2012年8月1日水曜日

西脇織物産地レポート(その1)

兵庫県の西脇織物産地を訪問しました。
日本のへそ、西脇市は先染め綿織物の一大産地です。
見どころたっぷりの訪問でしたが、今回は兵庫県のシケンジョ、兵庫県立工業技術センター繊維工業技術支援センターの皆さんに案内していただいたところから、シケンジョ的に要チェックなスポットを3か所、ピックアップしてご紹介します!

まずはデザイナー、玉木新雌(たまきにいめ)さんのブランド「tamaki niime」のショップ兼アトリエ(weaving room & stock room)から。







小さいながら感じのいいショップには、玉木新雌さんがデザインし、ビンテージ織機でつくられたショールがずらりと並びます。
一点ものから、10点程度の小ロット生産。手作り感、素材の気持ち良さがたまりません。

播州織の風合いに魅せられ、新しく解釈した播州織を目指している玉木さんは
工場に織ってもらうだけでは飽き足らず、自ら年代物のドビー織機を買い上げて
ショップに隣接した自社工場でこれらのショールを作っています。

下がその工場(というかアトリエ)の写真です。
45度に配置された織機のなんという格好良さ!しかもベルト駆動!





写真の中にあったベリーショートヘアーの女性が玉木さん。

お客さんには作っているところを見てもらい、その工程も含めて価値を感じてもらうことができる。
自分の織機があることで、作りながら考え、デザインできる。
産地の機屋さんに電話一本で織機のことを聞ける環境がある。
などなど、もちろん玉木さんの情熱と努力があって実現できたことでしょうが、
産地でモノづくりをすることがプラスに回っている、素晴らしい事例だと思います。

京都の西陣のようにイメージが確立している場合、ちょっと変わったことをすると
「それは西陣じゃない」という評価が生まれてしまう。
でも西脇産地は西陣ほど知名度がないので、変わったことができたり、
アイテム開発の自由さがあったり、というメリットもあるそうです。

福井出身という玉木さん。西脇市との縁は、展示会で機屋さんと知り合ったことから始まったそうです。播州織の生地としての魅力もさることながら、展示会で知り合った機屋さんの素早いレスポンスが決め手のひとつだったとか。
自分の作りたいものを自由に作るために産地のなかに飛び込んで、
自分で織機を動かすモノづくり。
玉木さんのようなスタイルが、山梨の郡内織物産地でもこれから生まれてくるかも知れません。
いや、ぜひ出てきてほしい!

玉木さんには、産地やテキスタイルの可能性をひしひしと感じさせてくれました。


あと2か所は、続編でお知らせします。お楽しみに。


LINK

tamaki niime

兵庫県立工業技術センター繊維工業技術支援センター



(五十嵐)