2018年8月6日月曜日

10年目の発会式~フジヤマテキスタイルプロジェクト

8月3日(金)、シケンジョの研究開発支援棟で、
今年10周年を迎える「フジヤマテキスタイルプロジェクト」の
発会式が開催されました。


※このプロジェクトについては、
こちらの記事をご覧ください。



第一部のセレモニーでは、富士吉田市、西桂町、富士吉田商工会議所及び富士吉田織物協同組合を代表する来賓から祝辞をいただき、




ハタヤさんと学生からあいさつがあり、そしてプロジェクトを10年間、監修し率いてきた、鈴木マサルさん(東京造形大学 教授/テキスタイルデザイナー)からのお言葉がありました。



「思えば10年ちょっと前、この産地に来たときは、みんな暗かったねー!(笑)」

笑いを交えながら、産地の雰囲気が10年間で大きく変わり、
生き生きとしたにぎやかな様子に変貌してきたこと、
その原動力として続けられてきたこのプロジェクトのあゆみが、
しみじみと思い返されるようなスピーチでした。

そして、プロジェクトが始まったころ、産地を盛り上げようと大活躍していた
富士吉田織物協同組合の天野開発部長、人呼んで織協の「天野っち」の話題が出ました。
当時の天野さんが、今の状況を見たらどんなに喜んだろうか、と。
10周年を見ることなく、すでに他界されている天野さん。
天野さんは10数年前、鈴木マサルさんとハタヤの若手後継者たちを結びつけ、
「暗かった」産地を変えようと、ハッパをかける存在でした。
天野さんがいなかったら、もしかしたらこのプロジェクトも生まれず、
産地の姿はまったく違ったものになっていたかもしれません。

そして誕生したこのプロジェクトは、鈴木マサルさん監修のもと、
若手デザイナーが産地へ移住したり、新しい商品ブランドが生まれたりと、
さまざまな形で産地に影響を与えて行くこととなりました。

その影響力については、下の記事に詳しくまとまっているので、ぜひご覧ください。
ハタオリマチのハタ印 「山梨ハタオリ産地の関係性を一挙大公開!」

第2部は、学生のアイデアや進捗についてのプレゼンテーション。
9社対9人の組み合わせからどんな作品が生み出されようとしているのでしょうか?

メンバー同士は5月17日の顔合わせから約2か月半を過ごしているので、
中間発表的な側面も含めて、プレゼンテーションが行われました。



[ 鈴木龍之介さん × (有)田辺織物さん ]

すし職人のいでたちでトップバッターに立った鈴木さんは、コラボ2年目。
1年目に提案した、お寿司をイメージした名刺入れを発展させるプレゼンでした。


この恒例のプレゼンテーションは、公開講評会でもあります。
鈴木マサルさんと、コラボ一期生の高須賀活良君(元シケンジョ臨時職員 上の写真右)が
愛のこもった鋭いコメントで発表者のプレゼン内容にアドバイスを加えてゆきます。

学生たちは、講評を受ける鈴木龍之介さんの姿をみて、ますます緊張を高めている様子です。

[ 片岡美央さん × 光織物(有)さん ]

コラボ2年目の片岡さんは、タイルをイメージした色、質感、デザインの生地を提案。「タイル」と「テキスタイル」の相性はなかなかよさそうです。







[ 工藤麻衣さん × WATANABE TEXTILEさん ]

工藤麻衣さんも2年目。ハタヤさんをイメージした図案のスクリーンプリントと、ハタヤさんが織った生地にハタヤさんと協同で柄を付ける、新しいコラボの提案。



[ 一松 岳さん × (株)オヤマダさん ]

一松さんは、海のイメージから生まれたボーダー柄のオーガンジーで、縞柄が透けて見えるバッグを作る提案。





[ 八代真帆さん × 武藤(株)さん ]


八代さんは武藤(株)さんとの2年目。細番手のモノトーンだった一年目から、太番手のカラーへの発展を提案。


[ 平沢健太さん × 舟久保織物さん ]

今回最も会場を沸かせたのが、平沢さん。伝統的なほぐし織の絵柄をグラフィティで塗りつぶすデザインを提案しました。しかし会場を盛り上げたのはデザインそのものよりも…

即興でラップミュージックを披露する、平沢さんのフリースタイルラップ!!






平沢さんは「こんなに明るいところで…」と恥ずかしそうに困惑しながらも、会場をしっかり温めてくれました。


 
[ 藤川稔也さん × (株)槙田商店さん ]

藤川さんが提案するのは、生地の取り方でデザインが様々に変化する傘生地のデザイン。
藤川さんと槙田商店さんの打ち合わせには同席させてもらいました。
ここに来るまで
どんな試行錯誤があったかを見ているので、応援したくなります。






[ 松本夏海さん × 渡辺明彦織物さん 

トリを務める松本さんは、「ひっぱり」と呼ばれる残糸を使った即興性のある縞柄。





富士吉田商工会議所の堀内光一郎会頭(上の写真)は、発会式のセレモニーは所用のため欠席されていたのですが、学生によるプレゼンのためにわざわざ後から駆けつけてくれました。
堀内会頭をはじめ、たくさんの地域の人達がこのプロジェクトに期待し、応援していることが実感できました。

10月6、7日に開催されるハタオリマチフェスティバルでは、
この発会式でプレゼンされたデザインが完成し、展示会の開催が予定されています。

また、このプロジェクトの10周年を記念する特別展やイベントも計画中とか。

これから生み出される作品も楽しみですが、ハタフェスでのイベントも大いに期待できそうです。


(五十嵐)

2018年6月12日火曜日

バイアスのリピート柄を、イラレとエクセルで作る

テキスタイルデザインには欠かせない「リピート」という言葉を
聞いたことはありますか?

テキスタイルデザインというと、イラストや絵画のような色や絵柄を
思い浮かべる方も多いと思います。

しかし!
四角い枠で区切られたイラストや絵画と比べて、
テキスタイルデザインには大きな違いがあります。

それは、ほとんどのテキスタイルデザインは枠のなかで完結しておらず、
こんなふうに繰り返し模様になっているということです!



※ 緞帳のように、繰り返し模様になっていないテキスタイルもあります。

上のABそれぞれの図案は、赤い点線で囲まれたエリアの繰り返し模様になっています。
繰り返しの単位が、リピートです。

Aのようにモチーフが水平・垂直に並んでいるデザインが普通ですが、
なかにはBのように、斜めの線(=バイアス)で繰り返す図案があります。

こういうデザインを作るのは、
コンピュータを使ってもちょっと難しいのです。


そこで!
今回のシケンジョテキでは、エクセル(Microsoft Excel)と、
図案を作るテキスタイルデザイナーがよく使う
イラストレータ(Adobe Illustrator)という汎用ソフトを使って、
上の図で紹介したBのような、
バイアスのリピートを作る方法を特集します!


まず、下の図に描かれた、6個の略号(Rw、Rh、θw1、w2、h)を見てください。

最終的に完成するリピートが幅=Rw、高さ=Rhの四角形とします。

w1、w2、hは、モチーフのレイアウト作業に使う長さ(距離)、
θはバイアスの角度(°)です。

それぞれの数値については、あとで説明することにして、
とりあえず、実際には記号に数字が入るという前提で、手順を紹介します。


この上の図と、Bのシケンジョテキというロゴが並んだ図案を重ねると、
このようになっています。
シケンジョ」の「」の字が、赤い四角の四つ角それぞれ同じ場所に
重なっているのが分かるでしょうか。

このようにロゴ(やモチーフ)が、θ度回転させたあと、
赤い四角のサイズのリピートで繰り返すように配置するための寸法が、
w1、w2、hです。

例えばイラストレータで「シケンジョテキ」というロゴを作ったら、
上の図ではそれをロゴ①ロゴ②、の場所にコピーします。
その時の距離は、w1、w2、hの長さです。

正確な位置にコピーするには、
イラストレータの選択ツールで選んでから、エンターキーを押します。

そうすると、数値入力画面が出てきますので、
w1、w2、hの長さに基づいて数値を入れたあと、
OKボタンではなく、コピーボタンを押します。
そうすることで、指定した位置にコピーができます。

同じように、必要な数のロゴを並べてから、
角度θ°で回転させると、次のようになります。


そして、幅=Rw、高さ=Rhの四角形をクリッピングマスクとして
切り抜くと、リピートが完成します。
以上の作業は、イラストレータの操作に慣れた方には
それほど難しくはないと思います。


次に、エクセルを使って、6個の値(Rw、Rh、θw1、w2、h)を
計算する方法を紹介します。

6個の値(Rw、Rh、θw1、w2、h)は、このうち2つの値がきまれば、
しぜんに残りの4つが決定される関係になっています。

まず、リピートのサイズ、Rw、Rhが決まっている場合の方法を紹介します。
エクセルを使って、下のような表を作ってください。

なお、数値の単位はピクセル数、ミリ、どちらでも便利な方をお使いください。



「計算結果」の4つのセルには、数字ではなく、図の右側に書いてあるとおりの
「数式」を入力すればOKです。

この数式は、三角関数(サイン、コサイン、タンジェント等)が使われていますが、
数式を理解する必要はとくにありません。

大切なことは、各セルの位置が上の図の
行番号(1,2,3…)・列番号(A,B,C…)と一致していることです。
そうでないと、数式が正しく働きませんので、注意してください。


もしも、いま紹介したようにRwRhではなく、
Rwθ、あるいは Rhθの組み合わせを
優先させる場合には、下の図を参考に、エクセルの表を完成させてください。

6つの数値のうち2つを優先する3とおりの方法が、表の中に含まれています。

以上、バイアスのリピート柄の作り方でした。

今回は、下のように図案を作ってから角度θ°で回転させ、切り抜く方法を紹介しました。




そうではなく、角度θ°で回転させたロゴなどを最初からリピートのサイズ、
Rw、Rhの数値でコピーし、レイアウトする方法でも、図案を作ることができます。
好みや、図案の種類によって、適した方法を探してみてください。

参考までに、下に応用例を紹介します。

このリピートの例では、ピンクのロゴ、黄色のロゴは、
角度θ°で回転させる前に、
幅 w1 の1/3ずつ動かしてコピーして追加したものです。

また、水色の帯、緑の帯は、同様に
高さ の1/3ずつ動かしてコピーして追加しています。

イラストレータで数値入力するときには、
単純に数値を入れるだけでなく、数値の後ろに「/3」を入れると、
自動的に3で割った値を計算してくれますので、
こういう操作のときには便利です。


バイアスのリピートについての特集、いかがでしたでしょうか?

今回の方法で、テキスタイルデザインの作業が少しでも楽になり、
そのぶん良いデザインを生み出す時間が増えると良いなと思います。



(五十嵐)

2018年5月24日木曜日

第10回の「フジヤマテキスタイルプロジェクト」がスタートしました

「フジヤマテキスタイルプロジェクト」は、東京造形大学テキスタイルデザイン専攻の学生さんと
ヤマナシ産地のハタヤさんとのコラボレーションプロジェクトです。

学生さんの新しい発想をハタヤさんの力でカタチにするというこの取り組みは、
今年で10年目になります!

今年のキックオフミーティングが2018年5月17日に、東京造形大学で行われました。




この日は、プロジェクト監修の鈴木マサルさん(東京造形大学 教授/テキスタイルデザイナー)から
参加する学生さんとハタヤさんの組み合わせが発表されます。



監修の鈴木マサルさん(左)と、アドバイザーの高須賀さん(右)



まずは、参加する学生さんから
自身が制作したテキスタイルなどの作品を見せながらの自己紹介。

その後、鈴木さんからパートナーとなるハタヤさんが発表されました。

 

 
 
 
 
 
 
 
 


続いて、ハタヤさんからは
自社で製造している製品の特徴などとあわせて自己紹介です。

 

 

 




今回は9社との組み合わせでプロジェクトが行われます。


・ 鈴木龍之介さん × (有)田辺織物さん

・ 八代真帆さん × 武藤(株)さん

・ 工藤麻衣さん × WATANABE TEXTILEさん

・ 片岡美央さん × 光織物(有)さん

・ 西沙那子さん × 宮下織物(株)さん

・ 松本夏海さん × 渡辺明彦織物さん

・ 一松岳さん × (株)オヤマダさん

・ 平沢健太さん × 舟久保織物さん

・ 藤川稔也さん × (株)槙田商店さん


ミーティング後半では、
学生さんとハタヤさんとで個別に打ち合わせが行われました。


 

 
 
 
 
 

これから10月のハタオリマチフェスティバルでの作品発表を目指して、
テキスタイルや製品の開発が進められます。

今回はプロジェクトが記念となる10年目ということで、
特別な企画も動く様子。

ここからどのような作品が生み出されるでしょうか。


(鈴木)