濡れ巻き整経とは、普通機械でタテ糸を整経するところをほぼ手作業で行う郡内織物産地独特のタテ糸整経技術です。今では珍しいスロープロダクトです。
この技術を使って織られた生地は、光沢感や肌触りが普通のモノとは違い、今でも好んでこの技法を使って織られた生地をほしがるデザイナーさんも少なくありません。
しかし、手間と時間がかかる濡れ巻き整経は、繊維産業の機械化にともない衰退の一途をたどり、今ではほとんど濡れ巻き整経が行われることはなくなってしまいました。そのため濡れ巻き整経の技術は伝承されることなく、関係者は郡内織物産地の中でも20名くらいしかいない状況となってしまっています。
シケンジョではこの貴重な技術、濡れ巻き整経を2年前から研究し、データとして記録を取ってきました。
今回はその一環とし、ハイビジョンカメラで映像を撮影してきました。その時の取材の様子の写真を撮ってきたのでご紹介します。
濡れ巻き整経とは大きく分けて、経枠(糸を巻き取る作業)と組み込み(糸を交ぜ合わせる作業)と機巻き(男巻にタテ糸を巻き取る作業)の3つに分けることができます。
ここで行われているのは、経枠という作業になります。
針金で作った自作の道具で、綾をとっていきます。
糸枠と糸
巻き取った糸
カウンター
部屋にぶら下がっていた糸
部屋のいたるところに張ってある詩吟の歌詞
明日は組み込み作業をご紹介しようと思います。
(高須賀)
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