするのも良さそうです。
こちらの写真は、折りたたみ傘の手元に、テストなしの一発勝負(簡易的に)で実施してもらったラフな加工ですが、さまざまな素材の手元へもすぐに対応してくれる技術力の高さがわかりました。

以上から、木への加工*でわりと小さめの字等を非常に綺麗にレーザー加工(マーキング)されたい場合は「渡辺印店=はんこのワタナベ:Tel 0555-73-2118」さんを訪ねてみてください。
*木以外の材質も対応してくれます(例えば無機材料にブラスト加工⇒表札等)

そしてメタルへのレーザー加工(マーキング)の場合(以下)
シケンジョへぜひお問い合わせください。

**********以下、カッコイイ傘の手元に持ち主の名前をマーキングしたメタルプレートを嵌めること、を意識して実施したシケンジョにおけるメタルの加工***********

 リニューアルしたシケンジョショールームの瓶詰め標本コーナーに1cm×4cmのメタルプレートを飾ってあります。

シケンジョ(機械電子部)のレーザー(連続ファイバーレーザーH24年度導入)は、¥570円/1時間(設備利用料金、操作についての説明付)
 傘の手元だったら「Gobaishi×Vanadium23*」ではなく、「Taro Fujiyama」とでもなるのでしょうか。
*23は発色補助剤にしているバナジウムの原子番号です

じつはこんな風に、シケンジョでは
金属を得意とするレーザー加工(マーキング)機の他に、
このメタルプレートを「ワイヤー放電加工」で切る設備もあります。 
 

 

ワイヤー放電加工機:¥2,050円/1時間(設備利用料金、操作についての説明付)
 
ぜひご利用ください。
 
 
(上垣)